バレンタインの奇跡

CAST林 芽亜里林 芽亜里

作者:ユヅ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2022.02.04

「ごめん、
俺たち、別れよう」





少し悲しげに言う
彼を見ると、
断ることなんて、
できなかった。





「うん、わかった」





私は、わざと明るい声で
言って、微笑んだ。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





林芽亜里、
高校1年生。





初詣に行った日、
私は3人目の彼氏と
別れた。





結構長い片思いをして、
やっとのことで
付き合えることになった彼。





でも、まさかの3ヶ月で、
別れてしまった。





なんでも、
他に好きな子が
できたと言う。





これで、今年も
1人っきりの
バレンタインになる。





実は私、今まで1度も
『現彼氏』に
バレンタインチョコを
あげたことがない。





だから、
バレンタインデート
とかもない。





ずーっと1人ぼっち。





まあ、
仕方ないんだけどさ。
・・・こんな私だし。





私には、いろいろ
面倒くさいところがある。





それはまあ、
近くにいれば
わかるんだ。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





朝。





校門を通ると、
横並びになっていた子が、
さっと端によけた。





他の子も、
私に気づけば
さっと下がる。





私は、特に気にせず
真ん中を通る。





こういうところが、
偉そうと言われる
理由の1つだろう。





つまり、みんなから
あまり好かれてないと
言うこと。





?「よっ」





1人の男子が、
私の肩を叩いた。





メアリ「あ、おはよう
ハアト」





ハアト「はよー。ってか、
お前って、よくこんな
『お通りくださいませー』
的なの余裕で
いられるよな」





彼は、八田ハアト。





私の数少ない
理解者だけど、
ちょっとウザい
ところもある。





メアリ「向こうが
避けてるだけだし、
変にあーだこーだ
言うのもアレかなって」





ハアト「ふうーん。
ま、そーゆーとこは、
俺は嫌いじゃないけどな~」





メアリ「はいはーい。
参考までに
聞いときまーす」





ハアト「うぜー。
せっかく言って
やってんのに」





ハアトの声には
返事をせず、
私はそのまま
校舎に入って行った。





ハアトと
教室に入ると・・・





「え、林さん、
早速変えてる!」





「はや~。
それぐらい
だったんだね」





「なんか
かわいそう」





ヒソヒソヒソ。





みんながこちらを
チラチラみては
何か言っている。





きっと、
私が彼と別れたのに、
ハアトと一緒に
教室に来たので、
勘違いでもしたんだろう。





ハアト「あ、お前
別れたのか」





メアリ「そんな明るい声で
言わないでくれる?
結構ショック
だったんだけど」





ハアト「その割には、
顔色いいけどな」





メアリ「メイクで
誤魔化せるんですー」





私は自分の席に座って、
はあ、とため息をつく。





その途端、私のことを
ヒソヒソ言っていた子達が
私をハッとした顔で
見て、黙る。





いや、怒っては
ないんだけど。





すると、1人の女子が
私の机の前に立った。





顔を上げると、
よく知らない女子だった。





誰?





?「ねえ、蓮くんと、
なんで別れたんですか?」





メアリ「え?」





いや、ほんとに誰?!





っていうか、
なんで敬語なのか、
すっごく謎だ。





?「私、隣のクラスの
太田雫です」





メアリ「は、はあ・・・」





シズク「それで、なんで
別れたんですか?」





結構ショックを
受けてるのに、
いちいち深く
聞いてくる。





今までも
そういうことは
あったけど、
正直イラッとくる
時もある。





蓮、っていうのは、
私の元カレのことだろう。





そもそも、知らない子に
教える義理もない。





メアリ「あなたには
言う必要ないでしょ」





私は、カバンから
本を出して開いた。





こうすれば、大体の子は
帰ってくれる。





シズク「ありますよ、
必要」





驚くほど冷たい声で
言われ、
パッと顔を上げた。





シズク「調子乗ってませんか?
それとも、男子から
好かれれば
それでいいとか?」





メアリ「え?」





シズク「自分偉いと
思ってたら、
大間違いですよ?
わかってますか?」





なんだこの子。





めっちゃ偉そう・・・





でも、反論しても
無駄そうなので、
そのまま本に
目を落とす。





すると・・・





ハアト「おい、てめえ。
メアリに
何言ってんだ?」





メアリ「え、ハアト?」





突然ハアトが、
太田さんを
睨みつけた。





え、何?!





