4文字クリスマス

CAST林 芽亜里林 芽亜里

作者:第2号の金魚

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2019.11.29

私は隣のクラスの男の子に
恋をしている。





中学生になってずっと、
伝えることができない
想いを隠して。





時々、体育や英語の
移動教室の時に、
すれ違うことがあるんだ。





メアリ「あ・・・」





来た。





お・は・よ・う





その言葉が
なかなか出なくて。





言うと言わないじゃ
全然違うから、
言葉に出してみたかった。





君は通り過ぎていく。





メアリ「今日も
言えなかった・・・」





林メアリ。
中学2年生。
冬。





ココハ「メアリってば!
聞いてる?」





メアリ「・・・あ、ごめん」





親友の阿部ココハは、
人形みたいに
可愛い女の子だ。





しかも、明るくて
男女問わず人気で、
いろんな人を
笑顔にさせる。





ココハ「マホ先輩、
またカケルくん
見に来てるよ」





マホ先輩。
その人は私達が
所属している
吹奏楽部の先輩。





カケルくん。
その人はオオカミみたいな
鋭い目を持ち、
クールな表情で、
私の好きな人。





メアリ「先輩、
絶対カケルくんのこと
好きだよね・・・」





ココハは
私のほっぺを
両手で挟む。





ココハ「メアリ、
弱気にならないの!」





メアリ「だって・・・」





ココハ「マホ先輩は、
1個上の階にいて、
それでもカケルくんに
会いに行って、
話してるんだよ?
それに比べてメアリは
隣のクラスなのに、
話せてないんだよ?」





ココハの言葉が
胸に刺さる。





メアリ「仕方ないよ。
私はこんな性格なんだから」





昔から人見知りで
おとなしい私。





私は目を伏せて
落ち込んでいると、
ココハはニッと笑う。





ココハ「弱気なメアリに
いいこと教えてあげる!」





私が顔を上げると、
ココハは続ける。





ココハ「気持ちっていうのはね、
少ない文字で伝わるんだよ」





メアリ「どういうこと?」





ココハ「私が思うに、
気持ちを伝える言葉は
4文字でいいの!」





ココハは中々
カケルくんに
アピールできない私を、
責めたりしなかった。





いつもこうやって
側でアドバイスをしてくれた。





それを実行することが
できなかった私は、
自分に腹が立った。





ココハ「例えば、
『おはよう』『ばいばい』
『ごめんね』『ありがと』
『よろしく』『がんばれ』
あと・・・」





ココハは
意味深な表情で言う。





ココハ「ふふっ
『好きだよ』もだね!」





メアリ「そんなにあるんだ・・・」





ココハ「たった4文字に
どれだけ想いを
込められるか、だよ」





ココハ「伝える言葉は
多くなくていい。
多く必要なのは、
伝える気持ちの量なの」





ココハの言葉は
とてもたくさんの
勇気をくれる。





メアリ「ココハ、
ありがと。
やっぱりココハは
すごいね!」





ココハは
私の言葉を聞いて、
ふふっと笑う。





ココハ「今ね、『ありがと』と
『すごいね』が出たよ。
私ね、今の言葉
すっごく言われて嬉しい」





私は自然と
笑顔になる。





中1の時は、
同じクラスで
今よりは全然話せれた。





クラス替えで分かれて、
全然話さなくなって・・・





私はすごく
悲しかった。





だけど、





ココハ「カケルくんが
1人になった時が
チャンスだよ!
がんばれ!」





頑張ってみたい。





メアリ「うん、
ありがと!」













*○・*○・*○・*○・*○・*





・放課後・





ココハ「メアリー!
私先生に呼ばれてるから、
先帰っててくれん?
ごめんね!」





メアリ「ううん、
大丈夫だよ。
ばいばい!」





ココハ「うん!」





ココハと別れて
靴箱に向かった。





上靴を入れて
靴を取り出す。





タカト「今日のシューティング対決、
俺が勝ったんだから、
おごれよー!」





カケル「タカトの最後の
シュートさー、
タイマーなったあとだから、
無効で1点差で
俺が勝ってたんだけど」





タカト「カケルー!
ひでぇよー!」





カケル「何もひどくねーわ」





バスケ部の2年レギュラー
2人がやってきた。





その中に、
私の好きな人もいる。





タカト「うわ、
やべっ・・・」





カケル「どーした?」





タカト「今日塾の日だった・・・
カケル俺ダッシュで
帰るわっ!」





カケル「そういや、
そうだったな。
坂道ダッシュ頑張れー!」





タカト「おう。じゃあな」





大倉くんが走ってきて、
玄関の入り口の前にいた
私とぶつかった。





タカト「わっ・・・
林さんごめん!」





そう言って
また走り出して、
数秒で学校の門を
くぐっていった。





カケル「ぶつかっておいて、
ごめんだけとか。
