カノ‐カノ

CAST佐藤 菜月海佐藤 菜月海

作者:アロエジェル

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2022.01.22

・PM 11:49・





「別れよ」





(・・・?)





直後、





『メッセージが取り消されました』





(え・・・)





「別れるって、
どういうこと?」





はてな絵文字付きで送信。





既読。





10分経過。





(スルーかよ)













・*。・ 翌日 ・。*・





私は菜月海。
15歳。
ニコラ学園の3年生。







・AM 8:15・





「おはよーー!」





いつも通りに
元気に教室に入る。





正直言って、
私はクラスで人気な方で、
友達も多い方・・・・・・
だった。





「おはよー、菜月海!」





と聞こえてくるはずの
みんなの声も、
最近になっては10人ほど。





その内の何人かが
寄ってくる。





でも私の視線は後ろから2列目、
廊下側の席にしか注がれない。





いつも通り、
おさげの三つ編み。





細いフレームの丸メガネ。





優等生キャラから、
いつの間にか
隠キャになってた。





「鈴葉、おはよう」





荷物も下ろさずに、
その席に向かう。





「おはよう、菜月海」





返事、あった。
よかった。





少しほっとする。





(聞かなきゃな)





1限目が終わって、
すぐさまいつもの席に
駆け寄った。





私がしゃべるよりも先に、
鈴葉が口を開いた。





「昨日も言ったけど、別れよ」





そっけない。





「なんで?
私に何か不満あった?
だったら、言って。
すぐに直すから。
私は鈴葉のことが今も大好きだよ」





自分でも、ありきたりな
言葉だとは思った。





けど、正直な
心からの言葉だった。





「不満っていうか、
もう、菜月海のこと、
前みたいに素直に好きになれない。
友達に戻りたい」





(別れたら、友達になんて
戻れるわけないじゃん!)





でも、口にしては
言えなかった。





沈黙のうちに、鈴葉が
席を立って
どこかに行ってしまった。





そんな私たちの様子に
気づいた友達は、
目配せしあって
ニヤッと笑いあった。





友達?
いや、友達なんかじゃない。





ただの野次馬。





最低。





つい最近までは、
一緒にふざけて笑いあう
大切な友達だった。





こんな人たちだったなんて。





他のクラスメイトたちからの、
私(たち)に対する視線が痛い。





(なんで・・・)





「うっ!!」





突然頭が真っ白になった。





クラスの空気がどよめく。





「菜月海! 大丈夫?!」





誰かが声をかけてくれたが、
無視して教室を飛び出した。





ことの始まりは、
2ヶ月前。





私たちは、お互い
話もしなかった。





私はクラスのみんなと
ワイワイ充実した毎日を
過ごしていた。





でも、席替えで鈴葉と
隣の席になった。





しゃべりかけても
薄いリアクションしか
返ってこないから、
あまりしゃべらなくなっていった。





鈴葉は美人で、
色白で、頭がいい。





でも、大人しくて内気だったから、
存在感があるわけではなかった。





そしてある体育の授業の時、
ペア活動で鈴葉とペアになった。





その日はサッカーだった。





鈴葉は運動が苦手で、
何度もこけた。





助け起こすたび、少しずつ
「好き」という気持ちが
芽生えてきた。





しばらく経って初めて、
自分が同性愛者だと
いうことに気づいた。





散々悩んだ末、
翌日に告白した。





鈴葉は少し微笑んで、





「ありがとう。
私も好きだよ」





と言ってくれた。





幸せだった。





でも、クラスに公表してから、
みんなの態度がガラリと変わった。





冷たく突き放す奴もいれば、
興味本位で私たちを
追っかけ回す奴らも出てきた。





でも、絶対
負けたくなかった。





「今は普通じゃないことを
普通にしようよ」





そう、鈴葉と誓った。





でも、鈴葉に
別れを切り出された。





普通の恋をしていれば、
こんなことにはならなかった。





「今は普通じゃないことを
普通にしようよ」





そんな言葉、甘かった。





鈴葉だって、
みんなの態度に
限界なはずなのに、
私が無理やり押し付けた。





後悔したって遅い。





真っ白なベッドの上で、
真っ白なカーテン越しに言った。





「なんで?
恋しただけなのに、
ただその対象が
同性であっただけなのに、
なんで拒絶されなくちゃいけないの?」





誰もいないと思っていたけれど、
しばらくして返事があった。





「ごめん」





泣いてる。





「ごめん。
今も、菜月海が大好きだよ。
だけど、菜月海がみんなに
辛く当たられてるのを見ると、
別れた方がいいんだって分かったの。
好きな人に苦しんでほしくない」





「全然辛くない。
鈴葉が好きでいてくれるのなら、
どんなことでも耐えられるよ。
私は、鈴葉に嫌われることが1番辛い」





それからまた、
交際をスタートした。





今まで以上に
素直に笑い合えるし、
楽しい。





そしてまた
あの時のように思った。





「幸せ」











*end*

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