nicola

キーワード検索

冬空の下で、ふたり

CAST小松崎 ふたば小松崎 ふたば

作者:もこ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.01.16

私、ふたば。
16歳、高校2年生。





毎日同じ制服を着て、
同じ電車に乗り、
同じ教室で友達と笑って・・・





日常って、
こういうものなんだろうなって
思ってた。





でも、あの日、
あの冬の日、





私の世界は
少しだけ変わったんだ。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





1月の初め、学校はまだ
冬休みだったけど、
私は学校にいた。





部活のミーティングが
あったから。





帰り道、
急に雪が降りはじめた。





思わずコンビニで
ビニール傘を買って
駅に向かう途中、





見覚えのある背中を
見つけた。





「・・・ミサキくん?」





同じクラスの男の子、
ミサキくんだった。





黒いコートに
手を突っこんで歩いている姿は、
少し寒そうに見えた。





「あ、小松崎さん。
こんなところで何してんの?」





そういって彼がふりかえると、
いつものように
ちょっと眠そうな目で
私を見つめた。





「部活の帰り。
ミサキくんは?」





「俺?
図書館で課題してた。
で、ちょっと散歩。
もう帰るとこだったけど」





雪の降るなかで散歩なんて、
変わってるなと思ったけど、
口には出さなかった。





ミサキくんは、昔から
どこか冷めているというか、
自分だけ違う世界を
生きている感じがした。





でも、嫌いじゃなかった。





むしろ、
ちょっと興味があった。





「傘、持ってる?」





「ないよ。
別に濡れても平気だし」





ミサキくんは
そう言って笑ったけど、





彼が雪に濡れながら歩くのは
何となく嫌だった。





「じゃあ、入る? これ」





「・・・いいの?」





「うん。
この傘、大きいから、
2人は平気だと思う」





私が傘を少し持ち上げると、
ミサキくん少し照れたように
「サンキュ」
と言って傘の下に入った。





駅に向かう途中、
ふたりで色々話した。





ミサキくんの好きな音楽の話、
最近読んだ本の話、
そして、少しだけ
自分の未来の話。





「小松崎さんは、
どうしたいの?」





「どうしたいって?」





「将来。
何になりたいのかとか、
どんな大人になりたいのかとか」





急にそんなことを聞かれて、
答えにつまった。





考えたことが
なかったわけじゃない。





でも、答えが見つからなかった。





「・・・まだ分かんない。
でも、何か人の役に立つ仕事が
したいなって思ってる」





「ふーん」





「ミサキくんは?」





「俺? 俺も分かんない。
でもさ、分かんないからって
止まるわけにはいかないだろ?」





ミサキくんの言葉に、
なぜか心が少しだけ
軽くなった気がした。





私、いつも「分からない」ことに
怖がっていたのかもしれない。





でも、ミサキくんの言葉は、
“それでも前に進めばいいんだよ”
って、教えてくれた気がした。





駅に着いて、別れるとき、
彼がふいに言った。





「雪、好き?」





「うん、好きだよ。
なんか静かで綺麗だから」





「俺も。
じゃあ、また学校でな」





そう言って、
ミサキくんは笑った。





その笑顔が、
どうしてだろう、
少しだけ心に残った。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





家に帰って、
濡れたコートを脱ぎながら
思った。





今日のことは、
たぶんなんでもない
日常のひとコマだった。





でも、たまに
思い出すんだろうな。





雪が降るたびに、





ミサキくんと歩いた
冬の日のことを。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

Like

この物語に投票する

小松崎 ふたばが主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!