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CAST松尾 そのま松尾 そのま

作者:ゆず故障

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.06.02

なんで、こうなったんだろう?





確か、今朝見た占いでは
今日の運勢は1位だったのに。





最高の1日になるはずだったのに。





あたしは目の前に広がる光景に
叫びたい衝動をおさえ、
その場を逃げ出した。





―――彼氏の浮気現場。







**********





Lineで彼氏に別れを告げ、
返信を待たずに素早く彼氏の・・・
ううん、元彼をブロックに設定。





なんで、こうなったんだろう。





確か、昨日までは
バカップルとはやし立てられるほどに
ラブラブだったのに。





ああ、そうか。





最初っから何もかも
うそだったのかな。





1年前の今日―――。





憧れてたあなたに
告られたあの日から
あたしはずっと騙されていたんだ。





自分のことを好いてくれて、
お手軽に遊べる馬鹿な女子。





そんな程度だったのかな。





で、きっと、さっきの子が本命。





・・・・・・あたしのこと
少しも好きじゃなかったのかな。





『そのま、好きだよ』





あの言葉も、うそだったのかな。





あたしがあなたの心を
占めていた時は
少しもなかったのかな。





気がつくとあたしは
眠りについていた。













**********





0時を少し過ぎた頃。





不意に部屋に鳴り響く着信音。





ピリリリリリリリリ





「ん・・・ねむ・・・い・・・」





ん・・・だれー? こんな時間に・・・





『着信 今井ハルト』





な・・・んだ・・・
ハル・・・ト・・・か。





はいはい・・・
今出ますよー・・・





何の用だろ、こんな時間に・・・





って、ハルト!?





着信相手がハルト=元彼だと
理解した瞬間、
素早く起動するあたしの頭。





ちょ、待って待って。





さっきブロックに・・・
ああ! あれはLineだけだったのか!





あたふたしてる間に
着信音が止まり、
留守電に切り替わる。





あ、焦ったー・・・





携帯を開くと30分おきに、
ひどいときには1分おきに
ハルトからの着信があった。





遊び相手にここまでするか?
普通────・・・





・・・・・・もしかして。





まさかまさかの
本命に振られた、とか?





おそるおそる留守電を聞いてみると、
そこには切羽詰まったハルトの声が
何件も何件も時間いっぱいに残されていた。





『そのま!? 別れるって
どういうことなんだよ!?
ブロックしてな』





『なんでブロックしてんだよ!
話がしたいからブロック解除してく』





『そのま、話がしたい。
Lineでも電話でもいいから返』





『一方的に別れ告げられても困るよ
そのま! どうして別れ』





『俺はそのまのこと好きだよ?
そのまは俺のこと嫌いになっ』





ハルトが時間いっぱいに残した留守電は
全部途中で終わっていた。





・・・・・・途中で終わっていたけれど、
とにかくハルトが焦っていることが
ありありと伝わってきた。





「あれ?」





1件だけ、ハルトからではなく
親友のくるみからの
留守電が残されていた。





『そのま? どうしたの?
ハルトくん困ってるよ? 返事して』





くるみからはLineも来ていた。





くるみ『返事下さい』





くるみ『そのま、どうしちゃったの?
いきなり別れようなんて・・・
ハルトくんがすごい心配してるよ。
とにかく返事してあげて!
ハルトくんさ、心配で眠れないと思うから』





くるみ『・・・このままじゃハルトくんが、
卒倒しちゃうよ!
・・・ってのは冗談だけど(笑)
でもね、本当にそんな勢いだからねっっ!?』





ハルトが、心配?





・・・・・・とりあえず電話しなきゃ。





ハルトのことが気になるとかじゃなくて、
くるみに頼まれたから、なんだから・・・





「も、もしもし・・・?」





「そのまあっっっ! 心配したんだぞ!」





ハルトの怒号が、受話器を通じて
あたしの耳に突き刺さった。





普段あんまり怒らないハルトが
こんなに怒るなんて・・・





本当に心配かけてたんだ、と思うと
胸がズキッとした。





「ごめんなさい・・・寝て、ました」





「・・・寝てた?
はあっ・・・全く・・・
そのまらしいっつーかなんつーか・・・」





「本当申し訳ないです」





「で、急に何? 別れる?」





「うん・・・」





「なんで?」





受話器越しだからかな。





ハルトがいつもと声が違う。





そんな小さなことに気づいたら
何だか泣けてきてしまった。





「だって、ハルト、
浮気した・・・じゃん・・・っ」





「はあ!? 俺が!?
んなわけねーだろ」





「だって、見たもん・・・」





「どこで?」





「駅前の公園」





「駅前の公園・・・?
もしかして、ルナ?」





ルナちゃんって言うんだ。





黒髪のサラッサラの
ストレートが似合う
すごいかわいい子だったな・・・





「名前は知らないけど・・・
黒髪のサラッサラの・・・」





「やっぱりルナか。
えっと・・・あいつは
『いとこ』だけど?」





「へっ!? で、でも
キスして・・・たよ?」





「き、キス?
あー・・・っと、あれかも、
目に塵が」





「な、何だあー・・・」













**********





そんなこんなで
大騒ぎの夜が明けて。





「ハルト・・・本当にごめんね」





「許さない」





「うっ・・・」





「うーそ。
俺にも恥ずかしながら
そのまを不安にさせる落ち度が
あったわけだし。
おたがいさまってことで」





久しぶりハルトの笑顔を
見た気がする。





ハルトの笑顔を見てるだけで
心のモヤモヤが晴れていく。





あたしはもうだいじょうぶ。





この笑顔がある限り
もう迷ったり不安になったりしないから。





「もう別れるなんて言わせねーから
覚悟しといて?」





「もう別れるなんて言わないから
覚悟しといてね!」





忘れられない記念日になった、あの日。





そして季節は巡り巡って、今年、
またハルトとの大切な記念日を迎える。







*end*

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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