笑って泣いて、また笑う
作者:りんりん
こんにちは!
私は小松崎フタバ!
中2だよん。
あのね、
私には秘密があるの。
それはね・・・
恋の魔法が使えること!
わたしは、
世界に1つだけの
魔法の杖を持っているの。
そうそう、みんな、
恋の魔法って聞いたら
どんなのを思い浮かべる?
みんなの恋が
上手くいくように、
両想いにさせてあげたり、
彼の目を引くように、
キラキラした存在に
させてあげたり・・・
そんなのを
思い浮かべるよね。
でも、私の魔法は
ちょっと違う。
自分のために使う魔法なの。
気になる彼に魔法をかけると、
その子が彼氏になっちゃうの!
で、最近私が
気になってるのは
同じクラスのタイヨウくん。
イケメンで優しくて、
全てがカンペキ。
しかもちょ~モテる。
ね、タイヨウくんが
彼氏になったら
とっても素敵じゃない?
ま、私の魔法があれば
ヨユーだけど。
あっ! いいところに
あそこの信号のところに
タイヨウくん。
魔法、かけちゃいま~す!
そうして杖を一振り。
よし。
準備完了。
フタバ「タイヨウくん!
何してるの?
今日暇?」
タイヨウ「あ、フタバ!
今散歩してるだけだから・・・
暇だよ」
フタバ「そしたらさ、
良かったらなんだけど・・・
デート、しない?」
タイヨウ「いいね! 行こ!」
フタバ「そうだ、
行きたいところが
あるんだけどさ、いい?」
タイヨウ「うん。どこ?」
フタバ「え~っとね~・・・」
ほら、タイヨウくん、
私にすごい
馴れ馴れしいでしょ?
しかも、いつもは
小松崎って呼ぶのに、
今日はフタバ。
これはぜ~んぶ私の魔法!
すごいでしょ?
もうタイヨウ君は
私の彼氏っ!
~・~・~・~・~・~・~・~・
タイヨウくんとの
デートは楽しすぎて!
1時間経ったくらいかな?
ん・・・?
待って、1時間?
ヤバ、1時間経つと
魔法の効き目が
切れるんだった!
もう1回魔法かけなきゃ。
クルンッ
ふぅ~、良かった。
フタバ「タイヨウくん!
今度どこ行く?」
タイヨウ「うーん、フタバ、
なんか行きたいところある?」
フタバ「私?
行きたいところなんて
いっぱいあるよ~!
うんとね~・・・」
*~*~*~*~ 1時間後 ~*~*~*~*
あ~、楽しいっ!
あれ、そういえば
もうすぐ1時間
経つんじゃない?
するとその時
ちょうど1時間経ったみたいで、
タイヨウくんは
何もなかったように
私とは反対の方向に歩いていった。
魔法かけに行かなきゃ!
あわててタイヨウくんを
追いかけたけど、
今ここはすごい人。
前なんてろくに見えない。
はぁ、はぁ・・・
やっと人混みを抜けた時には
もうタイヨウくんのことなんて
考えてなかった。
フタバ「あっ・・・!
タイヨウくん・・・
どこ行った?」
そして、タイヨウくんを
見つけようと歩いたとたん。
フタバ「あっ!」
私のポケットから
1つの消しゴムが落ちた。
私が消しゴムを忘れて困ってた時、
タイヨウくんが貸してくれた
消しゴム。
返そうとしたら
「あげるよ」
って言ってくれた。
それからこの消しゴムは
私の宝物。
毎日ポケットに入れてる。
でもその消しゴムがっ・・・!
転がってく~~~!!
私は全速力で追いかけた。
追いかけて追いかけて、
消しゴムがやっと
止まったところは・・・
フタバ「わぁ・・・」
綺麗な広場。
色とりどりのたくさんの花。
小さいけれど綺麗なベンチ。
そして真ん中には
白くてキラキラ輝いている噴水。
お姫様のお庭みたい。
なんか、
お似合いのカップルが
デートしてそう。
そうやって
いろんなことを考えながら
広場を見回していると
目に止まるものがあった。
あれは・・・
タイヨウくん!
私はタイヨウくんに向かって
走っていった。
でも・・・すぐに
足を止めてしまった。
タイヨウくんの隣に
誰かいる。
女の人?
すごく・・・お似合い・・・
やだ!
何考えてるの? 私!
