人魚姫の初恋。

CAST高比良 由菜高比良 由菜

作者:みなな

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2022.03.24

ある小さな村に、
ゆななという
少女がいました。





その少女は、漁師の娘で、
よく船に乗って、
仕事について行きました。





そしてある日、
ゆななは魚を釣り、
食べました。





すると、海がさぁぁっと
緑色に染まり、
魚が出てきて
言ったのです。





魚「お前が食べた魚は、
魚の女王様だ。
絶対に許さない」





突然のことに、
戸惑いました。





父の方を見ると、時が
止まっている様でした。





周りを見てみると、
他の船も止まっています。





ゆなな「ごめんなさい。
知らなかったの。
なんでもするから
許してください!」





魚「では、お前には
魚になる呪いを
かけてやる」













・:*+・・:+





ゆなな「あれっ?」





ここは海の中。





でも、息ができて
いるのです。





自分の体を見ます。





魚にはなっていません。





そのまま、目線を下に
移動させました。





ゆなな「うそ!?」





ゆななは、人魚に
なっていたのです。





ゆなな「どうしよう・・・」





ゆななが1人で
戸惑っていると、





?「こんにちは!」





ゆなな「わっ!!
誰ですか?」





ルキ「私はルキ。
私は人魚よ、ほら!」





ルキは、その場でくるんと
華麗に1回転してみせた。





尾ひれはピンク色で、
とっても綺麗だ。





ゆなな「綺麗・・・」





ルキ「あら、あなたも
人魚じゃないの。
泳いでご覧なさい」





ゆななは、5mくらい
離れたイソギンチャクまで
泳いで、戻ってきた。





ゆなな「楽しい!」





ルキ「良かったわね」





ゆななは、1つ
疑問に思っている
ことがあった。





ゆなな「あの・・・私、
もともと人間
だったんです」





ルキ「うんうん」





ゆなな「えっ
驚かないんですね。
どうして、人魚に
なっちゃったんですか?」





ルキ「・・・魚」





ゆなな「えっ? 魚?」





ルキ「ゆなな、魚の呪い
受けたんでしょ。
私もそう」





ゆなな「そうなんですか!
なんでだろ、
魚を食べた
だけなのに・・・」





ルキ「魚の王様がね、
毎年、私や
あなたくらいの少女を、
あれこれ理由をつけて、
人魚にするの。
理由はわからない・・・
でもね、これだけは
言えるわ!
人魚の世界は楽しい!」





ゆなな「そうなんですか!?」





ルキ「そうよ~!
みんなと遊びましょ。
仲間たちを紹介するわ!」





メアリ「あら、新入りさん?
可愛いじゃないの」





ルキ「メアリ!
この子はゆななって
いうの!」





そうして、ゆななは
人魚の世界に
馴染んでいった。













・:*+・ 10年後 ・:+





ゆななは、とても
美しい女性に
なっていた。





スタイルも良い、
顔も良い、
歌は上手く、
泳ぎも華麗だ。





ある朝のこと、





ゆなな「ララ~
ラララ~ラ~ラ~」





ゆななはその日、
1人で歌を歌っていた。













・:*+・・:+





ハアト「え、わたくしが
船に乗るんですか?」





その頃、地上では
ハアトという、
この街の王子が
家来と話をしていた。





どうやら、最近不漁が
続いているので、
ハアト王子の運の良さを
借りたいと
漁師が申し出たそうだ。





家来「そうでございます。
ハアト様が
お船にお乗りになり、
漁を手伝って欲しいと
いっております」





ハアト「引き受けよう」





家来「えっ?
正気ですか?」





ハアト「・・・」





家来「おっほん、
こんな口のきき方を
してしまい
申し訳ございません。
ほんとにお引き受けに
なるんですか?
船でお酔いになる場合も
ございますし、
嵐などが起こったら・・・
どうなるか分かりません」