礼儀なってないな」





カケルくんは靴箱に
もたれかかった状態で
私に目を移す。





カケル「林、大丈夫?」





メアリ「だっ、大丈夫だよ!」





カケル「おう、そーか」





そういってカケルくんは
外履に履き替える。





カケルくんと
2人っきり・・・





ば・い・ば・い





その4文字を言う
チャンスだ。





カケル「なぁ林。
外見てよ」





玄関のドアの前にいた
カケルくんがそう言った。





メアリ「え?」





私はカケルくんの
隣に立つ。





カケル「ほら、あれ」





カケルくんの
指差す方向には、
キラキラと輝く
イルミネーションがあった。





メアリ「わっ、きれい!」





カケルくんは
私の方を見る。





カケル「だよな」





カケル「もうすぐクリスマスじゃん?
だからイルミネーションとかで
客引きしてんじゃねーの」





メアリ「そう言うことか」





カケルくんは、
私を見ながら笑い出す。





カケル「林、中1の時、
もっと喋ってなかった?」





あれは、カケルくんと
喋ってて
楽しかったからだよ。





今も楽しいけど、
こうやって話すの
久しぶりで、
緊張してるの。





メアリ「そうかな」





カケル「なんかあった?」





中1の時もそう
聞いてくれたことがあった。





何にもないよって
言おうと思った。





私は変えてみることにした。





メアリ「私は今、
カケルくんと話していて
すごく楽しいよ」





するとカケルくんは
ボソッと呟いた。





カケル「林、そんなこと
思ってたんだ・・・」





メアリ「えっ・・・あ・・・」





カケルくんの顔が
赤い。





カケル「俺も、
そう思ったよ」





今度は私の顔が
赤くなる。





メアリ「そ、そうなんだ・・・」





気まずい空気の中、
カケルくんは
腕時計を見た。





カケル「そろそろ
バスの時間が来るから、
俺行くわ」





メアリ「うん」





お別れの時に言う
4文字は・・・





メアリ「・・・ば、ばいばい!」





カケルくんは
振り返る。





その顔は
優しい笑顔だった。





カケル「おう! じゃあな!」





やっと言えた・・・





私は1人小さく
微笑んでいた。













*○・*○・*○・*○・*○・*





・次の日・





おはようのチャンスは
1回だけ。





私は、学校に着くと、
廊下で昨日のことを
ココハと喋っていた。





ココハは、
私に抱きついて、
嬉しそうに笑っていた。





ココハ「やったじゃん!
ばいばいって
言えたんでしょ!」





メアリ「うん!」





やっぱり私、
カケルくん好きだなぁ。





すると突然
ココハがニヤつく。





ココハ「おはようを言う
チャンスが来たよっ!」





私はココハの
見る方を向く。





そこには・・・





カケルくんがいた。





お・は・よ・う





昨日言えなかった言葉。





私は一歩踏み出して
カケルくんとの
距離を詰める。





メアリ「お、おはよう!」





カケルくんは
私に気づく。





カケル「あ、林か」





カケルくんは
片目を細め、
笑う。





カケル「林が改まって
おはようって言ってくんの、
なんかおもろい」





メアリ「へっ!?」





カケル「冗談。からかった。
林、おはよう」





そう言って、
再び笑った。





私はココハの元に戻る。





ココハ「何、
いい感じじゃん!」





メアリ「そうかな・・・」





『おう!
じゃあな!』





『林、おはよう』





私はカケルくんの
言葉を思い出して、
口元がほころんだ。





たった4文字なのに、
すごく嬉しい気持ちになる。





それはきっと、
好きな人が言う
言葉だからだ。













*○・*○・*○・*○・*○・*





・給食前・





私が、手を洗いに
廊下に出た時だった。





隣にカケルくんが
やってきた。





手を洗い終わり、
ハンカチで拭いていると、
隣でカケルくんが言った。





カケル「昨日言った
イルミネーションさ、
クリスマス、すっげー
派手なやつやるらしいぜ。
これ、チラシもらったからあげる」





そう言って、
1枚の紙を私にくれた。





メアリ「昨日見たやつでも
十分すごいと思ったけど、
もっとすごくなるんだ。
見に行こうかなー!」





カケルくんは
嬉しそうに笑う。





カケル「・・・よかったな」





メアリ「うん。
教えてくれてありがと!」





カケルくんは
自分のクラスに
戻って行った。





・・・カケルくんと一緒に
見に行けたらなぁ・・・





そんなこと、叶うかな。













*○・*○・*○・*○・*○・*





・放課後・





マホ「カケル!」





カケル「マホ先輩?」





靴箱でカケルくんを見つけて
