また君と出会えたら

CAST伊藤 沙音伊藤 沙音

作者:たぴおかみるくてぃー

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2022.12.22

彼と最初に出会ったのは、
8年前の寒い日だった。







* * * *





こんにちは。
しゃのんです。





今は中学2年生。





8年前のあの日、
いつものように
お母様もお父様も
お仕事でいなかったから、
私はメイドのるきちゃんと
公園に行っていた。





「ねー、またしゃのんちゃん
お母さんたちいないから
めいど? の人と遊んでるよ!」





「ほんとだー。
かわいそう。
お友達いないんだね」





子供の世界は残酷で。
かわいそうと言う割には
話しかけてこないし、
聞こえるように
悪口を言っていたり。





それはそれは
恐ろしかった。





「お嬢様、あんなの
気にする必要はございません」





「うん、ありがとう」





るきちゃんが
こう言ってくれても、
気になるものは
気になってしまう。





お金持ちだから、っていう理由で
私と仲良くしてくれてた子もいた。





私はそれでも良かった。





でも、私と一緒にいると、
いじめっ子にいじめられるから。
そう言ってみんな離れていった。





そんな中。





「ナゼ、ズット
1人デイルデスカ?」





カタコトの日本語で
話しかけられたことを
今でも覚えている。





「あなた、誰?」





「僕ハ、タイヨウ。
アメリカカラ来タデス」





日本語はカタコトだったけど、
名前はめっちゃ日本人だった。





生まれたときから
アメリカで暮らしていたけど、
彼は純日本人だと後に聞いた。





「アナタノ名前ハ
ナント言ウデスカ?」





「私はしゃのん」





「シャノント言ウノデスネ!
ワカリマシタ。
ヨシ、僕ト今カラ友達デス。
何シテ遊ブデスカ?」





「お絵描き一緒にしよう?
私の家に来て?」





「オ絵描キデスネ!
ヤリマショウ!」





彼は毎日、決まった時間に
公園に来てくれた。





でも、ある日突然
来なくなってしまった。





何も言わずに、
私の前から去っていった。





たいようがいなくなってから、
私の人生はたいように
出会う前と同じように
真っ暗になった。





今、たいようが
どこにいるのかも、
生きているのかもわからない。





ただ、ひたすらに
会いたいと思った。





たいようが姿を消してからも、
私はあの公園に通っている。





いつか急に来てくれるかも
しれないという
かすかな希望を胸に。





あの時から
ずっと大好きなたいよう。
会いたいな・・・













* * * *





「しゃのん。
まだこの公園に来てたの?」





「え?」





今日も私は
公園に来ていた。





バレンタインだから
チョコを持って、





たいようが
来てくれることを願って。





いつもと違ったのは、
人に話しかけられたことだ。





「あ、の?」





「もうしゃのんは
俺のこと忘れちゃった?」





え?





「ま、まさか、
たいようっ? なの?」





「そうだよ」





あのたいようなの?





「本物?
今までずっとどこにいたの?
なんで急にいなくなっちゃったの?」





聞きたかったことが
ポンポン口から出てくる。





「本物だよ?
あのとき、実は親の一時帰国に
ついて来てて、
その合間に遊びに来てたんだ。
でも、アメリカに
帰らなくちゃいけなくなって。
なにも言わずにいなくなってごめん。
今日から日本で暮らすんだ。
やりたいことがあったから」





たいよう、日本語
カタコトじゃなくなってるっ・・・!
すっごい饒舌だし・・・





「やりたいことって・・・?」





「俺、あれからずっと
しゃのんのことが忘れられなくて。
しゃのんに会うため、っていうか、
ボーイフレンドになるため、かな」





「っえ!?」





どういう・・・





「しゃのん、
俺のフィアンセに
なってくれる?」





「えぇっ!?」





「俺のこと嫌い?」





子犬みたいな目で
見ないで・・・





「き、嫌いじゃない・・・」





「よし、じゃあもう
俺のフィアンセだね。
てか、今すぐ結婚しよう?」





ええぇー!?





「で、でもっ!
年齢とか・・・
両親とか・・・」





「ん? そんなことか。
それなら大丈夫。
俺もしゃのんも
あと4年で18歳でしょ?
しゃのんの両親は
俺の両親が説得済み」





んっ!?





「これで不安はなくなったでしょ?
これからたっぷり愛してあげるから
覚悟してね?」





私、これから彼に
愛されるみたいです・・・







*END*

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