プルタブに込められた思い。

CAST松尾 そのま松尾 そのま

作者:あきん。

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2024.12.05

「おっきくなったら、
結婚しよう」





5歳の春、
そう桜の木の下で言われて





空き缶のプルタブを
指にはめられた。





うれしくてうれしくて
たまらなくて、思わず、





「うん!」





そう答えた。









なのに─────。













*...・・・*...・・・*





10年が経ち、
幼なじみのリョウスケと
私そのまは、





幼い頃のまま仲が良くて、
毎日登下校をともにしていた。





お互い好きなのに
気持ちを伝えられずに
ずっといた。





わたしたちは
いつも通り帰っていた。





寒い冬のなか、こごえながら
2人でマフラーをつけて、





「なぁ、そのま」





「どうしたの? リョウスケ」





「俺さ、、、」





「???」





「俺さ、、、、////」





「だから何?!(笑)」





次の瞬間、リョウスケは
突然こちらに
抱きついてきた。





私は恥ずかしくなって、





「もぉ~!」





と、体をはね返すと、
リョウスケは倒れこんだ。





えっ?





私はすぐに
病院に連絡した。















*...・・・*...・・・*





病院に着くと、
リョウスケは集中治療室に
入れられていた。





医師から聞かされたのは、
悲しい現実。





「リョウスケさんは
もう、もたない」





私は必死に自分を
追いつめた。





責めて責めて
責めた。





でも、責めたって、
リョウスケが回復するわけでもない。





せめて、最後くらい、
リョウスケのそばで
笑っていよう。





そう心に決めた。















*...・・・*...・・・*





次の日から、私は毎日
病室に入っては、
リョウスケとしゃべった。





明るい話で、病室は
にぎやかだった。





毎日が楽しくて楽しくて
仕方なかったのに・・・





そんなある日、





「なぁ、そのま~」





「ん?」





「俺、死んじゃうのかな~?」





そう言われた時
頭が真っ白になった、





リョウスケがいないことを
想像するだけで
涙が出てきた。





泣かないって
決めていたのに。





すると、





ポンっ。





頭に優しくて
温かいものを感じた。





「俺は、大丈夫。
そのまをおいては死ねないや」





私はその言葉を聞いた瞬間、
思いっきり、リョウスケに
抱きついた。

















*...・・・*...・・・*





その次の日、
リョウスケは眠った。





優しい顔で、眠った。





私は泣いた。





泣いて泣いて、
目がはれるほど泣いた。





私がリョウスケの手を
握ろうとしたら、





リョウスケの手に
何か握りしめられていた。





それは、
空き缶のプルタブと
小さなメモ。





そこには、





――――――――――
おれと結婚しよう。
――――――――――





と、書かれていた。





私は思った。





リョウスケは、倒れる前に
この言葉を言いたかったんじゃ
ないかなって。





私は、リョウスケを見て、





「うん!」





そう答えた。









今でも、春になると
思い出すんだ。





プルタブに込められた思いを。









*END*

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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