梅雨の相合傘

CAST伊藤 沙音伊藤 沙音

作者:ぱるる

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2023.05.21

どーも
中2の伊藤シャノンです。





実は最近、恋しちゃって・・・





お相手は、同クラのハルト!
小学校の頃から幼なじみ。





自分でも、今更好きになるとは
思ってなかった。
ホント、見とれちゃうんだよねぇ~///



「ちょっとシャノン!
何見とれてんのよ!?」





この子はウチの大親友、ヒマリ。
中学生の頃から仲良し。
いつも支えてくれる存在。





「あっ・・・ヒマリ!
なななんでもないよぉ??」





ヒマリはウチに
好きな人がいるなんて、
知らない。





「えぇ~~?? 怪しい」





「もぉ・・・
なんでもなーいっ!!」





「はいはい、
そんな怒んないでよ」





「いーよ、別に」





ウチはふてくされて、
ほっぺたを膨らます。





「あぁっ!!!」





突然ヒマリが大声で叫んだ。





「何!? ビックリしたぁー」





「ちょっと、
そんなゆっくりしてないで!
次、体育だょー!!」





ウチはハッと時計を見ると、
もうチャイムが鳴る1分前。





「ヤバいぃ~~!!」





ウチらは大声を上げながら、
教室を駆け出した。





そして、校庭に勢いよく出た。





残念ながら、
チャイムに間に合わず、
先生に怒られるハメに・・・





「全く・・・あなた達!
もっと早く行動しなさいっ!」





こう言われるだけで済んで
一安心。





でも。ウチらが
列に並ぼうとした時・・・





「ぷっ・・・!
めっちゃウケる、お前ら」





噴き出すぐらいに
笑ったのは、ハルト。





「なっ・・・いいでしょ?
別に。
ハルトにはカンケーないっ!」





ウチはムキになって反論し、座った。





あぁ~もぅ!
ウチ、何言ってんのよぉ~!!
こんなんじゃぁ、嫌われるよ!!