―――お似合いのカップルが
デートしてそう。――――――
彼女・・・?
いやいや、
そんなわけない!
タイヨウくんの彼女は
私なんだから。
そんなわけない。
そんなわけない。
そう信じたいけど・・・
本当に?
私は魔法を使って
タイヨウくんを彼氏にしてる。
あの人は・・・自分の力で。
素の自分で。
素直に気持ちを伝えて。
タイヨウくんとの関係を
自分の力で変える。
私のタイヨウくんは、
魔法が解けたら彼氏じゃない。
いいやちがう。
魔法がかかってたって
タイヨウくんは
私の本当の彼氏じゃない。
全て魔法の力で。
自分の力なんて・・・
少しも使ってない。
私とタイヨウくんは、
本物のカップルじゃない、
付き合ってるフリみたいな。
ううん、
タイヨウくんは違う。
私が、私がタイヨウくんと
付き合ってるフリをしてるみたいな、
私がタイヨウくんを
だましてるみたいな。
大好きなのに。
・・・大好きだから。
大好きだから、
タイヨウくんと
付き合ってるフリをする。
・・・なにそれ。
大好きだからって
何をしてるの?
何を考えてるの?
バカじゃないの?
私、バカじゃないの?
涙がこぼれた。
この杖がなければ
こんなことにならなかったのに。
私は杖を投げ捨てた。
泣いた。
走った。
こんなことしても
何も起こらないのは
知っていたけど。
誰のためにも
ならないけれど。
そうするしか、
ううん、
そうしないと。
私のこの心が
張り裂けそう。
泣いて走って
着いたところは
海の上にかかっている橋。
私は橋の上を
ゆっくり歩いていった。
フタバ「はぁ・・・」
私・・・
何考えてたんだろう。
魔法を使えば
タイヨウくんが
自分のものになるなんて。
魔法がかかっていれば
タイヨウくんが
自分の彼氏だなんて。
そんなこと
あるわけないのに。
私の心はこんなに
ぐちゃぐちゃなのに
ここから見る夕日は
こんなに綺麗なんて。
この世界には
何の変わりもないなんて。
魔法で変えることは
できるけど
自分の力で。素の自分で。
どうやって変えるんだろう。
素直になりたい。
だけど過去には戻れない。
素直に伝えればよかった。
「好き」って。
素直に振られればよかった。
魔法なんて使わなければ。
タイヨウくんを
好きにならなければ。
・・・好きにならなければ。
海に消しゴムを
落とそうとした。
タイヨウくんからもらった、
大事な大事な宝物を。
でも。
「小松崎」
私を呼ぶ声が聞こえた。
びっくりして振り返ると
そこにいたのは、
フタバ「タイヨウ・・・くん?」
どうして
こんなところにいるの?
さっきのことを思い出して
うつむいた。
涙がもっと溢れてきそう。
でも、タイヨウくんに
悲しそうなところを
見られたくなかったから、
無理やり笑顔をつくった。
フタバ「タイヨウくんって
幸せだよね!
彼女もいて!
うらやましいな~!」
でも、タイヨウくんの表情は
変わらなかった。
タイヨウ「あいつとは別れた。
俺はフタバが好きだから」
フタバ「・・・へ?」
タイヨウ「俺は、フタバが好き。
俺と付き合ってほしい」
今、何が起こってるの?
タイヨウくんが
私を・・・好き?
・・・嬉しい。
ううん、
嬉しいだけじゃ表せないくらい、
胸がいっぱい。
だけど・・・
それと同じくらい、
不安でいっぱい。
こんな私が、
タイヨウくんと付き合う。
『こんな私が』
フタバ「ごめんなさい。
ごめんなさい!
私・・・私っ!
タイヨウくんにっ・・・
ま、魔法を────」
タイヨウ「分かってる」
見るとタイヨウくんは
手に私の杖を持っていた。
フタバ「え・・・」
タイヨウ「でも。
俺が好きなのはフタバ。
付き合ってください」
素直になる。
そのために今できることは
1つだけ。
自分の気持ちを
素直に伝えること。
フタバ「・・・はいっ!」
この世界に
恋の魔法は必要ない。
笑って泣いて、また笑う。
こんなに複雑な
私の恋だって
1時間が過ぎて
魔法がの効き目が切れても
私たちの愛は切れないって
今の私でも分かるから。─────
~end~
小松崎 ふたば

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