ハアト「それも含めてだ。
わたくしは
魚が好きだしな」





家来「そうですか。
わかりました。
伝えておきます。
日時は決めて良いとの
ことなのですが、
どうしますか?」





ハアト「今日だ」





家来「きょ、今日??」





ハアト「そうだ」





家来「かしこまりました!
では、ハアト様、
ボディガードと共に
馬車に乗り待機して
くださると幸いです」





ハアト「了解だ」













・:*+・・:+





その頃、ゆななは
歌を歌い、
満足したので、
人魚広場に戻った。





人魚広場は、
人魚のみんなが
お話をしたり、
ピクニックをしたり
する時によく集まる、
広いサンゴ礁だ。





ルキ「あっゆなな!」





ゆなな「ルキ!
どうしたの?」





ルキ「ゆなな、
すごく歌が上手いのね。
みんな褒めてたわよ」





ゆなな「そんなことないよ~。
嬉しい!
ありがとう♪」





ルキ「ほんとに上手いから
自信持って!
そういえばね、
今日すごいBIG NEWSが
あるわ!」





ゆなな「え! なになに?」





ルキ「今日、この街の
王子さまのハアトさんが
お船に乗って、
海に来るそうよ!」





ゆなな「え!
あのハアトさんが!」





ルキ「ええ。ゆなな、
チャンスだよ!」





ゆなな「え、なんのこと?」





ルキ「わかってるんだから!
ゆなな、
ハアトさんのことが
好きなんでしょ?」





ゆなな「え、え、え
なんで知ってるの?」





ルキ「ふふ。知ってるよ。
だって私、ゆななと
10年も一緒にいるんだよ??
わかるよ!
ゆなながハアトさんと
付き合うために
歌を練習してることもね!」





ゆなな「もう、ルキには
なんでもお見通しかぁ、笑」





ルキ「お見通しだよ!
ゆなな、
ハアトさんが来たら、
いつも練習している
みたいに、
海面に顔を出して
歌を歌いなさい」





ゆなな「えぇ、
それは無理だよ。
まだまだ歌は
上手じゃないし」





ルキ「ゆななの歌、
いっつもみんな
聞き惚れてるんだよ?
知ってた?」





ゆなな「嘘だぁ」





ルキ「ほんとだよ。
みんな~!!」





人魚たち「はーい」





ルキ「ゆななの歌、
素敵だと思う人ー?」





人魚たち「はーい!!!」





「素敵という言葉じゃ
足りないよ」

「ゆななの歌が聞こえると
自然と笑顔になる」

「ゆななの歌声は天使」

「毎日聴いていたい歌声」

「もっとみんなの前でも
歌って欲しい」

「ゆななの歌声は
心を揺さぶられて
感動する」

「柔らかな歌声は
唯一無二」





次々と、ゆななの歌への
褒め言葉が
聞こえてきます。





ゆなな「みんな・・・
ありがとう~T^T」





ルキ「ゆなな、
自信持って!」





人魚たち「頑張って!」





「応援してるよ!」





「ゆなななら
王子さまと
結婚できるよ!」





「みんなゆななの
味方だよ!」





ゆなな「みんな
知ってたんだ・・・
ありがとう~~!!」





ルキ「さぁ、もう
ハアトさんが
船に乗って
出航する時間だよ」





ゆなな「じゃあ、
行ってきます!」





人魚たち
「いってらっしゃ~い!!」













・:*+・・:+





緊張する~。





は、はやく、歌わなきゃ。





さっき、発声練習は
したけど、
まだ来なそうだから、
発生練習をしよう!





