初恋煌めくハーバリウム

CAST佐藤 菜月海佐藤 菜月海

作者:あまちゃん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.09.27

「なっつん!!
今日放課後
カラオケ行かない?」





「ごめんね・・・
きょ、今日は、
行くところがあるから・・・」





「そっかー残念。
じゃーまた今度ねー」





「う、うん。
誘ってくれて、
あ、ありが、とう・・・」





あ、行っちゃった・・・





佐藤菜月海、
この春、晴れて
JKデビュー!!





と、言いたいところですが・・・





人見知りが爆発して、
憧れのきらきらJKライフとは
ほど遠い生活を送っています。





しかも謎の
優等生オーラ(?)を
かもし出しているらしく、





「佐藤~、
このプリント
頼めるか~?」





「あ・・・
は、はい・・・」





先生には
嫌ってくらい
気に入られてしまい、
気づいたら
中学と変わらない、
垢抜けない女子高生に
なっちゃっていました。













・。・。・。・。・。・。・。・。





帰り道・・・





「あーあ、
やっぱりカラオケ、
行けば良かった・・・」





でも私、音痴だし、
コミュ障だし・・・





「もう友達とか、
できないのかな・・・」





そう呟いた時・・・





ふわん。





と、どこからともなく、
優しくて
甘い良い香りが。





不思議と惹かれて、
その香りのする方へと
鼻を頼りに歩いてみると・・・





曲がり角を
曲がった先には、





「か、か、」





可愛いお花屋さん!!





すると、





「いらっしゃいませ」





水やりをしていた、
ちょっと年上っぽい
カーキのエプロンを着けた
店員さんが振り向いた。





な、何てかっこいい
店員さん!!





でも、人見知り発動中の私は、
まともにお兄さんの
きらきらスマイルに
答えることはできず。





でも、その香りと
お兄さんに引き込まれて、
私は少し店内を見て
回ることにした。





「綺麗なお花・・・」





「それは、ナツミソウと
いうんですよ」





「わぁ・・・!?」





「あ、驚かせてしまって
すみません。
とても楽しそうに
していたから、つい・・・」





あれ?
さっきまで寒かったのに、
なんか、体が火照ってあつい。





どき、どき、
という心臓の音が、
頭まで響いてくる。





「とても、
綺麗な花ですよね」





この人の声、
なんか落ち着く・・・





普段なら、店員さんに
話しかけられると
逃げちゃうのに、
今日は何かが違った。





もっと、この人の隣に
いたい。





「じ、実は私、
なつみっていうんです・・・」





「へえ!
奇遇ですね!
もしかして、
運命かもですね!」





「う、運命!?」





わぁ、ほら・・・
また、
どき、どきっていう
心臓の音が大きくなって・・・・





やばい、
1回お店出よっかな。





でも、この人と
もう会えないかも?





いや、
また来ればいいし・・・





そんなことを
ぐるぐると考えていたら、





「わぉん」





「ひゃっ」





足元にいきなり
濡れた感覚がして、
とっさに見下ろすと、
そこには1匹の茶色い
トイプードルがいた。





「あ、だめでしょ、
くーちゃん」





「くーちゃん・・・?」





「あ、僕が飼ってる犬です」





「うわぁ、
かわいい~!!」





「わんちゃん、
好きなんですか?」





「あ、はい・・・
実は私も白い
トイプーちゃん
飼ってて・・・」













・。・。・。・。・。・。・。・。





1時間後・・・





「今日は、
ありがとうございました」





「なんかごめんなさい、
閉店間際まで・・・」





「いえ、僕も楽しかったです。
またきてくださいね」





「は、はい」





たくさん
お話しちゃった・・・!!





どうやらあの店員さんは、
コウショウさんというらしい。





素敵なお名前だよね・・・





楽しかったなぁ・・・





その日から私は、
放課後は店員の
コウショウさんのいる
お花屋さんへ通った。





「今日も
来てくれたんですね!」





「はい!
あの・・・」





「はい?」





「お花、すぐ
枯れちゃうんです・・・」





「そういう時は茎を・・・」





こんな感じで、
お花の話をしたり、
わんちゃんの話や
学校の話もした。





「お花を枯らしたくないなら、
ハーバリウムも1つの手です」





「ハーバリウム?」





「はい。
今、女子中高生の間や、
インスタグラムなんかでも
話題なんですよ。
今日、一緒に作りませんか?」





「えっ!!」





自分で作ったナツミソウの、
小さめのキーホルダー付き
ハーバリウム。





学校の鞄に
着けようっと・・・





なんか、学校でも
コウショウさんのこと、
思い出しちゃいそう・・・





もうすっかり冬だな・・・





と、思ってたら帰りに、





「もうすぐに
日が暮れちゃいますね・・・」





「ですね・・・」





「あの、良かったら
送っていきましょうか?」





「え!?」





「こんな時間に、
なつみちゃんみたいな可愛い子、
ひとりで帰すなんて
出来ませんから」





(・・・!!??
か、可愛い!?
私が・・・!?)





