見つけた“自分らしさ”

CAST髙橋 快空髙橋 快空

作者:あまちゃん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2022.01.29

「めあり~!!!!」





「あっここは!」





―――今日もメアリ先輩
可愛いなぁ・・・





おっと、
気づかれないように
・・・っと。





「メアリ先輩・・・っ!」





「あっ、かいちゃん!
おはよう~」





「お、おはようございます・・・」





・・・よしっ!!
あ、挨拶できた・・・っ!!





「あ、カイラ~!!」





「あ、アキ・・・!」





「おはよーっ、て、
まぁたメアリ先輩!?
ほんとカイラ
メアリ先輩
好きだよね~」





ドキッッ!!





「ふふふ、私も
カイラちゃん
大好きだよ」





かぁぁっ





「ん? カイラ?
真っ赤だよ!」





ぽーっっ・・・





って!!
こ、答えなきゃ!





「あ、あぁ?
そ、そうかなぁ・・・?」





「うん~(笑)
変なカイラ!
あ、それより昨日の
summer Man見た~?」





「え、あ・・・うん。
見たよ」





「やっぱりニコール
カッコいいよね~!」





「うん、ね・・・」





あ、行っちゃった・・・





やっぱり可愛い
メアリ先輩の隣には、





可愛いここは先輩が
お似合いかぁ・・・





・・・あーあ。
言えるわけない。





メアリ先輩のことが、
好きだなんて。





自分はいわゆる
トランスジェンダーだ。





でもずっと
隠してきた。





親友のアキにも・・・





もし打ち明けたら
離れられるかもしれない、





自分を曝(さら)け出したら
嫌われるかもしれない
という恐怖心と、





ずっと戦って
生きてきた。





普通の女の子なら、





普通のJCなら・・・





頭の中はいつも
それだけ。





頑張ってメンズ
アイドルの情報も
調べたり、





今女子の間で
何が人気なのか、





いつだってアンテナを
はってる。





メアリ先輩への
想いも・・・





きっと届くどころか、
誰にも知られることなく
消えていくんだろう。





でも、メアリ先輩が幸せなら
良いって決めたんだ。





自分はただの
“可愛い後輩”。





誰も知らない方が
いいことなんだから。





でも、メアリ先輩を
見ていると、やっぱり
諦めたくない気もする。





でも、自分勝手に
他人(ひと)を
困らせたくない。





誰も不快にさせずに
生きることが、





自分にできる
精一杯の気遣いなんだ。





隣にいることが
できるだけで、





自分は幸せ。





「カイ・・・」





「あ、アキ~。
髪可愛いじゃん」





「あ、ありがとう」





あ、あれ・・・
なんか、
やな予感がする―――。





「うん、あ、そうだ。
コウショウ先輩とは
どうなの」





「あっそうそう。
めっちゃいい感じでね~!!」





胸騒ぎが止まらない。





なんだろう・・・





アキから言おうとしてた。
何かを。





でも言わせたくない
自分がいる・・・





「あのね、カイラ」





「な、何・・・?」





「・・・今日の恋バナは、
公園じゃなくて
屋上にしない?」





「・・・なんで?」





「あ、いや・・・
なんとなく」





焦ってる。





アキ、なんか
考えてるんだ。





何か伝えようとしてる・・・?













*...・・・*...・・・*





放課後―――





「カイラ・・・
ごめんね、いきなり。
場所変えて」





「いや・・・
それで?」





あぁ・・・嫌だ。
聞きたくない。





なんとなく察しは
ついてる。





アキが何を
言おうとしているか―――。





「カイラ、もしかして、
なんだけどね」





「―――うん」





「カイラは・・・
メアリ先輩のことが、
好き・・・なの?」





ドクン・・・





やっぱり。
気づかれた。





「うん・・・
先輩として
尊敬してる」





「そっか・・・」





・・・





冷や汗が出てきた。





「カイラ」





「ん?」





嘘つくなって
言われんのかな・・・





嫌われる?





ならいっそ言う?
アキなら・・・





いいや、だめだ。





今までなんのために
頑張ってきた?





あぁ、今は出来るだけ
冷静に・・・





「・・・苦しい時は、
言っていいんだよ」





「・・・!!!!」





―――そうだ。
アキはこういう人だった。





でも・・・





「言ったところで
アキに何が出来るの―――?」





「えっ、カイラ・・・」





「アキにはなんも
わかんないじゃん!!」





だっ





「カイラ!!!」





―――アキにバレた。





アキ、
もう分かってる。





どこまで
バレたかな?