ゆなな「あーあーあ!
あーあー」





   ・
   ・
   ・





どれくらいの時間が
経ったかは、わからない。





実際は5分くらい
なんだろうけど、
すっごく長く感じた。





やっと船が動きだした。





ゆなな「よしっ
歌おうっ」





ゆなな「ララ~ラララ~
ララ~ラララ~ラ~
ラ~ラ~」





船が近づいてくる。





ゆなな「ラララ~ラ~
ラララ~ラ~
ララ~ラ~」





ハアト「すごい素敵な
歌声が聞こえる。
家来、見に行っても
良いか?」





家来「海に落ちないの
ならば」





ハアト「大丈夫だよ。
見てくる!」





ゆなな「ラララ~」





ハアト「君、」





ゆなな「は、はい?」





ハアト「名前は・・・
なんて言うんだ?」





ゆなな「ゆ、ゆな、
ゆななです」





ハアト「ゆゆなゆなな?」





ゆなな「違います!
ゆななです!」





ハアト「ゆなな・・・さん?
とても素敵な歌声だな」





ゆなな「恐縮です・・・」





ハアト「ぜひ毎日
わたくしのお城に住んで、
歌って欲しいものだ」





ゆなな「ほんと・・・
ですか?」





ハアト「はい。
わたくしのお城に
お越しいただけない
でしょうか?」





ゆなな「行きたいです。
でも、あの、その・・・
私は、人魚なのです」





ハアト「に、人魚?」





ゆなな「はい。
地上を歩くことが、
できないのです」





ハアト「そうだったか・・・」





ゆなな「・・・」





ハアト「そうだ!
海底に、魔法使いがいる。
魔法使いは人魚を
人間に変えられる!!」





ゆなな「しかし・・・」





ハアト「しかし?」





ゆなな「人魚姫、
というお話を
知っておりますか?」





ハアト「存じておる」





ゆなな「そのお話では、
人間になる代わりに、
声が失われてしまいます。
私も、歌えなくなって
しまうのでは・・・」





ハアト「その心配はない。
その魔法使いは、
信頼できる」





ゆなな「そうなんですか・・・?」





ハアト「信じてよい。
では、私はもうお城に
帰らねばならない」





ゆなな「はい」





ハアト「魔法使いの館は、
海を下に下に進んでいけば、
必ず見つかるはずだ。
あなたが、人間になって、
また会えることを
楽しみにしています」





ゆなな「はい!」













・:*+・・:+





ルキ「わぁ~ゆなな~!
頑張ったね!
会話は全部
聞こえてたよ!」





ゆなな「そうなの!
私、みんなとお別れに
なってしまうかもしれない」





ルキ「うん。
応援してるよ」





ゆなな「ほんとに、
いいの?」





ルキ「うん。
ゆななのこと信じてるし。
たまには会いにきてね!」





ゆなな「まぁ、まずは
魔法使いさんのところへ
行かなければ
ならないんだけど・・・」





ルキ「思い立ったら吉日だよ!
今から行ってきな!」





ゆなな「うん!
じゃあ、
行ってきます!」













・:*+・・:+





ゆななは、下へ下へ、
泳いで行った。





もう10年も
人魚でいるから、
泳ぎは得意になった。





だんだんと暗くなって、
やがてあたりは
闇につつまれた。





ゆなな「暗・・・
怖いなぁ」





その時





ピカッ





ゆなな「うわっ眩しい!」





よぉく見てみると、
その光は洞窟の中から
出ている。





あれが、魔法使いさんの
住処なのかな?
とゆななは考え、
入ってみることにした。





ゆなな「あの~
誰かいませんか~?」





魔法使い「よく来たな」





ゆなな「うわ!
こ、こんにちは!」





魔法使いさんは、
思っていたよりも、
優しそうだった。





ゆなな「あの、
私、見ての通り
人魚なんですが・・・」





魔法使い「人間に
なりたいと?」





ゆなな「はい」





魔法使い「覚悟はあるかね?」





ゆなな「あります!」





魔法使い「人間になる代わりに、
あなたは大切な物を失う。
それは、自分の中の
何かであり、
親友や結婚相手が
消えたりはしないがな」





ゆなな「はい」





魔法使い「そして、
それは、愛の力で
元に戻ることがある。
ほとんどの場合、
元に戻るから安心せい」





ゆなな「はい!
ありがとうございます!」





