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不誠実な恋

CAST松尾 そのま松尾 そのま

作者:ゆず故障

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.06.16

「そのま、好きだよ」





「・・・あたしも好きだよ、ナツ」





前は、ナツにぎゅうって
抱きしめられるだけで
本当に幸せだった。





これ以上の幸せはないと
思ってた。





なのに、
・・・・・・今は、むしろ嫌い。





これが世に言う
倦怠期(けんたいき)ってやつなの?





・・・まあ、ナツはまだ
あたしのこと好きみたいだけど。





今日こそは別れよう、って。





今日こそは言おう、って。





毎朝決意するのに。





あたしが言おうとすると、
楽しかった思い出が
決まってあたしの邪魔をする。





言おう言おうってあせるたびに
思い出すのは、ナツの幸せそうな
笑顔ばっかりで。





今日も何も出来ず、1日が終わる。













*...・・・*...・・・*





「でさ、昨日の部活で」
「松尾、ちょっといいか?」





休み時間、あたしはいつものように
クラスに遊びに来たナツと話していた。





目の前に座っているナツが
明らかに嫌そうな顔をする。





前ならナツと話してるときに
友達に呼ばれても断っていた。





でもね、今のあたしは
この場から逃げ出したかったの。





「あ、うん、いいよ。
・・・・・・ごめんね、
ちょっと行ってくるね」





「あ、ああ、まあ俺のことは
気にすんな、・・・・・・じゃあな」





手をヒラヒラさせて
自分の教室へと戻っていくナツ。





ちょっと悪かったかな・・・





胸にわずかな罪悪感を抱きつつも、
あたしを呼んだ男子のあとについていく。













*...・・・*...・・・*





「あの、用事って・・・?」





屋上に連れて来られたあたし。





なかなか話し出さない彼に
しびれを切らしたあたしは
思わず声をかけた。





「あ? ああ、特にねえよ」





「・・・・・・は?」





人を呼び出しておいて
用がないなんて、失礼なやつ。





・・・一体何が目的?





「ちょ、怒んなよ。
せっかく助けてやったのにさ」





無意識に相手を
にらみつけていたらしい。





ってゆーか・・・助けた、って?





「お前さ、あいつのこと嫌いなんだろ」





「あい・・・つ?」





誰のことを言っているのか、
あたしにはちゃんと分かっていた。





でも、聞かずにはいられなかった。





「久野ナツ」





やっぱり。





「その顔、図星だろ」





あたしの反応をイエスととったのか、
彼は不敵な笑みを浮かべる。





・・・不覚にも
クラッとしてしまったあたしは
どうかしているのかな。





「あ、俺、3組の八神リョウスケね」





「2組の・・・松尾そのまです」





「知ってる」





「はあ・・・」





どうして、八神・・・くんは
あたしのことを知っているんだろう?





どうして、あたしがナツのこと
嫌ってることを知っているんだろう?





「どうして、って思ってるだろ」





「え、・・・・・・えぇ!?」





八神くんはあたしの反応が
気に入ったらしく、大声で笑いだした。





「本当面白いな、お前。
顔に出てんぞ」





ううっ・・・何か・・・悔しい。





「どうしてか教えてやろうか?」





「・・・・・・いい」





あたしは反射的に
フルフルと首を横に振っていた。





あまりにも八神くんの
思い通りな気がしてしまったから、
ささやかな、抵抗。





「お前のことが好きだから」





うん、1回、整理しよう。





あたしはナツと別れたくて、
それで、ナツから逃げ出すために
八神くんについてきて、それで、
・・・・・・告られた?





―――ああ、思考停止。





「・・・・・・ちょっ、今、なんて?」





「八神リョウスケは
松尾そのまが、好きです」





「~っ! いやっ、あのっ、そのっ」





「松尾は、俺のこと嫌い?」





「き、嫌い、じゃないけど・・・」





うん、八神くんのことは嫌いじゃない。





今日初めて会話したけど、
あたしはなぜか八神くんに惹かれてる。





モヤモヤとした気もちの中で
それだけは確かなこと。





でも・・・





「あたしには、
ナツが・・・いるから・・・」





ナツに申し訳なくて。





心から喜んでうなずけないよ。





「俺と久野、どっちが好き?」





「ずるいよ、その質問」





「それ、俺の方が好きってゆー
答えだと思っていい?」





「・・・」





「答えられない?」





「・・・」





「あのさ、申し訳ないとか
かわいそうとか・・・
そーゆー同情でつきあってる方が
かわいそうだと俺は思うけど?」





「あっ、あたしは別に・・・」





「あたしは別に違うとでも?
じゃあなんで、嫌いなのにつきあってんの?
相手に失礼じゃね? そんなの」





「~っ!」





八神くんは、間違ってない。





だれがどう聞いても、正論だと思う。





でも、今のあたしには耳が痛いお話。





・・・・・・あふれる涙をこらえる術を、
あたしは知らない。





「!? ・・・わりぃ、言い過ぎた」





「ううん・・・
あたしが間違ってることは
ちゃんと分かってるから」





「・・・とりあえず、松尾には
久野以上に俺のこと
好きになってもらうから」





「え?」





「好きなやつができたって理由なら
松尾も久野も納得して別れられるだろ?」





「えっ、あ・・・まあ・・・うん」





「覚悟しとけよ」





ふっと鼻で笑い、
不敵な笑みを浮かべる君は
あまりにもまぶしくて。





クラッとしてしまったあたしは
きっともう重症。





でも、全部八神くんの
思い通りなんかにはさせないからねーっ!





いつのまにか顔をのぞかせていた夕日に
あたしはひとり、誓った。







*end*

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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