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恋を射止めて

CAST松尾 そのま松尾 そのま

作者:かなで

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.03.13

矢が美しく弧を描き、
円の中心へと吸いこまれていく。





パンッ。





拍手がわき起こった。





「さっすが、そのま先輩!」





いぶきが笑顔で
手をたたく。





「ホント、そのまには
かなわないよ~」





リリカは肩をすくめながら、
額に浮かぶ汗をぬぐった。





ニコラ学園弓道部。





数多くある部活動の中でも、
1番の歴史と伝統を持つ部活動だ。





私、松尾そのまは、この弓道部の
第200代目部長!





主将としてみんなを引っ張っていく
立場なんだ。





「おまえ、ホント強ぇな~」





ふうっと息をついた私の耳に、
ひとりの男子の声が響く。





振り返ると・・・・





やっぱりそこにはアイツ、
イルマがいる。





「今度は何の用?」





私は腕を組んで聞く。





イルマはひまさえあれば
何かと弓道部に来て
私を冷やかす。





ほんと、何がしたいのか
分かんないヤツ。





「いや、特に何もないけど?」





「あんたサッカー部でしょ!?
練習は!?」





「今日、休みなんだよねー」





イルマが、ははっと笑う。





ほんっとに、コイツは・・・・・!





「いーじゃん、弓道やってる
そのま見てんの楽しいし」





突然の言葉に、
ドキンと胸がはねる。





でもすぐに、
冷静さを取り戻した。





「そんなひまあったら
自主練でもしたらいいじゃん!」





「ストイックだなー。
さすが、弓道部の鬼主将」





イルマが、ニヤッと笑う。





「誰が鬼主将なの!!」





「―――わっ、すんませんでした!!」





イルマはいちいち練習を邪魔しに来て、
私をからかうことばっかり言う。





でもなんか、それが
楽しかったりするんだ。





そんないつもの光景を見て、
リリカといぶきがニヤリと
笑っていたことなんて、
私は気づかなかった。





「ほんと、あのふたり
仲よいですよね・・・」





「ね~。
つきあっちゃえばいいのに・・・」















**-・.・***・.・-**





その日の放課後。





私は空き教室に
呼び出されていた。





「あの、松尾さん。
実はずっと好きだったんだ。
つきあってください」





輝之介くんが頭を下げる。





告白・・・・・・・・・・・
うれしい。





でも、弓道のことでいっぱいな私に、
今は彼氏っていう存在のことまでは
考えられない。





「ありがとう。でも、ごめんね。
今は誰ともつきあう気がないの」





私も頭を下げた。





気もちはすごく
うれしかったから・・・





「や、ホラ、あのさ!
俺、別にそんな悪いやつじゃないし、
1週間とかでもいいから
つきあってみない?」





輝之介くんに、
強引に手を握られる。





なに・・・?
こ、怖い・・・・・





私はそっと、その手を
振りほどいた。





「ご、ごめんなさい。
でもやっぱり・・・」





「・・・松尾さん、鬼主将って
みんなに呼ばれてんじゃん?
このままじゃ彼氏できないまま
学校生活終わるよ?
俺、松尾さんのこと好きだし、
松尾さんは楽しい学校生活送れるし、
一石二鳥でしょ?」





今度は輝之介くんが
帰ろうとする私の腕を
ギュッと引っ張った。





な、なにそのヘリクツ・・・・!





「な? いいでしょ?」





いやいやいや、ちょっとまって、
おかしいでしょ!!





腕を振りほどこうとするのに、
強い力で握られていて
ほどけない。





もうどうしよう・・・・・





泣きそうになっていた時。





「そのまいじめてんじゃねーよ」





後ろから突然、声が聞こえた。





へ・・・・?





振りむくと案の定、
顔をゆがめたイルマが立っていた。





すごく、怒ってる――――――・・・?





