ないない

CAST小松崎 ふたば小松崎 ふたば

作者:アクアリウム

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2024.03.21

コハナ「・・・・・・・・・フタバのこと、
もうよく分かんない。
こっちが何か質問しても、
『ごめん、秘密』って笑ってばっかり。
今まで気をつかって言わなかったけど
やっぱもう無理」





フタバ「・・・ごめん・・・笑
・・・・・・」





私はよく、
「フタバのこと、
よく分からない」
と言われる。





でも別に、私だって
人に理解してもらおうなんて
思ってない。





逆に、みんなにも
私のことは
理解できないと思う。





だって、本当は
“社交的な優しいフタバ”
じゃないから。





これは、私の
幼少期の話に遡る。





私は元々あまり
社交的な性格ではなかった。





幼稚園にいる時も、
小学校にいる時も、
そのほとんどの時間を
本を読んで費やした。





理由?
単純に、みんなが幼く見えて
合わせるのが
バカバカしく思えるから。





みんなが滑り台や
ブランコで遊んでいる時だって、
いつだって私はみんなの輪から
外れていた。





なんでだろうね。
自分でも分かんない。





同年代と遊ぶより、
年上と囲碁や将棋なんかを
やっている方が
ずっと素の自分でいられた。





ただそれだけ。





・・・と言っても
私には1人だけ、
友達と言える人がいた。





それは、リョウ。





誕生日が同じで、
生まれた時からの幼馴染。





だから、リョウの前でだけは
素の自分でいられて楽だった。





本当は、囲碁や将棋も
リョウの影響で始めた。





小3の頃に、私が囲碁の教室に
通い出して囲碁の本を
読んでいた時なんて、





シャノン「えw またフタバ、
オジサン臭いことやってるww」





ミユウ「やばww
常人じゃないww
中身オジサンww」





フタバ「・・・伊藤さんも
松田さんもやめてくれる?
早くあっち行ってよ」





シャノン「あーw 怖い怖いw」





ミユウ「シャノン、
もうこんなヤツ
放っておいて行こw」





とか何とか。





こんな具合で
グダグダ言われることも
日常茶飯事。





・・・だから私は
“輪から外れる無愛想なフタバ”を
封じ込み、
“社交的な優しいフタバ”になった。





だって、
これが正しいんでしょ?





みんなは本当の私じゃなくて、
仮面を被った偽りの私が
いいんでしょ?













********************





中学は私から
親に頼み込んで受験した。





だから一応、そこそこ良い
中学に受かった。





それから私は、
みんなの好きな
“社交的な優しいフタバ”
として入学した。





ただ、その学校の一学年の人数が
とても多いというのには
入学してから気づいた。





まあ幸か不幸か、幼稚園と
小学校と同じだった人は
1人もいないみたいなんだけど。





フタバ「同じクラスになったみなさん、
小松崎ふたばです!
話すのが大好きなので、
是非話しかけて下さい!
これから1年2組として
1年間よろしくお願いします!」





クラスで順番に
自己紹介をさせられた時に
私が言ったこと。





これならいいよね。





・・・・・・私、無理してるなぁ。
いつまで持つんだろ。笑





その時フッと吹く風に
なびかれる桜の花びらを見て、
「私も交ぜて」
と言いたくなった。





コハナ「フタバちゃん、
よろしく!
これから仲良くしてね~!」





(となりの席の人・・・
名前は確か・・・・・・
えっと・・・、)





コハナ「あーごめん!
私、有坂心花っていうのー!」





(・・・あー、だるいな~。
こういう妙に明るい人、
苦手なんだよね。
っていうか私、
1人1人の名前なんて
いちいち覚えてないし)





(・・・・・・なーんて、
こんなこと
言ってらんないよね・・・)





フタバ「あーコハナちゃん!
ごめん、ちょっと
ぼーっとしてたわww
これからよろしく!w」





コハナ「あらあら~?w
折角の休み時間早々に
ぼーっと~?w」





(・・・・・・)





フタバ「まあね?www
やっぱさっき緊張したしw」





コハナ「それもそっかwww」





コハナ「てか、フタバちゃん
どこ住んでる?
何の習い事してる!?」





フタバ「うーん・・・
ごめん、まだ秘密!w」





コハナ「え~www
なんでやwww」





・・・・・・なんか
「The これから親友になる人達」
って感じ。





有坂さんには悪いけど、
だるい。





それに・・・
小3から囲碁の教室
通ってるなんて・・・・・・
言えないよね。





私はリュックから少し顔を
覗かせていた囲碁の本を、
気づかれないように
無理矢理リュックに押し込んだ。













********************





あの時の私の予想は、
3ヶ月後の中1の7月に
見事に的中・・・は、
しなかった。





コハナ「は~。
来年のクラスも
またフタバと一緒がいいな~」





フタバ「私もだよ~」





(本当は誰とも
同じクラスになんか
なりたくないんだけどね・・・)





コハナ「てかフタバさ、
なんか謎多いよねww」





フタバ「どゆこと??w」





コハナ「だって最初に話した時さ、
住んでるところも習い事も
教えてくれなかったじゃんww」





フタバ「あーww」





(めんどいな・・・
まだ覚えてたんだ・・・)





コハナ「じゃあ今教えてよー?ww」





フタバ「えーww やだww
秘密ww」





(・・・ごめんね? 有坂さん。
本当は私だって・・・素で居たいよ?
でもあなた達みんなは
本当の“私”は求めてないでしょ?
・・・いらないんでしょ、、?)





