３０分後に少女漫画の結末

CAST佐藤菜月海

作者：神楽

2022.02.15

『はわあ！
遅刻しちゃうっ!!』

午前８時

佐藤菜月海、
現在トーストを
口ぱんぱんにつっこんで
猛ダッシュ。

一見コメディ漫画だけど、
こう見えても私、
少女漫画の世界に
憧れています。

今日遅刻したのも
実は・・・

少女漫画を
読んでたかｒ……!?

ゴツン!!!

『いたた・・・』

あれ？　これって
少女漫画展開かも!?

脳内の妄想タスクの
整理をしていると
声を掛けられた。

「ごめ・・・って・・・
ナツミかよ笑
何してんだ！」

ちょっと
キュンとしたのに・・・

学校に向かってるに
決まってるでしょ！
ということばを
心にとめて
作り笑顔で接した。

きゅひきゅひと
私の乙女心を
ズタズタにするコイツは
河島英人。

幼なじみでもあり
マンションのお隣さん。

宅急便の人が
少女漫画を間違えて
エイトの部屋に届いた
苦い思い出がある。

『ソレデハサヨナラ』

もう話しかけないで！
と言う思いをこめて
若干カタコトで
また猛ダッシュしようとすると
ぐいっと後ろに傾いた。

『ぬえっ!?』

「ちょっ、待てよ！
今日日曜日だぞ！」

『・・・んえええええ!!!!!』

人生史上最高の声を
出す。

「!?
バカ、声でけーわ」

結局エイトと
雑談をしながら
マンションにＵターンした。

『アハハ！
エイトって変だね～!!』

「ナツミには
言われたくないわ笑」

少女漫画とは
真反対の私の人生。

この瞬間まで
そう思っていた。

けど、少女漫画展開は
突然訪れる。

ギュッ

『エ、エイト・・・？』

突然バックハグされて
脳内がフリーズする。

「ナツミが好きだ」

「ドジなところも、
おっちょこちょいな
ところも、」

『それって
褒めてるの笑』

返事は
もう決まってる。

私もエイトの
笑っているところも、
抜けてるところも、

全部全部

『好き!!!』

午前８時３０分

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