ふたばのいちばんかわいいところ

CAST小松崎ふたば

作者：ちいさく

2024.07.28

わたしは、フタバ！

中学３年生、
ラストＪＣ満喫中。

親友・コハナと楽しい
中学校生活を送っています。

そんな私ですが・・・

恋をしたことが、
ないんです。

自分をかわいいとも思えないし、
男の子をかっこいいとも思えない。

「彼氏」ができる日は
来るのかなぁ・・・

私の苦手な授業は、体育・・・
ではなく、家庭科。

女子らしくなく、
がさつなんだ。

見た目は背が高いわけでも、
ボーイッシュなわけでも
ないんだけど、
人間性が女子じゃない。

モテるわけがないよなぁ。

今日の家庭科の内容は、裁縫。

雑な私の作った巾着は
すでにボロボロ・・・

しかも指をさしまくるし、
あぁ、今年も家庭科は
「１」評価だろうな・・・

そんなこと考えてたら、

「はい、じゃあ小松崎さん、
ここはなんていう縫い方でぬうの？」

はっ、あてられちゃった！

聞いてないよ～。
ん？

となりの席のユアンくんが、
ノートを指さしてくれてる！

えっと、

「なみぬいです」

「はい、正解」

た、たすかった～！

後でお礼を言わなきゃ。

とりあえず、
ちゃんと授業聞こう。

＊．．．・・・＊．．．・・・＊

授業終了後。

「西君！」

「ん？」

「さっき、ありがとう」

「はい」

よし、席戻ろ・・・

「フタバぁ!?」

「なななななに!?」

コハナ、すごい形相。

「せっかく優しくしてもらえたのに！
あんなんだからモテないんだよ！」

「ちゃんとお礼言ったよ？」

「だめだ。
よし、私が明日から
モテ特訓する！」

「はぁぁ!?」

「残り少ないＪＣ、
彼氏作るよ!!」

なんか分かんないけど、
こんなハメになるとは・・・

＊．．．・・・＊．．．・・・＊

で、今特訓終了したけど・・・

わかった。

長年の習慣は、抜けない。

あきらめました。
私もコハナも。

ん？

机の上にメモが。

「かわいい」

（絶句）

「えええええええ!?」

机間違えてんじゃないの!?

マジでビビった。

落ち着け、フタバ。

「フタバおはようって、
なになになになにそれぇ!!」

「間違いだよコハナ、
これたぶん私じゃない」

「もう、フタバは
フタバのかわいいところに
気づいてない！
フタバはかわいいよ！」

噓だ・・・

＊．．．・・・＊．．．・・・＊

それから少し経ったある日。

「フタバさん」

帰り道にユアンくんに
声をかけられた。

「何？」

「メモ、見た？」

メモメモ・・・
あっ、もしかして!?

「かわいいってメモ、
僕が置いた。
好きだったんだ、ずっと」

えぇぇ！　告白・・・

「私で、よければ、・・・」

しばらく沈黙の時間が続いて、

「つきあおう。
おねがいします」

こうして、私は
初恋ができました！

「ねぇ、」

「何？」

「私のかわいいところって、
どこ？」

「えーてれるなぁ・・・」

「書いたじゃん！
かわいいって」

「・・・フタバなところ！」

「なにそれ笑」

でも、それ、
すごいうれしい！

私のいちばんかわいいところは、
私なところ！

＊ｅｎｄ＊