コハナ「・・・・・・・・・」





コハナ「・・・・・・・・・フタバのこと、
もうよく分かんない。
こっちが何か質問しても、
『ごめん、秘密』って笑ってばっかり。
今まで気をつかって言わなかったけど
やっぱもう無理」





フタバ「・・・ごめん・・・笑・・・・・・」





コハナ「昨日だって私が
『今日何時に起きたー?』って聞いた時も
『えーww 内緒ww』とか。
これがもう3ヶ月。
ねぇ、・・・どういうことなの?」





コハナ「・・・・・・ねぇ。
私ばっかフタバフタバなんて
言ってて情けない。
みじめ。あわれ」





コハナ「私、もう分かんない。
本当の友達って何なの?」





コハナ「フタバ、あんたはいつも
殻を被ってるようにしか見えない。
こんなのは本当の友達じゃない」





コハナ「もうフタバなんて
どうでもいい!」





そういって有坂さんは
放課後の薄暗い廊下を走っていった。





何となく、少しだけ、
ほんの少しだけ
涙を浮かべていた気がする。





顔見てないから
分かんないけど。





私達なんて、所詮ただの
表面上の付き合いなんだよ?





何訳の分からないこと
言っちゃってるの・・・?





・・・私だって、なりたくて
こうしてる訳じゃないんだよ。





私だって、
苦しいんだよ、、?













********************





・・・・・・思い返せば、私の歯車は
小学生になって早々に
もう狂い出していたのかもしれない。





周りのみんなは、幼く見えて
バカバカしいからって
自分から避けて。





唯一素の自分でいても
楽しいと感じられたリョウが、
アメリカに引っ越して。





・・・私だって苦しかった。





ゴォォォォォォォォォォォォォォォォ
ォォォォォォォォォ





ザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワ





耳障りな風の音が
さっきまで有坂さんと2人でいた
教室に響く。





もう外は大分暗い。





私も帰ろ・・・・・・





???「あれ・・・・・・・・・?」





随分と暗くなった廊下から
男子の声が聞こえた。





思い出せないけれど、
何だか聞き覚えのある声。





でもこっちからだと
暗くて見えない。





私の心臓は
波打つスピードを早めた。





怖い。誰・・・?





怖い。怖い・・・怖い・・・
誰・・・・・・?





助けて・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
有坂さん・・・・・・





・・・・・・え、有坂さん・・・・・・
って・・・・・・
今私なんて・・・・・・・・・?





???「・・・・・・・・・・・・
もしかして・・・・・・・・・?」





その声を聞いた瞬間、
私は目を大きく見開いた。





フタバ「・・・リョウ・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・!?」





リョウ「・・・・・・・・・・・・・
・・・・・フタバ・・・・・・!?」





そう、声の主は
今の今までに同じ位の
身長のはずだったリョウだった。





私の中のリョウは、
まだ小さかった。





7年越しの再会だ。





リョウ「フタバ・・・・・・・・・・・・
久しぶり・・・だな、、、」





フタバ「リョウ・・・・・・!
本当にリョウなの・・・・・・・・・!?」





フタバ「ねぇ、こっちに帰って来てたの・・・!?
なんでずーっと音信不通だったの?
私ずーっと心細かったんだよ・・・・・・、、、」





リョウ「いや・・・
ごめん・・・・・・ごめん、、」





リョウ「・・・・・・・・・
なんで泣いてるんだ・・・?」





私の目からは知らぬ間に
大粒の涙がぽろぽろと
流れ落ちていた。













********************





私はリョウと
公園のベンチに腰掛けて、
有坂さんとの間で起こった
すれ違いを洗いざらい話した。





フタバ「でも、あの時は
自分の本当の気持ちに
気づけてなくて・・・
私だって、本当は
周りのみんなと同じで、
小さくて、繊細で、幼くて・・・・・・・・・」





リョウはこんな私の話でも
ゆっくりとやさしく、
包み込むように聞いてくれた。





リョウ「ずっと音信不通で
ごめんな・・・、、、」





フタバ「いいよ・・・
またこうやって会えたんだし」





フタバ「・・・もうリョウと
離れたくない・・・・・・」





リョウ「俺もだよ・・・・・・」





フタバ「・・・・・・・・・
ずーっと前から好きでした。
私と付き合ってください」





リョウ「・・・・・・・・・ずーっと前から
好きでした。
俺と付き合ってください」





2人は目を大きく見開き、
それから微笑みあった。





まるで宝石をちりばめたような、
満天の星空が2人を静かに見守った。





――――その日は
2人の誕生日の
7月7日、七夕だった。













********************





(リョウは気づいてないかもだけど、
あの時私が泣いたのには
もう1つ、理由があるんだよ)





フタバはリョウと登校しながら、
太陽に手を伸ばして心の中で言った。





フタバ「コハナ! おはよ!!
昨日のこと――――・・・・・・」





あの時の私の予想は、3ヶ月後の
中1の7月に見事に的中・・・
は、しなかった・・・、
しないはずだった。





教室からは朝から
フタバとコハナの談笑が
聞こえてきた。





昨日腰掛けた公園のベンチには、
やわらかく、やさしいぬくもりが、
まだくっきりと残っていた。







*end*

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