ウチはハルトと
顔が合わせられないまま、
体育は進んだ。





すると・・・





ぽっ・・・ポツっ・・・
ポツ・・・ポツポツ。





雨だ。





今は梅雨の季節。
アスファルトの地面は
黒く滲んでいく。





ザァァーっと降りだした雨の中、
先生は大声で
「急いで教室に上がりなさい!!」
と声を張り上げる。





あーぁ、めっちゃ
濡れちゃうじゃん。





髪から滴る水がたくさん落ちる。





みんな、体育着ビチョビチョ。
特にウチはジャージを忘れたから、
半袖が寒い。





凍えながら雨宿りしようと
駆け出した時・・・
後ろからフワッと
温かいものに包まれた。





バッと後ろを振り返ると、
そこにはハルトの姿。





さっきまで着ていたジャージを、
ウチに被せている。





大雨の中、
ウチは立ち尽くした。





「さっさと走れ!!」





ウチはハルトに肩を抱かれ、
言われるがままに走った。





そして一端、校庭の隅にある
倉庫で雨宿りした。





ハルトがジャージを
被せてくれたお陰で、
あまり濡れずに済んだ。





でも、ハルトは全身濡れていた。





ウチのため・・・





ハルトは肌を
タオルで拭きながら
「すっげぇ雨だな」と一言。





「・・・ごめん」





ウチは俯きながら言った。





「何がごめんだよ。
俺が勝手にしたことだし。
シャノンが謝ることないじゃん」





「ジャージ、洗って返すね」





「大丈夫。このぐらい。
たいしたことない」





「・・・ホント、ありがと」





ウチはくしゅんと
くしゃみをした。





「風邪かよ。
ったく、仕方ねぇなぁ・・・」





すると、ハルトは、
さっきのジャージをウチに被せて、
お姫様だっこした。





「・・・ちょ・・・ハルト!?
ダメだよ、こんなことしちゃ」





「いいって。
これ以上濡れたら、熱出るぞ」





そう言って、ウチをさらに
胸元を押さえ込み倉庫を出た。





ハルトの息が肌にかかる。





全身から火が出そうなほど熱く、
胸が高鳴る。





心臓の音がハルトに
聞こえませんように・・・





そして、玄関入口に着くと、
ウチを降ろした。





ハルトは更に濡れていた。





「・・・ありがとう」





「早く上がんねーと、
先生に怒られるぞ」





「あっ! そっか!」





そう言って、ウチとハルトは
駆け出した。





教室に着くと、
もう体育は終わりらしく、
みんな更衣室へと行くところだ。





ウチも荷物を取って、
更衣室に行こうと教室を出た時・・・





「ちょっと伊藤さん!
話があるの」





そう言ったのは
同クラの松田さん。





とても強気な所が印象的で、
ハルトのことが好きらしい。





「なに? 話って・・・?」





「ここじゃなんだから、
休憩所で話しましょ」





そして、2人で
休憩所へ向かった。





運よく、休憩所には
誰もいなかった。





「単刀直入に言わせてもらうわ。
ハルト君に関わらないで欲しいの」





「えぇっ!? どうして?」





「あなたも知っての通り、
私はハルト君が好きなの。
ハルト君があなたに困ってるのが、
分からないの?」





「困ってるって・・・?」





「あなたのお世話よ!
さっきだって、
ちゃんと見てたんだから」





あ・・・あのことか。
でも、関わらないで欲しいって
言われても。





「そんなのできない!
ウチだって
ハルトが好きだもん!」





「あぁそう。
そこまで言うなら、
こうしようじゃないの。
今日は雨でしょ?
ハルト君、傘忘れたって言ってたから、
相合傘に誘いましょ。
誘って、断られたら、
ハルト君から離れること!
OKだったら告白する。
これでいいかしら?」





「いいよ! 受けて立つ!!」





そして、ウチらのバトルは始まった。





でも・・・





「あぁーー! ヒマリっ!
どーしよ?!」





「シャノンがそんなの
受けるからでしょ?」





「それはぁ~つい、
言っちゃったんだもん~」





「大丈夫だよ、
シャノンならいける。
ウチ、信じてるから」







「・・・うん」















=*=・=*=・=*=・=*=・=*=・=*=・=*=





そして、雨は降り続き、
放課後。





ウチはサッサと教室を出て、
校門の前で傘をさし、
ハルトを探した。





でも、ハルトより先に、
松田さんの姿があった。





「松田さんっ!」





「あ、伊藤さん。
私、振られちゃった。
俺には他に好きな人がいるからって・・・
私、伊藤さんだと思うよ。
だから頑張ってね!」





とても笑顔で言ってくれた。





「うん!」





ウチも笑顔で返す。









さらに待ち続けること十分・・・





ハルトの姿が目に入った。





どうやら傘がさせなくて
困っているらしい。





思い切って私は
ハルトの元へ駆け出した。





「ハルトっ!!」





「シャノン・・・?」





「傘、入って・・・くれる?」





顔が赤くなるのがわかった。





俯きながら、
ハルトの様子を伺う。





えっ・・・?





ハルトの顔が
赤くなっているのが見えた。





「・・・ハルト?」





ウチが聞いたと同時に、
ウチの傘を持つ手を引っぱった。





とたんに抱きしめられる。





「シャノン・・・!
俺と付き合ってくれますか・・・?」





あぁ、もう涙がこぼれそう。





でも、言わなくっちゃ。





「・・・決まってる!
ウチだってハルトが
大好きなんだからぁ!!」





そして、ハルトの胸元で泣いた。
たくさん、たっくさん・・・





「・・・帰ろっか」





「・・・うん!」





ウチらは1つの傘に入り、
互いの肩を寄せ合いながら歩く。





一歩一歩・・・踏みしめながら。





雨と冷んやりとした空気は、
ウチらを幸せに包んでいく・・・







☆★END★☆
*ニコ学名作リバイバル*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。

Like

この物語に投票する

伊藤 沙音が主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

おススメ!おススメ!

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!