やり残したことはない？

CAST髙橋快空

作者：羊の子

2022.09.22

ゆあん「カイラー！
カイラーっ！」

朦朧とした意識の中で
そんな声を聞いた
気がした・・・

って！
もう８時
過ぎてんじゃんっ!?

私、髙橋カイラは
卒業式の日に
寝坊をするという
大失態をしてしまいました！

・＊。・　１時間後　・。＊・

カイラ「はあっ、はあっ」

友達「あっ！
居た居たっ！
カイラーっ！
遅いよもー！」

カイラ「ごっ、ごめ～ん!!!!!
寝坊しちゃって、、、」

友達「えーっ！
卒業式の日にっ!?
しっかりしてよ～
生徒会長！」

カイラ「うぅ～。
気をつけま～す・・・」

友達「そういえばカイラ、
さっき先生に
呼ばれてたよ？」

カイラ「えっ！　嘘!?」

友達「職員室だってぇ～」

カイラ「わかった！
ありがとうっ！」

＊　‐‐‐　＊　‐‐‐　＊

ああ、この学校も、
今日で終わりなんだなぁ。

しかもそんな大切な日に、
寝坊するなんてね。

そうだ、
やり残したこと、
なかったかな。

生徒会は
もう２年生に任せた。
大丈夫。

あの子たちなら、
きっと今よりも
いい学校を作っていける。

？「かーいちょうっ！
生徒会長っ！」

カイラ「うわっ！」

？「あははっ、大丈夫？
やっぱキンチョー
してんのかな？」

カイラ「あっ！　嘘っ！
わかな先輩っ!?」

わかな「ふふふっ、
覚えててくれて嬉しいよ～。
な～んて」

カイラ「来てくれてたんですねっ！」

わかな「もっちろん！
可愛い後輩達の
旅立ちの日だもんね～」

─────急に現れたわかな先輩。

先輩は去年、
この学校の生徒会長で

私は先輩の好きな学校を
守りたいなって思って、
今年、生徒会長に
挑戦してみたんだ。──────────

わかな「あと３０分で
始まるけど、
大丈夫そう？」

カイラ「あはは、、、
実は今日、
寝坊しちゃって
さっき学校来た
ばっかなんですよー（笑）」

わかな「そっかそっか！
でもカイラらしいよっ！
大切な時に少しバカになって、
でもその後には
ちゃんとやり遂げて。
やり残したことは、ない？」

カイラ「・・・
た、多分・・・」

わかな「本当に？
いいのかな～？
ゆあん君を
ほっといちゃって」

カイラ「えっ!?
わっ、わかな先輩
なんでそれをっ！」

わかな「ほら～
やっぱり忘れてた」

カイラ「うっ、、、」

わかな「生徒会長を
務めるのもだけど、
自分のことも
大切にしないと」

カイラ「先輩っ！
ありがとうございます！
私、、、
頑張りますから、
見ててくださいっ！」

わかな「うんうん。
最後のひと仕事、
頑張って。
ちゃんと見てるから」

＊　‐‐‐　＊　‐‐‐　＊

「髙橋快空」

カイラ「はいっ！」

カイラ「在校生のみんな！
この１、２年ありがとうっ！
これからはみんなが、
この学校を守っていってね!!

卒業生のみんな！
３年間ありがとう！
みんなで行った
林間学校や修学旅行、
すっごく楽しかった！
これからはバラバラだけど、
それぞれの道を頑張って進もう！

先生方！
たっくさん迷惑かけたと
思いますが、
私たちを卒業させてくれて
ありがとうございます！
この学校で学んだことを生かして！
この先も頑張っていこうと思います！

（大丈夫。大丈夫。
先輩、大好きな先輩と約束した。
最後は自分勝手でもいい！　やる！）

最後に!!!!!　ッ!!!!!!!!!
ずっとゆあんを見てました！
好きです！
こんな、卒業式で自分勝手なこと
するような私だけど、
そんな私でもよければっ、
付き合って下さいっ！」

ゆあん「俺も！
ずっとカイラが好きだった！
高校行っても
ずっと一緒にいよう！」

あまりの嬉しさに
なみだが溢れ出てきた。

こんなっ、こんなに
嬉しいんだっ。

わかな先輩、
見てるかな？
私、頑張りました。

こんな私でもいいって
言ってくれたの。

隣に居続けられるように、
これからも頑張らなきゃ！

＊　‐‐‐　＊　‐‐‐　＊

ゆあん「おーい！
カイラーっ！
写真撮るから
お前も早く来ーい！」

カイラ「うんっ！」

────私はこの人とずっと

歩んでいきます。───────

＊ｅｎｄ＊