届かない声を君に

CAST小松崎 ふたば小松崎 ふたば

作者:WASABI

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2024.03.06

私は、フタバ!
歌うことが大好きな
中学3年生。





今日は、音楽祭!!
とっても楽しみにしてた日。





今日はソロパートに
任命してもらえたから
同じく男子ソロパートの
レンくんと一緒に
頑張ろうと思います。













** 会場 **





アナウンス
「次はニコラ学園3‐Aの発表です。
どうぞお聞きください。『虹』」





なんかドキドキするな・・・
だって、私とレンくんだけが
歌うパートもあるんだもん。





そうこう考えているうちに
前奏が始まっていた。





みんな息を合わせて歌う。





静かで美しい歌声が
狭い会場内で響く。





ソロパートの
部分になった。





テナーとソプラノ
1人ずつで歌う2人の
玉を転がすように美しい歌声が
先ほどと同じように響く。





ソロパートが終わり
クライマックスの部分、
今とは比べ物にならないくらい
明るく弾むような声。





でも、美しさの余韻もある。













** 発表が終わって **





司会者「今回の音楽祭優勝は・・・
ニコラ学園3‐Aです」





わぁぁぁぁぁー





会場内に喜びの声が響く。





みんな笑って
拍手をしてくれる。





そんな幸せの中に
いたけれど・・・













** 更衣室 **





カイラ「なんかさー、今日フタバ
ちょーでしゃばってなかった?
金賞を取れたのは私のおかげです。
的な顔をしてwww」





アンジ「それなwww
なんかすっげーアイツ見てると
苛つくんだよねー。
だから今日から無視しようよ。
あいつんちが金持ちだから
色々奢ってもらおうと思って
友だちになっただけだし」





コハナ「・・・」





え、なんで。
友達じゃなかったの・・・
ただのATMだったの!





いつも私のことを
見下してたの。
もう、歌いたくない!!!













** 次の日 **





お母さん「フタバー起きなさい!!」





フタバ「・・・」





あれ、声が出ない!
もう起きてるしって
言いたいのに。
なんで?





昨日までは
普通に出たのに。





お母さん「フタバ?
どうしたの?
体調悪いの?」





ふたば「・・・」





やっぱり出ない!





とっさに近くにある
ノートに書いた。





《声が出ない
助けて》





お母さん「!?
ふ、フタバ!
病院行くよ」













** 病院 **





医者「んー。わかりません。
エコーとかMRIもしたけど
どこにも異常がないので・・・
念のため今日明日は
学校を休ませて
様子を見てください」





お母さん「はい。
わかりました」





フタバ「・・・」





みんな、今頃なにやってんだろー。





ピコン!
LINEだ!!
誰からだろ~!!





えっ・・・





スマホ画面に
表示されたのは
私の机に菊が置かれている
写真だった。





そこにはカイラ、アンジの他に
楽しそうに笑っている
コハナがいた。





カイラとアンジがやっていても
おかしくない。





でも、コハナがやるとは
思えない!













** 放課後 **





ピンポーン





フタバ「・・・」





あ、そうだ!
声出ないんだった。





誰だろう?





ガチャ





レン「フタバ大丈夫か?
声、出ないって
聞いたんだけど」





コクリコクリと
私はうなずく。





レン「・・・残念だ、
またフタバと
一緒に歌いたかったのに。
俺はお前のきれいな歌声に
惹かれた。
また声が出たら一緒に歌おう」





フタバ「!?」





こちらこそ。
って、言いたいな。
出したいよ! 声を・・・





レン「フタバ?
どうしたの?」





どうしたって、何?





レン「お前、泣いてるぞ!」





そんな!
レンくんの前で。
恥ずかしいよぉ、





うわぁぁぁぁぁぁあん





レン「大丈夫か?
何かあったのか?」





コクコク





紙に書くことにした。
今までの出来事を・・・





────さっき写真が送られてきた。

私の机に菊がおいてあったの。

カイラとアンジがやったと思うの。

それは知ってたの!

音楽祭のあと悪口言われてるの聞いたから。

でも1番の親友のコハナまで・・・

声が出なくなったのはそこからなの。──────







レン「!?
そういうことか。
すべての謎は解けた!」





フタバ「?」













** 精神科医 **





フタバ「???」





レン「音楽祭のあと
悪口言われてるの聞いたから。
でも1番の親友のコハナまで・・・
って、彼女が」





医者「なるほどね!
わかったよ。
ストレスでだよ」





フタバ「!!」





これだけでもう分かったの?
前のおっきい病院では
原因はわからないって
言われたのに。





医者「何日か
リラックスさせて
あげてください」





レン「はい!」













** 数日後 **





フタバ「おはよう!」





お母さん「おはよう!
って、声出てる!!!」





フタバ「ホントだ!
すごい! すごい」





ピンポーン





フタバ「はーい!
あ、レン。
おはよう!」





レン「!?
お前、声出てるじゃん」





フタバ「うん。それで
言わせてほしいことが・・・
ずっと好きでした。
私と一緒にパート練をしてくれたことも
すごいうれしかったです。
付き合ってください!」





レン「俺から言わせてほしかったな!
届かない声を懸命に
訴えているのがすごい
可愛かった。
俺で良ければ
付き合ってください」







―END―

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