ハアト「何が
『偉いと思ったら
大間違い』だよ。
それはこっちの
セリフだ!
お前何様のつもりだよ?!
さっさとメアリに謝れ!」





ハアトの声で、教室が
シーンと静まる。





みんな、
こっちを見てる。





さすがに
恥ずかしいというか、
気まずいというか・・・





すると、太田さんは
目を潤ませて、
私にペコッと頭を下げ、
走り出ていった。





沈黙。





?「・・・太田さん、
かわいそー」





??「ってか、なんで
林さん平常心?」





?「やっぱ
見下してんだよ」





クラスの女帝的存在
の子たちが、ヒソヒソと
また言っている。





あー、めんどくさい。





メアリ「ハアト、
目立つのやめて。
心配してくれるのは
ありがとうだけど」





ハアト「別に。
イラついただけ」





メアリ「ふーん」





私は、また本を読んだ。





それしか、逃げ道は
ないだろうから。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





私は、小さい時から、
みんなに
一線をひかれていた。





スタイルは悪くないし、
大人が言うには、
『可愛い』らしい。





だから、女子からは
好かれなかった。





ガーリーが好きだった
のもあって、
同級生からはぶりっ子に
見られることもあった。





あざといとか、
裏がやばそうとか。





性格は
サバサバしてる方だから、
悪いギャップに
見られたことも何度かある。





かと言って
ベタベタしてても
ウザがられるし、
どうしろと? って感じ。





そんな中、
私はある子に
恋をした。





恋をしている時は、
少しのことが
とんでもなく幸せに感じて、
辛いことが忘れられた。





でも、その子の正体は
わからないまま、
会わなくなった。





でも、恋のすごさに
気づいてから、
私は恋多き女子となった。





初彼ができた時には、
嬉しすぎて、
号泣してしまったほど。





だから、別れた時は、
1週間近く
泣いて過ごした。





結構、引きずるタイプ
だったりする。





正直に言うと、本気の
一途の恋がしたい!!





でも、こんな冷めた
キャラの私が
言えるはずもなく、
こうして
溜め込んでいるのだ。





いつか、誰かが
助けてくれるのを、
待っている。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





次の日学校に行くと、
私の机がなかった。





ああ、誰かが
捨てたんだろう。





でも、
なければないでいい。





先生が気づけば、
新しいのを
持って来てくれる。





それまで、
待てばいいだけだ。





私は、荷物を持ったまま
人気のない中庭に
行った。





メアリ「なんで
こうなるのかなー」





私はただ、
自分の思うように
生きてるだけなのに。





1人になると、
生きている意味が
わからなくなる時がある。





それでも
生きているのは、
初恋の男の子に
また会いたいから。





その子は、唯一
私の個性を
歓迎してくれた。





誰かに
「キャラじゃない!」
って言われても、





『お前はお前だし、
キャラとか関係ない』
って、言ってくれた。





かっこいいね、
ギャップ萌えだ、って、
太陽みたいに
笑いながら
言ってくれた。





でも、ほんとに
会えるのかな・・・





私は、雲ひとつない
青空を見上げた。





あの子も、この空
見てるかな・・・





メアリ「・・・なーんて、
キャラじゃないかー!
私は、こんな
ロマンチック思考は
似合いません!」





で、勝手にその言葉に
落ち込む。





そうなんだよ、
似合わないんだよ、





似合いたいのに・・・





そして、
涙腺崩壊寸前。





ハアト「メアリ?
何してんの?」





こぼれかけた涙が、
一気に引っ込んだ。





危ない危ない、
ハアトに
泣いてるのを
見られるとこだった。





さすがに、泣き顔を
見せるのはね・・・





ハアト「なんでここに
いるんだ?」





メアリ「サボってみよ
っかなー、なんて」





ハハッて
笑ってみたけど、
ハアトは全然
笑っていない。





何か言いたげに、
私を見てる。





メアリ「なに、その顔」





ハアト「本当は、
サボってみよっかな、
なんて思ってないんだろ?」





メアリ「う、うん・・・」





ハアト「だったら、
泣けばいいじゃんか」





メアリ「え?」





ハアト「泣けば、
スッキリ
するんじゃね?」





メアリ「で、でも、
そんなの
キャラじゃないし」





ハアト「キャラとか、
関係ないんじゃないか?
メアリはメアリだし」





ハアト・・・





その時、私は
あることが
引っかかった。





そうだ、
あの初恋の男の子と
同じこと
言ってるんだ。





まさか、ハアトが
あの男の子・・・?!