階段を泣きながら
駆け降りる。





途中の物陰で
しゃがみ込んだ。





なんのために
自分隠して
生きてるんだろう・・・





声もなく泣いた。













*...・・・*...・・・*





1週間後―――





「今日も休み・・・」





「おーい、
アキちゃん~」





「メアリ先輩・・・っ!?」





「・・・ちょっと、
いい?」





*・。+ *・。+





「そっか、
そういうことだったの」





「はい・・・
私がカイのこと
なんも考えずに、
デリカシーのないこと
言ったから・・・」





「ううん!! 全然だよ!
それ以上踏み込まない
選択をした
アキちゃんは偉い!
すごいよ!」





「せ、先輩・・・ッ!!」





「でもね、私も
少し思ってたの。
『あれ? もしかして』って」





「・・・やっぱり、ですか」





「うん・・・でも、
そういう心を持った人って、
やっぱり私たちみたいな人の
何十倍もデリケートだし、
気をつかってると思うのね。
だから、いきなりバレて
あせっちゃったんだと思う」





「・・・」





「よし!
アキちゃんは今
どう思ってるの?」





「・・・カイに会いたいです。
話せなくても
顔が見たい。
元気かな・・・
自分のせいで、
カイラを変えたくないし
傷つけたくもないし、
そんなつもりじゃなくて・・・
でも、安心させたいと
思ってやったことが、
余計不安にさせちゃったなって、
後悔してます」





「・・・やっぱりアキちゃん、
カイラちゃんのこと
本気で好きなのね」





「・・・はい」





「人それぞれの
“好き”があるし、
それが違うのって
変なことじゃない。
だから、アキちゃんも
フラットな感じで
接してあげるといいかもね」





「・・・先輩!
ありがとうございました!!!
ちょっと私・・・
行ってきます!!」





「あ、アキちゃん・・・!?
・・・ふふふ、
あらあら、誰かさんに
そっくり」





「“誰かさん”って
失礼だなー」





「ここは!
いつからいたの!?」





「初めから! 
メアリ、何するか
分かんないから」





「まさか!
可愛い後輩ちゃんに、
手出したりしないわよ」





「そっちの心配は
してないっちゅうの!
―――でも、あの子
メアリのおかげで
安心したんじゃない?」





「だといいんだけど」





「・・・メアリが
カイラちゃんと
同じってこと、
あの2人
わかってるの?」





「さぁね!
まぁ、私なんとも
思わないけど
誰が誰好きになったって
いいじゃない!
素敵なことだよ!」





(やっぱメアリ
すごいなぁ・・・)





「あら、どしたのそんな
見つめちゃって」





「―――ううん!
ウチらも今日くらい
パーっと遊ぶか!」





「いいね!
どこ行こう?」





「えーとね~・・・」













*...・・・*...・・・*





―――カイラ宅にて





ピーンポーン





『はい』





「あ、あのっ・・・
アキです」





『あらアキちゃん!
宿題か何か届けに?』





「いえ・・・ちょっと
カイに
言いたいことがあって」





『あら・・・ごめんなさい、
今カイラは従姉妹の
お姉さんの家よ』





「えっ・・・」





『ちょっと
待っててね』





がちゃっ





「アキちゃん
お久しぶり~
大きくなったわね!
どうぞ上がって」





「あっ、お久しぶりです。
お邪魔します・・・」





「来てくれて
ありがとうね」





「い、いえ!」





(実質私が休ませている
ようなものだし・・・)





「カイラ、休んでるけど、
実際はここだけの話、
元気なの。
普通にもりもり
食べてるし・・・
でも、学校で何か
あったみたい」





ドキッ・・・





「実は、私も何が
あったか
よく分からなくって・・・
アキちゃん、
何か知らない?」





「・・・実は、
私のせいなんです!!」





「えっ!
あ、アキちゃん!?
泣かないで!
ゆっくり、
ゆっくり・・・」





「なんだ、
そういうことね。
アキちゃんも
気づいてたの」





「はい・・・
本当にすみません」





「いいえ!
まだそうと
決まったわけじゃ・・・」





「いえ。
これは私の責任です。
会いに行かせて下さい!
そのお姉さんのおうちは
どこですか!?」





「・・・ちょっと遠いけれど、
自転車で行けるくらいの
距離だと思う。
地図はこれよ」





「・・・はい!
ありがとうございます」





「・・・気をつけてね」





「はい!」

















*...・・・*...・・・*





「・・・ハァ、ハァ
ここか・・・」





(よし!
カイに謝らなきゃ!)





