ハッピーエンドの始まり

CAST高比良 由菜高比良 由菜

作者:にこにこ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.12.12

2月、
バレンタインも過ぎた。





曖昧な季節は、すぐに
終わりがやってくる。





人々は悲しみの顔を
見せるやら、
好き勝手に
その時期を迎える。





部活の先輩はみんな
高校へ進学する。





ゆなな「セナ~っ」





セナ「ゆななぁ~」





ゆなな&セナ「「先輩たちが
卒業しちゃうっ」」





私とセナの所属する合唱部は
女の子しかいなくて、
8人で新学期を
迎えることになる。





中3になる私たちは
最高学年。





部長はセナ、
副部長は私だ。





大好きな背の高い
幼馴染が喋り始めた。





セナ「先輩が卒業するのかぁ・・・・・・
そして新学年・・・って、
ゆななはどう思う?」





ゆなな「1年生になる子たち、
いっぱい合唱部に
入ってほしいなぁ」





セナ「ふふふっ、
そうだねぇ」





ゆなな「だよね~・・・
4人以上はほしい」





セナ「ほんとはもっと
ほしいけどね。
あっそうじゃなくて!」





にこっとすると、
セナは再び口を開いた。





セナ「ほら、好きな人に
告ったりとかー」





ゆなな「あぇっ!?」





驚き過ぎたあまり、
私はのけぞって
大声を出してしまった。





セナは、ここが学校だと
いうことを
忘れているのだろうか。





セナ「ゆななが
大声出してる~。
かわいい!」





ゆなな「それは謎だなぁ」





セナ「へへっ、ゆななは
いるだけでかわいいよ。
それで好きな人は?
いるの、いないの?」





セナはどんどん答えを
出させようとしてくる。





ゆなな「・・・いなぃょ・・・・・・」





セナ「嘘つけぇ、
さてはいるんでしょ。
声がちっちゃく
なってってたし」





ゆなな「いないって。
ほ、ほんとにっ」





ほんとはいるのに、
嘘をついている罪悪感。
心に迫ってゆく。





ゆなな(セナの言うとおり
いるんだよね・・・
セナ、ごめん)





セナ「私、知ってるよ」





ゆなな「えっ」





セナ「ハアトでしょ?」





いつも目で追ってるよね、
とセナが言うのは、





セナ「ハアトもゆななのこと
見てるよねぇ」





事実だ。





ゆなな「そんなぁ、
それは私がいつも
目で追ってるから、
合わせてくれてるだけだよ」





セナ「あ、やっぱり
見てるんだ」





ゆなな「あっ!」





言ってしまった。





バレてしまっては
仕方がない。





ゆなな「だって・・・
ハアトは優しいもん。
話してたら、
それが伝わってくるよ」





セナ「ふふふ、
うんうん」





ゆなな「小学校は違ったけど、
他の男の子たちより
しっかりしてるし、
頭いい・・・・・・」





から、
と言ったところで、
ハアトが目の前
通っていった。





ハアト「お、ゆななとセナ、
何してんのー?」





ゆなな「えっ」





セナ「あははっ、
ハアト、
今の話聞いてたの?」





ふっと笑って、
ゆなな、
と促すセナ。





セナ「言っちゃえ」





ゆなな「え・・・・・・」





ハアトに告れってこと?





ゆなな(いやっ、違うよね)





ゆなな「えっと・・・
こ、恋バナしてたのっ」





確かな事実を言うと、
ハアトはにこりと笑った。





ハアト「そっか!
楽しそうだったから
声かけちゃった」





セナ「ほんと楽しいよー。
あ、そうだ、
ハアトも混ざる?」





ハアト「俺はいいよ。
それより」





ゆなな「な、何?」





手で顔を隠すと、
その手を握られた。





ハアト「ゆなな、
顔赤いけど大丈夫?」





ゆなな(ひゃっ)





握られた手は熱く、
その手の主の顔は熱く、
その顔の主の心は熱く。





ゆなな「そんなこと、
ないよっ」





セナ「あ、ごめん
もうすぐチャイムなる!
行こっ」





ハアト「そうだな。
じゃあ」





3人で教室に入ると、
先生がこんにちはーと
言ってきた。





まだ熱い体を休めるのは
無理だ、と思う。













・*。・ 修了式 ・。*・





それからというもの、
ハアトと話すのは、
前よりも更に緊張して
しまうようになった。





変な意識が
まとわりつく。





セナ「ねえ、ハアトと
それからどんな感じ?」





ゆなな「なんかね、最近
ドキドキさせられ過ぎて
困ってるの」





セナ「え~かわいい!」





そして、また私は
腰を抜かしそうになる。





セナ「もう、今日
告りなよー」





ゆなな(えっっ!?)





口が円を型どる私の目を、
セナはじっと見つめている。





セナ「振られた保証は、
私が取る。責任もね」





ゆなな「けど、
だからって・・・・・・
きゃっ」





とんっ。
誰かとぶつかった。





ゆなな「す、すみません!」





あまり人がいないのに
変だな。





そう思った瞬間、
その人が、





ハアト「ごめん。
あと、ゆなな、
こっち来てくれない?」





ハアトだとわかった。





ゆなな「え、はいっ・・・」





セナ「行ってらっしゃい!」





元気に
お見送りをされる私。





セナは密かに、
「がんばれ」
と言った。





もうここで、
告白するしかないのだ。





ハアト「ねえ、ゆなな」





ゆなな「ねえ、ハアト」





声がかぶる。
緊張は絶えない。





ゆなな「あ、お先にどうぞっ」





ハアト「いや、そっちが」





ゆなな「どうぞ・・・・・・・・・」





その沈黙は短かった。





ハアト「じゃあ、
一緒に言わない?」





ゆなな「えっ・・・・・・
はい、じゃあ」





ハアト「・・・うん」





息を吸う。





今、決定したばかりの
ことをする。





いけないことかどうかは
知らない。





それはもう、
顔が赤くなって
仕方がない。





心も落ち着かない。





ハアト「せーの、」





思いを口に。





ゆなな&ハアト「好き」





ぎゅ。







抱きしめられた身体を、
ほんのりと熱くする。





どこもかしこも
照れた顔。





私はハアトくんを
見つめる。





ハアト「前から、
こうしたかった。
それくらい、
俺はゆななのことが
好きなんだ」





ゆなな「ほ、ほんと・・・・・
・・・・?」





ハアト「もちろん」





ゆなな「・・・わ、私も・・・
・・・ハアトを好きなの」





再び思いを口にする。





ハアト「これからよろしく、
ゆなな」





ゆなな「こちらこそ・・・」





・・・ちょうどその時、





セナ「ゆなな、
よかったじゃん」





セナは、独り言を
誰かに向けて呟いた。





後期は終わり、
これから春休み。





ふたりの両片思いは終わり、
両思いになる
ハッピーエンドを迎えた。





本当の、
幸せな“終わり”。





それは、生涯どちらも
感じ取れないだろう。





ハッピーエンドの始まり。





今は─────
それが始まる時だ。











*THE END*

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