メアリ「ねえ、ハアト。
小学校高学年ぐらいの時、
知らない女の子と
仲良くなったことって、
ある?」





ハアト「はあ?
・・・なんだよ、いきなり。
そんなのないけど」





え・・・





メアリ「そっか・・・」





やっぱり違うのかー。





ハアト「なんだよ」





メアリ「いや、
そーゆー本
読んだだけ」





沈黙が続く。





なんか、微妙に
気まずい・・・





ハアト「なあ、メアリ。
お前、まだ内田のこと
好きなの?」





ハアトの口から、
とんでもない言葉が
飛び出してきた。





内田、っていうのは、
元カレの内田蓮。





メアリ「そりゃあ、
好きだけど・・・」





ハアト「なんで、
別れたの?」





メアリ「なんでって・・・」





そんなの
聞かなくても
わかってるでしょ?





メアリ「蓮君が
私のこと
嫌いだから」





ハアト「ふーん」





なによ。





人にズケズケ
聞いといて、
いざ答え聞いたら
『ふーん』って・・・





すると、ハアトは
私に背を向け、
歩き出した。





ハアト「お前のこと、
やっぱり
わかんねえわ」





そう言い残して、
ハアトは
去っていった。





??
なんだそりゃ。





ハアトの意味深な言葉に、
私は30分近く
悩むことになった。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





そして、
2月になった。





彼氏がいる子たちは、
バレンタインにデートだの
なんだの騒いでいる。





いいなあ~。





蓮君は、あれから
あからさまに
私を避け続け、
チョコレートなんて
渡せそうになかった。





時が経つうちに、
蓮君への気持ちも
薄らいでいった。





でも、やっぱり
誰かに渡したい!





とは言っても、
そんな簡単に
人を好きになるなんて
無理なことで。





なんとなく、
今年も1人で
過ごす気がしていた。





そんなある日。





女子「ねえねえ、
林さん、
誰にも渡さないのかな?」





女子「当たり前でしょ?
この前、別れた
ばっかなのに」





女子「他の子に渡してたら、
引くわ」





あー、
また言われてる。





女子「最近、男子にも
嫌われてない?」





女子「たしかに。
ハアト君も、
最近話してないもんね。
まあ、普通
そうなるけど」





そう、そうなんです!





最近、ハアトとも
話していない。





話しかけようとしても、
避けられる。





一緒に帰ろうと言っても、
なんやかんやで
断られる。





私、何をしたんだろう。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





次の日。





私は、運悪く
日直となり、
放課後に1人残って
黒板を消していた。





高いところの文字を
消そうとして、
手を伸ばすと・・・





突然、隣から
手が伸びてきて、
その文字を
消してくれた。





見ると、無表情の
ハアトがいた。





メアリ「あ、ありがとう・・・」





ハアト「別に。
俺も手伝うから」





話してくれたのが
嬉しくて、
私はピョンと小さく
ジャンプして、
上の方の文字を消した。





すると、後ろによろけて
こけそうになる。





メアリ「うわっ」





ハアト「あぶねっ」





バッ。





気づくと、ハアトの
腕の中にいた。





どうやら、受け止めて
くれたらしい。





慌てて顔を上げると、
至近距離で目があった。





心臓がバクバク
言っているのが
よく聞こえ、





それも恥ずかしくて、
私は飛び退いた。





メアリ「ああ、
ありがとう・・・
ごめんねっ」





ハアト「いや、俺こそ・・・」





ハアトは、
そう言った後に、
スッと目をそらして
黒板を消し始めた。





驚いたな・・・





近くで見たハアトの顔が、
想像以上にカッコよかった。





ちょっとだけ、
ドキッとしたような・・・





いやいやいや!
この間彼氏と
別れたばっかなのに!