話しかけようとした時だった。





声かけのタイミングで、
マホ先輩の方が先だった。





マホ先輩の手には、
ある紙が握られていた。





マホ「私さ、もう受験生で
中々思い出づくりができなくて・・・
だから、中学校最後の
思い出づくりで、
これ、カケルと
行きたいなって思って」





カケル「イルミネーションですか」





マホ「クリスマスの日だよ!
明日から冬休みなんだから、
カケルと会えないの嫌で。
だからクリスマスの日
会いたいなって」





カケル「・・・そうですか」





マホ「私の思い出づくり、
手伝ってよぅ!」





私はカケルくんからもらった
イルミネーションの広告を
ぎゅっと握りしめて、
カケルくんの横を通り過ぎた。





そして、靴に履き替えて、
ダッシュでその場を去った。





カケル「林・・・?」





私は走り続ける。





息が荒くなって、
呼吸が苦しくなっても、





涙で目の前が、
かすんで見えても、





私は早く、その場を
立ち去りたかった。





メアリ「うぅ・・・」





一緒にイルミネーション、
見たかったな。





明日から冬休み、
私はカケルくんの
ラインのアドレスを
持っていない。





一緒にイルミネーション
みたいなんて、
今更伝えられない。





カケルくんには、
マホ先輩がいるのだから。





メアリ「カケルくん・・・」













*○・*○・*○・*○・*○・*





冬休みが始まって、
ちょっとしてからの
ことだった。





ココハから
ラインが来た。





《今さ、ラインで
話題になってるんだけど、
カケルくん、
マホ先輩と
付き合ってるってさ》





心が激しく痛んだ。





私は中々
打ち返せなかった。





でも、大丈夫だって、
自分に言い聞かせながら打つ。





《そうなんだ。
でも、お似合いだと思うよ》





認めたくなかった。





でも、そう言うしか
なかった。





《本当に
そう思ってるの?》





ココハに本音を突かれて、
私は、喉から何かが
こみ上げてきた。





私は、涙をこらえながら、
ゆっくりと4文字打った。





《いやだよ》





本当にいやだ。
マホ先輩のものになんか
ならないで。





《そうだよね?
いやでしょ。
その思い、
伝えるべきじゃないかな》





《誰に?》





《カケルくんしか
いないじゃん。
もしかしたら・・・
あるかもよ。
チャンス》





《チャンスなんてないよ。
もうマホ先輩と
付き合ってるんでしょ?》





《誰がうわさしたか
知らないけど、
本人に聞いたわけじゃないから、
まだ分からないよ》





私は、ココハの言葉に
少しは希望を持ったけど、
その後、
再び勇気をなくした。





《ほとんどの人が、
カケルくんとマホ先輩は
付き合ってるって
思ってるんでしょ?》





《メアリは、
そのほとんどの人を信じるの?
私はカケルくんと会って、
ちゃんと聞いてみるべきだと思う。
その方が正しいと思わない?》





ココハの意見は
とても正しい。





《でも私、カケルくんの
アドレス持ってないよ》





《私、タカトに聞いて
もらってきてあげるよ》





その数分後、
カケルくんのアドレスが
送られてきた。





私はカケルくんとの
トーク画面を開いて、
打った。





《カケルくん、
話したいことがあって、
メールしたんだけど、
今いい?》





すぐ既読がついて、
返信が来た。





《林?
俺も話したいことがある。
今会える?》





《うん。分かった》













*○・*○・*○・*○・*○・*





・ニコラ公園・





カケル「林!」





私服姿のカケルくんは
とても眩しかった。





でも、私の顔は
笑っていない。





カケルくんは
ブランコに手をかける。





カケル「ブランコに座って話そ」





私はカケルくんの
隣のブランコに座った。





カケル「・・・話って何?」





私は、カケルくんの
目を見ずに言う。





メアリ「・・・か、カケルくんは
マホ先輩と
付き合ってるの?」





中々勇気のいる質問だ。





カケル「冬休み前
最後の学校の日、
俺とマホ先輩が
会ってたから?」





メアリ「・・・それもあるけど、
メールで話題になってたから」





カケルくんは
ため息をつく。





カケル「メールで
話題になってんだ」





カケルくんは
ゆっくりと話し始める。





カケル「俺とマホ先輩はね、
家が近いから
よく会うこともあるんだけど、
俺はマホ先輩とは
付き合っていない」





私は驚いて
顔を上げる。





カケル「前に・・・さ、
好きって言われたこと
あったんだけど、
それ、断ったんだ」





メアリ「そうだったんだ。
よかった・・・」





私は思わず
口を押さえた。





カケル「よかったって・・・
林、俺とマホ先輩のこと、
気にしてたの?」





これはもう、
言うしかない。





メアリ「そう言われたら、
