新人女優＝地味な高校生

CAST小松崎ふたば

作者：デイジースター

2024.08.03

私は、小松崎フタバ。

勉強のみがとりえの
高１です。

「あっ、ミサキだ！」

北島ミサキ・・・・

確か、モデルやってるって
言ってたな。

彼の横には、
有坂コハナ。

彼女もモデルだ。

イケメンと美女で、
モデルの２人なら
くっついてもおかしくない・・・

「フーターバー！
今度、ミサキのドラマの撮影
見学行くから一緒行こ！」

この２人、
私の幼馴染です。

「わかった」

「フタバもさ、
美人なんだから
コンタクトにしたら？」

「美人じゃないから」

コハナは、女子の憧れ
そのものだ。

美人で、
スタイルよくて
脚も長くて。

優しくて、
明るくて。

勉強はちょっと苦手だけど、
体育もできる。

私なんかと、
大違い。

・＊。・　日曜日　・。＊・

「フタバ、
ミサキ見つけた？」

「あそこだよ！
カメラの横」

「うわぁー、
すごーい！」

撮影場所の屋上で
撮影を見る。

「ところで、なんで
リョウスケいるの？」

「ミサキ直々に
誘ってもらったんだよ」

「静かに！　始まる！」

初めて、こんな近くで
見た。

『リョウ（ミサキの役名）、
このままでいいのかよ？』

『うるさいな。
東京に行けば、なんだってできる。
バンドも続けられる。
親なんか、わかってくれない！』

ミサキの役は、バンド一筋の
田舎の高校生、リョウ。

こんなに感情移入できた
ドラマ、初めて。

「カット！」

次の撮影場所、
教室に行った。

「アンナちゃん、
来れないのか?!」

このドラマの鍵を握る役の
星乃アンナが
来れなくなったらしい。

「どうするんだ！
１話目から！」

現場は、
慌ただしくなった。

「君、代わりに
やってくれないか？」

と、私を見た。

思わず自分の顔を
指差したら、

スタッフの人が
うなずいた。

「セリフとか、何も
知らないんですけど」

「授業のシーンだから、
ノートにセリフ書いて！」

メイクしてもらって、
衣装着た私は、
今までと全く違う。

地味な高校生
なんかじゃない。

新人女優に見えるかも。

「感情、思いっきり
込めていいから」

いきなりすぎて
頭真っ白。

「よーい、スタート！」

元々無口な役で、
セリフも２つのみ。

ミサキの次に言うんだ、
このセリフ。

『わかんねーよ！
ユリ（私の役名）、
教えてくれよ！』

心臓止まるかも・・・・

よし、言うんだ！

『ほら。ったく、
こんなのもわかんないの？』

嫌味っぽく
言えたかもしれない。

プロの人と、ど素人。

差があるのは
わかってる。

やばい、
もうすぐだ。

『ユリ、
そういえばリン、
大丈夫かな？』

『明日お見舞い行こう、
きっと元気だから』

終わった。

「カーット！
フタバちゃん！
すごくいい！」

褒められて
すごく嬉しい。

「フタバ」

ミサキに、教室の端に
連れて行かれる。

「今日のフタバ、
かわいい。好きになった」

好き？　私を？

「付き合ってくれない？」

「いいよ」

あっさりしすぎて
逆におかしい気がする。

初恋は、
ミサキだった。

というか、
ミサキしか
好きになれなかった。

今だって。

☆．．．．☆．．．．☆．．．．☆

ドラマの放送日。

自分が出てる
ドラマって、
不思議な感じ。

クラスメイトからの、
LINEでの質問攻め。

答えるの大変ｗ

☆．．．．☆．．．．☆．．．．☆

次の日のネット。

「ユリ役の子、かわいい！」

「アンナちゃんじゃ
ないよね?!」

大騒ぎどころじゃない。

私は、新人女優となった。

ミサキの彼女にもなった。

☆ＥＮＤ☆