ピーンポーン





「・・・はい」





「っ! カイ!」





「あ、アキ・・・!?」





「あのね、
伝えたいことが・・・」





ガチャっ





あ、切れた・・・





(やっぱり私になんて
会いたくないよね・・・)





帰ろう・・・





ガチャっ





「・・・アキ」





「カイラ・・・!!」





「上がる・・・?」





「ほんとにごめんね・・・」





「ううん」





不意に涙が
こぼれ落ちた。





ずっと溜め込んできた思い。





もしかしたら、
もしかしたら――――





「アキ・・・
自分はじぶんらしく、
生きていいのかな・・・!」





「当たり前じゃん!
どんなカイラも大好き!」





大声で泣いて笑った。





メアリ先輩のことも
言えたし、





少し距離があるうちに、
考えが整理されていた。





「ねぇカイラ!
今からカイラが
じぶんらしくなるための
旅に出よう!」





「うん! って・・・
は!!!??」





「はやくはやく~!」





そのあとアキに
引っ張られ、
買い物に行った。





「メンズの服
買おうよ」





(えっでも・・・)





「おそろいで!」





「・・・!! うん!!」





今までの中で
1番楽しかった。





お母さんの選んだ
フリルじゃなくて、





自分の好きな格好が
できるなんて。





「次は髪!」





「えっ」





「カイラ、人の目気にして
無理に伸ばしてるでしょ!」





「うっ・・・」





「今はこういう
マニッシュなショートも
流行ってんの!」





「は、はぁ・・・?」





「いいからいいから!」





そうこうしている間に
日が暮れた。





そして、





「カイラ!
めっちゃいいよ!
イケてる!」





「あ、ありがとう・・・照」





「・・・メアリ先輩、
もう卒業しちゃうでしょ」





「あー、、うん」





「あーうん、じゃないよ!!
想い、伝えなくて
いいの!?」





「・・・・・・アキ、
自分なりに、
想い伝えようと思う」





「カイラ・・・!!」





「でもやっぱり、
不安かも・・・」





「・・・大丈夫!
“感謝チョコ”渡そ!」





「かんしゃちょこ?」





「うん!
私もそれで
コウショウ先輩に
告るんだ~」





へぇ・・・





・・・よしっ!
自分もそれで、
想い伝えるんだっ!!













*...・・・*...・・・*





1ヶ月後―――





「メアリ先輩っ・・・!」





「ん? あー、
かいちゃん!」





「あの、これ・・・」





「わー! 嬉しい!」





「先輩のことが・・・
大好きでした。
忘れないでください」





「うん・・・ありがとう!
すごく嬉しかった。
あと、かいちゃ・・・
カイラ、今すごく
イキイキしてて、
かっこいい」





「えっ・・・
か、かっこいい、すか」





「うん。
今度の出し物でも
男装するんでしょ?
楽しみ」





「あ、ありがとうございます!
先輩来るなら
頑張ります!」





「ふふふっ、あのね、
実は私も
レズビアンなの」





「え、えええ!?
せ、先輩が!?
で、でも先輩、
レオン先輩と
付き合ってるって・・・」





「レオンはただの同小で
なんでもないわよ!
それよりね・・・
私、カイラが好き」





「先輩・・・」













*...・・・*...・・・*





一方――――





「えっほんとに!!」





「うん・・・
アキちゃん可愛いし、
好きだよ。
ただ・・・しばらく
会えないかもだけど、
いいの?」





「は、はい! 全然!
私はいつでも
先輩一直線なんで!」





って、
何言ってんの私―――





「そっか・・・
ほんと、可愛い。
アキちゃんは
俺が守らなきゃだね」





ぎゅっ





「せ、先輩・・・!」













*...・・・*...・・・*





1ヶ月後―――





「もー、カイラ
おっそい!」





「ごめんごめん!
あっ、メアリ先輩、
待ちました!?」





「ううん!
今来たところ!
って、敬語ダメって
言ってるでしょ、
カイ!」





「っあーごめんごめん!
・・・今日も可愛いな」





―――結局、自分は先輩と
付き合うことになった。





今日は、初の
ダブルデートだ。





「あら、ありがと/////
カイもかっこいい」





「あーもーう、
先輩おそ~いっ」





「ごめんね、アキちゃん!
待った!?」





「寂しくて
死んじゃいそうでした~。
もうっ
先輩のばかばか!」





「えへへ、ごめんね、
今日も可愛いね
アキちゃんは」





「えっ、
ほんとですか/////」





「うん、
アキちゃんが
1番可愛い」





「もう、先輩ったら~/////」





「・・・なんすかあ、れ」





「うーん、私たちも
あれくらいが
いいかもね」





「えっ?」





「カーイラっ行こっ!
/////」





「わっ手!!」





「あら、嫌なら
離してもいいのよ?」





「・・・絶対
離さないでください!
先輩は自分が守ります!」







友達も恋人も・・・





いろんな“好き”に
隠された
“じぶんらしさ”。





それに気づけた自分は、
今最強に幸せです!











*end*

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