そうなるよ。
だって私・・・っ」





私は頬を
赤く染めて言う。





メアリ「カケルくんと
イルミネーション
見たかったから!」





それを聞いていた
カケルくんは、
恥ずかしそうに、
でも嬉しそうに言う。





カケル「・・・じゃあ、行こ」





メアリ「えっ・・・いいの?」





カケル「結局俺、マホ先輩と
イルミネーション行くこと
断った」





メアリ「そうだったんだ」





カケルくんは、
まっすぐに
私を見つめた。





カケル「俺、
好きな人いるし」





私は思わず
目をそらした。





それを見た
カケルくんも、
私から離れる。





カケル「・・・あーもー、
伝んねぇ」





メアリ「どう言うこと?」





カケル「林は超鈍感」





メアリ「へっ?」





カケル「なんでもねーよ。
俺、この後部活あるから、
イルミネーションのこと、
またメールする」





メアリ「分かった」





カケル「じゃ、
俺行くからな」





メアリ「うん。
ばいばい!」





カケルくんは
手を振った。













*○・*○・*○・*○・*○・*





・クリスマス・





私は、クリスマスらしい
赤のスカートに、
モコモコしてて、
袖がふわっとしているトップスで、
薄いブラウンのコートだった。





耳には白の
ファーイヤリング。





カケルくんが
やってきた。





カケルくんもシンプルだけど、
カッコいい服を着ていた。





メアリ「カケルくん!」





カケル「林。
なんかサンタみたいだな」





スカートのことかな?





カケル「林って
いろんな服着れるよな。
ガーリーとかカジュアルとか、
ストリートとか」





私はカケルくんの
目を見て言う。





メアリ「ありがと!」





伝える言葉は
多くなくていい。
多く必要なのは、
伝える気持ちの量だ。





そう言ってくれたのは、
ココハだ。





カケルくんはじっと
私の目を見ていた。





メアリ「か、カケルくん?」





カケルくんは、
はっとして、
目をそらした。





カケル「ごめん、
ボーッとしてたわ」





カケルくん、
どうしたんだろ。





カケル「それより林、
イルミネーションの
点灯の瞬間見ようぜ!」





カケルくんは
私の手を掴み、
走り出す。





私は、繋がれた手を見て
微笑みながら、
カケルくんの後を
ついていった。





「イルミネーション点灯まで、
10! 9!」





カケル「ギリギリ
間に合ったな・・・
林、大丈夫か?」





「8!」





メアリ「うん。
大丈夫!」





「7!」





突然、人が多くて
私は押されて
倒れそうになる。





「6!」





カケル「林っ!」





「5!」





カケルくんは
私の手首を掴む。





「4!」





私は、カケルくんのおかげで、
流されずに済んだ。





「3!」





メアリ「カケルくん。
ありがと」





カケルくんは
私を見つめたまま黙る。





「2!」





カケルくんは、
無言で私に近づいて・・・





メアリ「え・・・」





「1!」





私を・・・
ぎゅっと
抱きしめた・・・





「メリークリスマス!」





カケルくんの温もりが
触れたところから
伝わってくる。





メアリ「か、カケルくん?」





カケル「メリークリスマス。
林」





カケルくんは
そう言ったけど、
私を離さない。





メアリ「メ、メリークリスマス。
カケルくん・・・」





私は人に見られて
恥ずかしく思いながら
カケルくんに聞く。





メアリ「カケルくん・・・
そろそろイルミネーション
見ない・・・?」





カケル「・・・ごめん俺、
我慢できんかった」





メアリ「え?」





カケル「俺・・・林が好きだ」





私は口を
パクパクした。





顔から
火が出そう・・・





す・き・だ・よ





メアリ「私もすきだよ」





カケルくんは
突然私から離れる。





カケル「まじで?」





メアリ「うん」





抱きしめられた時は
驚いたけど、
両思いだって知って
嬉しかった。





カケルくんは、
頬を赤らめ、
目を細めて笑う。





カケル「・・・やべ、嬉しい」





私はそっと
カケルくんの手を握る。





メアリ「私は、
ただの好きじゃなくて・・・」





好き以上の
4文字の言葉。





それは、





メアリ「だいすき、だよ」





カケル「俺も」





イルミネーションが輝く
クリスマスツリーは、
まるで、私たちを
祝福しているかのように
美しい輝きを放っていた。





まるで、冬空から
落ちてくる星のように。





私たちはその星たちを
心ゆくまで眺めていた。





お互い、
大好きな人の隣で。







*END*

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