「分かんねーの?
嫌がってんじゃん。
女に力づくで迫るとか、
どうかと思うけど」





イルマが、輝之介くんの手を
私の手から振りほどく。





助けて、くれた・・・・





「・・・は、別に迫ってねーよ!」





輝之介くんは
苦虫をかみつぶしたような顔をして
走って行った。





少しの沈黙が流れる。





「・・・・そのま」





「な、なに?」





「お前もモテんだな」





「・・・・・・・・・・・はぁっ!?」





何を言われるのかと
ドギマギしてると、
イルマは意外そうに目を見開いてる。





し、失礼なヤツ!!





「わ、私だって
告白されることくらいあるし!」





「ふーん・・・・」





また、沈黙。





イルマが今何考えてるのか
わかんない。





すると視界が突然、
暗くなる。





今起きていることを理解するのに、
少し時間がかかった。





なに、これ――――――――――――?





イルマに、抱きしめられてる。





「でも、俺はやだ」





片手をズボンのポケットに入れ、
片手で私の肩を引き寄せている。





「や、やだって、
何言ってんの・・・?」





思考回路が止まったまま。





なんで?





なんで私、イルマに
抱きしめられてるの?





顔がかあっと赤くなってるのが
自分でもわかる。





「そのまが誰かに
告白されんのとかさ・・・・
見ててすごいやだ」





「イル、マ・・・?」





びっくりしたままでいると、
イルマがぱっと私から離れる。





私は真っ赤な顔を
見られたくなくて、





「じゃ、じゃあまたねっ」





と言って走って逃げる。





イルマにドキドキしたなんて・・・





まさか。うそだよね・・・?















**-・.・***・.・-**





あれから私は、
イルマを避けている。





なんかすごく、会うのが
恥ずかしくて・・・





もー!
こんなにうだうだ悩んでたら
だめだ!!





主将なのに、みんなに
暗い気もちが感染しちゃう!





私はいつもの何倍も集中して、
弓道に打ちこむ。





的を狙って、弓を射る。





すごくすごく、スッキリして
気もち良い!





「がんばってるね~。そのま!」





リリカが後ろから
声をかけてくれる。





「うん、ちょっとなんか
モヤモヤしてて」





「悩みとかあるときに弓道やると、
なんかスッキリするよね!」





リリカが笑う。





「うん!」





私は一度休憩を取るために、
椅子に腰を下ろした。





その時私の耳に、ガラッと
ドアが開く音が聞こえた。





「あ・・・・・イルマ」





「よ!」





一瞬、どんな顔をすればいいか悩む。





でも・・・・・・・・





いつも通りに接すればいいよね。





変に気を遣っちゃダメ。





「サッカーの練習は?」





「週末試合あってさ、今日休み」





ニヤッとイルマが笑う。





「そのま、来週試合だろ?
俺が見てたら練習はかどるじゃん」





「余計なお世話ですーっ!」





いつも通りの会話が、うれしかった。





でもなにより・・・
イルマが今日も来てくれたことが。





すごく、うれしい。





「ほら、集中しろって。
俺ばっか見てんなよ」





「今、休憩中だし!
あんたなんか見てるわけないでしょ!!」





パシャッ。





そんな私を、窓からカメラが
捉えていたことなんて知らずに・・・・















**-・.・***・.・-**





次の日。





学校へ行くと、
リリカが走ってきた。





「そのま!!!
大変なことになってる!」





え?





何も分からないのに、
嫌なことばかりが頭に浮かぶ。





息を切らすリリカに連れられて
教室に行くと・・・





“弓道部の鬼主将は練習よりも男”





黒板に白いチョークでそう書かれ、
下に小さな1枚の写真が貼られてる。





これ・・・・





昨日、私がイルマと話してた時の・・・!!





こんなこと、誰が?