ありえない、
絶対にないと思いながら、
私も黒板を消し始めた。





ハアト「もう、
日誌書いたのか?」





ハアトは、その後も
日直の仕事を
手伝ってくれた。





メアリ「日誌は終わったよ」





ハアト「あそ。
じゃあ、またな」





ハアトは、そう言って
自分の鞄をつかみ、
教室から出ようとする。





メアリ「ま、まって!」





私は、とっさに
ハアトの腕を掴んだ。





怪訝そうな顔で、
ハアトが見てくる。





ハアト「何?」





メアリ「あ、あの。・・・
一緒に帰って!」





すると、ハアトは
少し目を見開いた後、
また無表情に戻った。





ハアト「悪いけど、
今日は忙しいから」





ああ、
また断られた。





でも・・・





メアリ「じゃあ、
なんでそんなに
私を避けるのか教えて!
教えるまで、この手、
離さないから」





私は、ハアトの腕を
掴んだ手を見せた。





するとハアトは、
はああ・・・、
とため息をついた。





ハアト「お前は、
俺の気持ちを
知らないから。
お前に協力したかったけど、
もう無理だ」





ハアトは
そう言った後、
私の手を振り解いて、
教室を出てしまった。





え・・・?





ハアトの気持ち?





無理って、なんで?





メアリ「嫌われた・・・?」





私は、大切な何かを、
失った気がした。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





その次の日から、
ハアトの態度が
あからさまに
おかしくなった。





目が合えば
スッとそらされ、
会話も必要最低限だけ。





雑談なんて、
とてもできそうな
雰囲気ではなかった。





メアリ「はああ・・・」





シズク「林さん、
最近、落胆してますね」





え?





見ると、いつかの
あの女の子・・・
太田さんがいた。





メアリ「落胆?」





シズク「はい。
負のオーラ
まとってます。
余計に怖がられる
原因にもなってる」





メアリ「怖くてごめんねー。
別に、負のオーラ
まとってるつもり
ないんだけど」





シズク「そうですか。
でも、私には
落ち込んでるように
見えましたけど」





メアリ「うーん、
たしかに、
落ち込んでないといえば
嘘になる・・・?」





なんで私、
落ち込んでるの?





今あるトラブルは、
ハアトの件ぐらいだし・・・、





って、まさか?!





ハアトと話せなくて、
落ち込んでるってこと?!





いやいやいや・・・、





それじゃまるで
ハアトを
好きみたいじゃん。





メアリ「そんなこと
ないと思う。
特に、困ったことはないし」





シズク「へえ~。
クールだと思ったら、
嘘が下手なんですね」





太田さんが、
表情1つ変えずにいう。





まるで、私の心の中を
読んでるみたい。





メアリ「・・・太田さんって、
不思議さん?」





シズク「さあ。ご想像に
おまかせします」





太田さんは、
意外にも
結構いい人だった。





それからは、私たちは
なんやかんやで
話すことが増え、
唯一の友達になった。





メアリ「シズク!」





校門の近くに
シズクがいるのが見え、
私は声をかけた。





シズク「おはよう、
メアリ」





最近では、
普通のJK感が
出てきたのか、
私を避けて
端に下がる子も減り、
平穏な生活になっている。





でも、4日後は
バレンタイン。





みんな、恋に
奮闘している。





私はというと、
ハアトとは
話せないままで、
ほかに気になる人もいなく、
寂しく過ごしている。





シズクがいてくれて
よかった。





メアリ「ねえ。シズクは、
バレンタイン
誰かにあげるの?」





シズク「蓮くん一択」





シズクは、ずっと
蓮君のことが好きらしく、
今年も頑張る!
と言っていた。





シズク「メアリは?」





メアリ「わ、わたし?!
私は・・・」





ふと、ハアトの顔が
浮かんだ。





いやいやいや!
だからなんでハアト?!





でも、怒らせて
ごめんねってことなら、
渡しても大丈夫かな・・・





シズク「メアリ?」





いきなり黙った私を
心配し、
シズクが顔を
覗き込んでくる。





メアリ「ねえ、シズク。
わたし、頑張る!」





シズク「は、はあ・・・?」













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





バレンタイン当日。





私は、体育館の近くにいた。





ハアトの靴箱に、
『体育館の近くにきて』
というメモを入れて
きたので、
気づいてくれれば、
来てくれる・・・かな。





これで、
仲直りしたい。





また、一緒に
話をしたい。





そして、そして・・・





あれ、私、
なんでこんなに
必死なんだろう・・・?





まさか、私、本当に
ハアトに恋してる・・・?!