その日は歩きで、
家まで送ってもらって。





帰りがけに
「おやすみなさい」なんて
言ってもらっちゃった・・・





はぁ・・・





これって・・・
やっぱ恋?





「ねぇ、どう思うー?」





って、犬に
話しかけたってなぁ。





今まで男の人って
怖いって思ってたのに、
コウショウさんはなんか、
安心する、というか・・・





でも、向こうには
同い年のお客さんとしか、
思われてないよねー。





どうしよう・・・・・
彼女とかいるかもだし・・・・・





でもそんなこと
聞けないよ~!!













・。・。・。・。・。・。・。・。





次の日。





「こんにちは~って、
あれ?
コウショウさ・・・あ・・・」





コウショウさんは、
女の人と肩を並べて、
楽しそうに話している。





大人っぽくて、
笑顔が可愛くて・・・





あぁ・・・だよね。





あんなに優しくて
かっこいい人、
彼女とか
とっくの昔にいたよね。





その日は、ひとりで
泣きながら帰った。





ベットにダイブして
うつむいた。





私ったら、
ばっかみたい。





その日から2日、
私はお店に
顔を出さなかった。





でも、そろそろ
会いたいという
気持ちが勝って、
少しだけ様子を
見に行こうとした。





「こんにちは!」





「こ、こんにちは・・・」





「この間
話してくれたテスト、
どうでしたか?
聞かせてください」





ああ・・・





コウショウさんは
優しいから、
こうやって
お話ししてくれてる
だけなんだ。





私の馬鹿。





楽しいって
思ってたのは、
私だけなんだ・・・





私なんて
お客さんとしか
見られてないよね・・・





もう、いいや。





「な、なつみさん!?」





だっと駆け出した。





ああ。
最初からこんな店、
知らなきゃ良かった。





コウショウさんの
ことだって・・・





もう忘れたい。





「待って!!」





泣いていたら、
後ろから
コウショウさんが
抱きついてきた。





「待ってください・・・
どうして
行っちゃうんですか?」





どき、どき、
抑えられない。





聞こえてたら、
どうしよう?





恥ずかしい。





勘違いしてたなんて
ばれたら・・・





子供っぽいって
思われちゃう?





ぐるぐる考えながら、
震える声を振り絞った。





「コウショウさん・・・、って、
あの・・・、か、彼女さん、
います、よね?」





「・・・え?」





「とぼけないでください。
この前一緒にいるとこ
見ましたから・・・
私なんかと話してたら、
誤解されちゃいますよ・・・」





「誤解です!
違います!
この前のは幼馴染み!」





「えっ?」





「選んでもらってたんです・・・
なつみさんにあげたくて・・・
手作りのハーバリウム」





「ええっ?」





コウショウさんの手元には、
ハート型のガラスの小瓶に入った、
ナツミソウと
ゴールドのキラキラした
モールが入った
ハーバリウムがあった。





蓋の部分に、紐で
「Merry Christmas i love u」
と書かれた
メッセージカードが
くくりつけられている。





「あいつにはなつみさんの
相談にも
乗ってもらってたんです。
もうすぐクリスマスだし、
何かあげたくって・・・」





え、そんな・・・





「実は、ずっと好きでした。
優しくて、
植物と動物を愛する、
なつみさんが」





えええええ!!





「嘘・・・」





「嘘じゃないです。
受け取って、
くれますか・・・??」





「はい、もちろんです/////」













・。・。・。・。・。・。・。・。





3年後 ―――――





「受け取って、
くれますか・・・??」





「はい、もちろん/////」





私たちは、お花でいっぱいの
幸せなガーデンウェディングで
ゴールイン/////





今では、毎年
クリスマス前に
ハーバリウムを送りあうのが
恒例行事。





店員がひとり増えた
お花屋さんは、
地元の人に愛される、
素敵なお店になりました/////







*end*

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