「誰がやったのよ!!
そのまに謝って!」





リリカが大きな声を上げる。





私は手足が震えて
何も言えない。





私が・・・・
変に誤解される行動をしちゃったから、
こんなことに・・・





その時。





ガラッと教室のドアが開いて、
イルマが顔を出した。





「はよ・・・・え、なに?」





みんなが黒板前に
集まっているのを見つけ、
歩み寄ってくる。





そして黒板をぱっと見ると、
鬼のような形相になって
ギャラリーを振り返った。





「・・・・誰だよ、こんな
くだらねえことやったの」





その迫力に、みんながたじろぐ。





小さく舌打ちが聞こえた。





輝之介・・・・くん。





まさか――――――――――――――――





「また小澤?」





イルマは輝之助くんの前に
歩み寄って言う。





「なんで俺がこんなやつに
フラれんのか、
意味分かんねえんだよ!」





「フラれたこと根に持って、
こんなマネすんなよ!
好きな女きずつけるなんて、
それでも男かよ!」





イルマ・・・・・





私の目から涙があふれ出す。





輝之助くんはハッと気づいたように
目を見開いた。





それから、バツが悪そうにうつむく。





「イル、マ・・・・ありがと」





私はイルマのもとへ行く。





涙があふれて、
うまく笑えているのかも
わからないけれど。





「そのまが誰よりも
弓道に熱心なのは、
みんな分かってるだろ」





イルマはそう言ってやさしく笑い、
私の頭をポンポン、と軽くたたいた。





「・・・・・・・・・ごめん、松尾さん、
オレみっともなかったよな、
こんなこと・・・」





輝之助くんが震える声で言う。





「分かってくれたなら、いい・・・」





「もう2度とそのまに
手出すんじゃねーよ?
コイツは俺のだから」





イルマがまたニヤリと笑う。





「は!?」





リリカが意味ありげに
クスッと笑った。





「ちょ、イルマ!
何言ってんの!」





クラスのみんながいるのに、
と顔が赤くなる。





「俺は何も?」





舌を出して、意地悪く
イルマが笑う。





でも私の胸はバクバクと
高鳴っていた。





やっと―――――
イルマへの恋に気づいた自分を、
もう知っているかのように。















**-・.・***・.・-**





週末。





弓道の大会が開かれた。





「そのませんぱーい!!
最後! がんばってください!」





「そのま、落ち着いて!
だいじょうぶだよ!」





いぶきとリリカの声が
遠くに聞こえる。





私は主将として、
最後の試合に出ていた。





緊張で、弓を持つ手が震える。





だめだ、このままじゃ
うまく射止められない・・・・





「そのま!」





静寂を破る声がした。





イルマ・・・





「お前ならだいじょうぶ!
信じて的打て!!」





信じて・・・・・・・





ヒュンッ。





―――――――ドスッ。





見事中央に、矢がささる。





「やったあー!!!」





いぶきとリリカが
手を取って喜びあう。





「優勝は、ニコラ学園弓道部です・・・!」





アナウンスが耳に響いた。





私はその瞬間に、走り出す。





いつだってそばにいて
私を守ってくれて、勇気をくれる
大好きなヒーローのもとへ。





「お前やっぱ、ほんと強ぇな!」





イルマが顔を
くしゃくしゃにして笑う。





私は思いをこめて、
一気に言う。





「あのね、私・・・
イルマが好きだよ!」





「えっ・・・?」





「いつも助けてくれて・・・
ありがと」





イルマは目を見開いていたけど、
すぐにいつもの表情に戻る。





そして残念そうに言う。





「あーあ」





告白・・・
やっぱ断られちゃうよね・・・





わかってる。





でも、胸がズキッと痛んだ。





「今日の試合終わったらさ、
俺から言おうと思ってたのに」





「え? 冗談・・・・でしょ?」





イルマの顔が、
私の目の前に現れる。





胸がドキンと高鳴った。





「好きだよ、そのま。
冗談なわけないだろ」





信じられない。





笑顔でいっぱいになる。





勢いで、イルマに
ギュッと抱きついた。





私ももちろん、イルマが大好きだよ・・・





私を射止めたのは、
ちょっぴり意地悪で、世界一カッコいい
私のヒーローでした・・・







*END*

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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