そうか、だからこんなに
寂しかったんだ。





メアリ「じゃあ、これは
本命チョコだね・・・」





私は、自分が持っている
チョコレートを
見ながら呟いた。





すると・・・





ハアト「メアリ・・・?」





ハアトだ。





さっきの考えを
思い出し、
顔が熱くなる。





メアリ「あ、ハ、ハアト・・・
あ、あのっ。これ、
バレンタインのチョコ・・・
ハアトに、」





ハアト「なんで
俺に渡すかな」





メアリ「・・・えっ」





やっぱり、
嫌だったのかな・・・





ハアトは、
ため息をついて、
私が持っている
チョコレートを見た。





ハアト「なに?
俺、内田と別に
仲良くないんだけど。
自分で渡せば?」





メアリ「は・・・?
なに、
言ってんの・・・?」





蓮君が、どうして
出てくるの・・・?





今は、関係ないのに。





ハアト「俺に、
そのチョコを
内田に渡せって
ことだろ?」





メアリ「・・・、ええっ?!」





なんでそうなるの!!





メアリ「そんなわけ
ないじゃん!
これはハアトに
あげたかったの!
なんで蓮君が
出てくんの?!
なんで勝手にキレて
呆れてんの?!
こっちは、本命渡すのに、
どれだけ緊張したか・・・」





あっ。





本命って、
言っちゃった・・・





恐る恐るハアトを
見ると、
目を見開いて、
私を見ていた。





ハアト「え・・・?
俺、あて?
本命・・・?
嘘、だろ・・・」





メアリ「嘘じゃない。
・・・、
私は、ずっと、
ハアトのことが
好きだったんだよ。
昔あったのも。
ハアトだよね?」





私を初めて
認めてくれた男の子、
あれはハアトだ。





なんで『違う』なんて
言ったかは
わかんないけど。





ハアト「メアリが、
俺を、好き・・・?
そんな、わけ・・・
だって俺、メアリに
ひどいことしたし・・・」





ハアトは、まだ
戸惑ってるみたい。





メアリ「本命だけど、
受け取って、
くれる・・・?」





私は、そーっと
チョコレートを
差し出した。





ハアト「・・・当たり前だろ。
本命なら、なおさら
受け取りたいわ//」





メアリ「え?」





ハアト、
今なんて・・・?!





ハアト「だからっ、
俺はずっと・・・、
お前のことが
好きだったんだよ!」





メアリ「え、嘘!」





ハアト「本当だよ」





ハアトは、
苦笑しながら
言った。





ハアト「お前が、
内田とのことで
苦しんでるのみてると、
たえらんなくてさ。
メアリの口から、
まだ好きって聞いた時に、
自分の制御が
効かなくなった」





メアリ「え・・・」





ハアト「そっから、
なんかまともに
メアリと目、
合わせられなくてさ、
ずっと避けちゃってた。
ほんとに、ごめん」





メアリ「ハアト・・・」





ハアト「なんか、
メアリにいってもらう
ばっかりなら、
俺も嫌だから、
はっきり言う。
俺は、メアリのことが
好きです!
俺と、付き合ってください!」





メアリ「ハアト・・・、
もちろん、
よろしくお願いします!」





私たちは、それから
もっと話すようになった。





そして、もう1人、
頑張った子がいる。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





シズク「メアリ!」





メアリ「シズク!
どうだった?」





バレンタインの翌日。





シズクは、朝一
私のクラスに来た。





シズク「じ、実はね・・・」





シズクは、少し
恥ずかしそうな顔で
モジモジしている。





もしかして・・・!





シズク「蓮くんと、
お付き合いすることに
なったの」





メアリ「ええー!
おめでとう!!
・・・あ、実は、
私もね・・・」





私は、昨日のことを
話した。





シズク「おおー!!
やっぱり
そうだったか!」





メアリ「やっぱりって?」





シズク「んー、秘密!
それより、今度
ダブルデートしてみたい!
メアリと蓮くんは
気まずいかもだけど」





メアリ「ダイジョーブ
だと思う・・・
みんなで行くし!!」





シズク「そっか!」





その後も、私がハアトと
付き合ったことで
やいやい言ってくる子も
いたけど、
私は周りにいてくれる人の
大切さに気づいた。





私にとって、
バレンタインは、
シズクやハアトを
繋いでくれた、
奇跡のようなものになった。











*END*

Like

この物語に投票する

林 芽亜里が主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

おススメ!おススメ!

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!