ガラスのシャボン玉

CAST伊藤沙音

作者：Honori

2022.01.20

私はシャノン。
ニコラ学園に通っている。

私には好きな人がいる、
コウショウ君だ。

でもあんなにかっこよくて
優しくてイケメンな
コウショウ君を
好きな人は多い。

私の友達もコウショウ君を
好いている人は
多かったんだよな、、、

その日、クラスでも特に
美少女と話題だった髙橋さんが
コウショウ君に告白した。

（まさかコウショウ君のことが
好きだったなんて、
私知らなかった、、、）

私は次の日、そのことが
気になっていたため
友達に聞くと、

「コウショウ君、
髙橋さんのこと振ったらしいよ。
自分には好きな人がいるから
ごめんなさいって言ったんだって」

（うそ、コウショウ君
好きな人がいたの、、
誰なんだろう？）

そして１週間後の放課後、
コウショウ君に
屋上に呼ばれた。

（コウショウ君に
呼ばれるなんて、、、）

私が屋上に着くと、
コウショウ君は
真面目な顔で立っていた。

コウショウ君の
こんな真面目な顔
見たことがない。

「あのさ、俺
シャノンのことが
前から好きだったんだ。
付き合ってくれないか？」

（え、、、、）

私は目の前のことが
信じられなくて
頬が赤く染まる。

「わ、私でよければ、
お願いします」

その日から
私とコウショウ君は
付き合い始めた。

夢のような毎日だった。

重いものを持っていると
すかさずコウショウ君が
「重いだろ」と言って
持ってくれたり、

教科書を忘れたときには
コウショウ君が
机をくっつけて見せてくれた。

私はコウショウ君と
机をくっつけるのが嬉しくて、
わざと教科書を忘れて
お母さんに怒られてしまった。

そしてコウショウ君と
初デートにも行った。

そこでおそろいの物を
買おうって、
ガラスのウサギを買ったんだ。

手に乗るくらいのサイズで
中にはシャボン玉液が入ってる。

私はピンクのうさぎ、
コウショウ君は
青のうさぎを買ったんだ。

私たち、これでね、、、

放課後に２人で屋上から
一緒にシャボン玉を飛ばしたんだ。

すごく幸せだった、、、

＊　‐‐‐　＊　‐‐‐　＊

そして年月は過ぎ、
クラス替えの日になった。

（コウショウ君と違うクラスに
なったらどうしよう、、、）

私は不安で
心が押しつぶされそうだった。

コウショウ君を見ると、
いつものように
友達と楽しそうに話している。

（コウショウ君は
私とクラスが離れること
どうだっていいのかな、、）

そしてさっそく
クラス替えの紙が貼り出される。

私は５組、
コウショウ君は、、、
１組だった。

（そんな、クラス
すごい離れちゃった）

そしてそれからは
ずっと会えない日が続いた。

私が会いに行っても
コウショウ君が
たまたまいなかったり、

逆にコウショウ君が
会いに来てくれても
私が移動授業でいなかったり、、、

そんなこんなで
もう１ヶ月以上も
会えていない。

すると不意に
コウショウ君の声が聞こえた。

立ち止まって周りを見ると
コウショウ君が１組の友達と
楽しく笑いながら
廊下を渡っていくのが見えた。

その時、私は持っていた
ガラスのシャボン玉を
落としてしまった。

ガラスの破片が
飛び散って粉々に割れたが、
私は幸いなことに
怪我はしていなかった。

（私とコウショウ君の仲も
こんな風に粉々になっちゃうのかな、、）

私は屋上まで走った。

ただただ走り続けるしか
自分の涙を止める方法がなかった。

ガラスが割れた音に気づいて
コウショウ君が驚きながら
追いかけてきてくれた。

「ごめん、寂しかったよな、、、。
シャノンの割れちゃった
ガラスのうさぎ、
また買って一緒に飛ばそう。
シャノンのことが
僕は好きだから、、、」

その言葉に
私の涙は溢れて床に落ちた。

私はコウショウ君に抱きつく、

コウショウ君は
私の体を優しくさすってくれた。

私はコウショウ君の
ワイシャツが
濡れるのも構わず、
泣き続けた。

その日の空は
どこまでも優しく、
晴れていた。

＊ｅｎｄ＊