甘酸っぱいひとことを

CAST髙橋 快空髙橋 快空

作者:みかん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2023.02.05

カイラです。
成績だけが取り柄の私は、
偏差値高めの進学校に
入学したけど・・・





「△△小から来ました、
髙橋カイラです・・・」





うつむいてつぶやく自己紹介、
まばらな拍手。





もう慣れきっている。
新学期はいつもこう。





それにしても、同小出身が
コハナちゃんだけとは・・・
超人見知りの私に、
話しかけるのは絶対無理。





「☓☓小出身、西ユアン。
よろしく」





気だるげなユアン。





イケメンっぽいけど、
休み時間でも
話しかけてくる女子
全員無視。





メガネの奥には、
優しい笑顔が隠れてる、
と、思うんだけどなぁ。





「ねぇねぇ、
カイラちゃんってさあ・・・」





後ろの席から
急に話しかけられた。





「は、はいぃ・・・?」





「ユアンのこと、好きなの?」





「え、えぇ!?
あ、アヤカ、さん!?
そんなこと・・・」





「いやいや、
あせらなくていいよ。
別にライバルとかじゃないし」





「あの、えっと、
そういうことじゃ・・・」





「あ、違った?
ゴメン、カイラちゃん
いつもユアンの方見てるから」





「えっと・・・」





出会って2日目、
好きになれるはずないのに、
なんだか図星をつかれたきがした。





なんとなく
ユアンくんの方を見ると、
目があって心臓が変に動いた。





その後、
数日たった下校時・・・





「ユアンの素顔って
どんななんだろー?」





知らない友人を連れたコハナが、
話しながらカイラの横を
通り過ぎていった。





前の方には
1人で歩くユアン。





カイラは何か
嫌な予感がした。





「ねーねー
確かめてみない?
ちょうどユアンいるしさ!」





コハナの友人はそういったあと、
すぐにユアンをつかまえた。





「あのさーユアン?
メガネ取ってみてよ!」





ユアンが無視をしても、
コハナたちはついてくる。





「素顔見てみたいの!
いーでしょ!?」





うざったそうにする
ユアン。





ついにコハナが
メガネに触れた。





「うっ・・・」





カイラは
見ていられなくなり、
コハナの前に出た。





「や・・・、
やめてあげて、ください!!」





「は? 何よあんた。
ってか、もういいわ。
ユアンなんて飽きた」





そう言って、コハナたちは
去っていった。





「あの、カイラ、ちゃん、
ありがとう・・・」





そう言って差し出した
手の上には、
いくつかの飴が乗っていた。





「えっこれ、
もらっていいの?」





「うん。1つ」





大好きな
グレープフルーツ味を選ぶ。





「ありがとう!」





案外、優しいんだな。





きっと、
メガネのおちかけた
ユアンくんの目が
少し涙ぐんでいたことは、
カイラしか知らない。





あの飴は次の日
屋上で1人でなめた。





ユアンくんの
低く澄んだ声を
思い出しながら。





「ねえカイラ」





振り向くとコハナがいる。





「ユアンに
こびてんじゃないでしょーね。
かわいくもないくせに」





「え・・・?」





言い返す間もなく
コハナは戻って行った。





落ちこんで教室に戻ると、
アヤカが感づいて
きいてくれた。





「どうしたの?
落ちこんじゃって」





カイラは昨日のこと、
屋上でのことを
アヤカに話した。





「あーそっか、
そうだったのか。
正直心配だったんだよね。
ユアン変な子だし。
でも、大丈夫!!
カイラちゃんはかわいいよ!
ちょっと待って」





アヤカはくしとヘアピンを
取り出した。





「!!」





休み時間の間、
カイラはアヤカに
ヘアアレンジ&
メイクもしてもらい、
超かわいくなった!





「えっ、私、変わってる・・・!!
アヤカさん、すごい!!
すごいです!!
ありがとうございます!」





「いいよ、あと、
敬語じゃなくて大丈夫。
カイラちゃんは
もともとかわいいんだから、
すーぐ垢抜けちゃったよ。
ほら、これで
コハナちゃんにも負けない!」





そう話してる間にも、
なんとなくユアンの方から
視線を感じたけど。





「あとは自信を持って、
ユアンに話しかけてみたら?」





「は、・・・うん!」





人に話しかけるのが
苦手だったけど、
アヤカのおかげで
できる気がした。





メイクは、
心の盾になるんだ・・・





「あの、ユアン、くん・・・」





「!?」





「えっと、」





きいてみたいことが、
あった。





「なんで、メガネ、
とらない、の・・・?」





自分の席に座っている
ユアンくんを、
見下ろす格好なのが
恥ずかしい。





でも、話したい!





「あのね・・・」





少しの沈黙の後、
ユアンは話しだした。





「大切な人にしか、
自分を知られたくなかったんだ」





そう言って、
メガネをとった。





「だから、
カイラちゃんには・・・」





差し出した手には、
昨日と同じ、
グレープフルーツの飴が乗っていた。





レンズごしじゃない
ユアンの目と
視線を絡ませていることに
耐えられなくなったカイラは、
すぐに飴を受け取った。





なにげなく
飴の小袋の裏が目に入る。





〈好きです。〉





整った文字で書いてあった。





「えっ・・・!」





『つきあって、ください!!』





2人の声が、重なった。





ほほえむアヤカと、
にらむコハナ。





こうして2人はいつのまにか、
(人見知りもなおり、)
いつも笑顔で有名な
カップルになりました!!





いつかのキスは、
グレープフルーツの味でした。







~めでたしめでたし~

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