魔法使いは、
オーロラのように光る
美しい玉を取り出した。





魔法使い「では、
この玉を持って
海面近くへ戻るんじゃ。
そして、
To the people world
と唱えるのです」





ゆなな「To the people world、
ですか?」





魔法使い「ええ。
健闘を祈る」





ゆなな「はい!
ありがとうございます!
さようなら!」





魔法使い「さようなら!」













・:*+・・:+





海面まで
戻ってこれた。





それほど遠くは
なかったけど、
1人だったし
暗かったから
遠く感じたな。





呪文・・・
唱えよう。





美しい玉を
手に持って、
準備完了!





ゆなな「To the people world!」













*・。+ *・。+ *・。+
 *・。+ *・。+
*・。+





気がつくとゆななは
横たわっていた。





どうだろう?
人間になっているかな?





足の方を見ようとする。





見えない・・・
なんで・・・?





しかも、声を出そうにも
出せないのだ。





そういえば
潮風の香りもしない。





顔を触ってみる。





うそ・・・





ゆななは、
のっぺらぼうに
なっていたのだ。





どうしよう・・・





まって、
魔法使いの言葉を、
思い出そう。





『人間になる代わりに、
あなたは大切な物を失う。
それは、自分の中の
何かであり、
親友や結婚相手が
消えたりはしないがな』





そうだ!
大切なものか~
私の大切なものは、
顔だったってわけね!





たしか・・・





『それは、愛の力で
元に戻ることがある。
ほとんどの場合、
元に戻るから安心せい』





って言ってた・・・





王子さまだ!





ハアトさんの
愛の力で・・・





でも、声が出ないのに
どうやって呼ぼう?





ハアト「どうしたのですか?」





この声は・・・
ハアトさん!?





運命・・・
感じちゃうな。





とか言ってる
場合じゃない!





私は今
のっぺらぼうなんだから!





ハアト「うわ!?
のっぺらぼう!?!?」





どうしよう・・・





ハアト「もしかして・・・」





気づいてくれたかな!?





ハアト「ゆなな・・・
さん?」





そうですそうです!!





私は首を縦に振った。





ハアト「やっぱりそうなのか・・・
確か・・・
あの魔法使いの魔法は
愛の力で解けるんだったな」





私は首を縦に振る。





ハアト「愛の力・・・?
どうすればいいんだ・・・」





私は首を傾げる。





ハアト「じゃあ・・・
あの・・・」











ハアト「私、ゆななさんの歌、
実はずっと聞いていました。
窓から。
王子だからという理由で、
勝手に外出することは
禁じられていて、
この前、海に行けると知り、
とても嬉しかったんです。
だから、その日中に
海に行きました。
ゆななさんが1人で
海で歌っていて
すごく嬉しかった。
私は・・・ゆななさんに
恋をしました。
大好きです」





ポロポロ・・・





気づくと、
私の目からは
涙が溢れていた。





あ・・・
目からっていうことは・・・





私は自分の顔を
触ってみる。





顔がある!





ハアト「良かった。
戻りましたね」





ゆなな「・・・」





ハアト「・・・」





ゆなな「あの・・・
先程の言葉は・・・
本当ですか?」





ハアト「・・・」





ゆなな「すいません!
単刀直入に
聞きすぎた・・・」





ハアト「そうだ」





ゆなな「え?」





ハアト「先程のは本心だ」





ゆなな「え・・・」





ハアト「私はゆななさんに
恋をしたのだ」





ゆなな「私も・・・私も!
ハアトさんのことが、
ずっと好きでした。
あの日も・・・
ハアトさんが海に来た時も、
実は知っていて、
だから歌ってたんです」





ハアト「そうか。
それは嬉しい。
じゃあ、改めて、
お城に行こう」





ゆなな「はい!」





その後、2人は結婚し、
ゆなな姫とハアト王子は、
幸せに暮らしましたとさ。











・:*+・end・:+

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