マフラーのかわりにさようなら

CAST高比良 由菜高比良 由菜

作者:ちはなん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.08.17

はじめまして、
高比良由菜と申します。





今は中学3年生。





・・・出会いと
別れの多い季節です。





私には彼氏がいます。





?「高比良!
一緒に帰ろ!」





そう言って私の肩を
ポン、とたたいたのは、
彼氏の紀田直哉くん。





私は、中1の時から
好きだったのですが、
今年の2月、直哉くんから
告白してくれたのです!





と言うことで、今はいわゆる
リア充生活を
送っているのです。





ゆな「うん、いいよ」





さすがに
手は繋がないけど、
私にはそれぐらいが
ちょうどいい。





なぜなら・・・





?「あれ
直哉くんじゃない?!」





??「ほんとだ!
直哉くん、
ヤッホー!!」





女子にモテモテな
直哉くんは
先輩からも人気があり、
通学路を歩いているだけで
声をかけられるのです。





そんな大勢の人の前で
手を繋ぐなんて、
私には絶対できません。





直哉くんは、
声をかけてくれる人に
律儀に会釈をしながら
歩きます。





私は、そういうところも含めて
直哉くんが好きなのです。













***





?「ゆな~!
今日一緒に帰ろ~!!」





昼休み、教室で
本を読んでいると、
誰かが私の机の上に
手を置きました。





顔を上げると、
そこには幼馴染で親友の
関谷瑠紀がいました。





ルキ「ねえねえ~、
今日だけ!」





ゆな「いいけど・・・、
何かあったの?」





私は本を閉じて
ルキと話をします。





ルキ「あのさ~、
コウショウがさ~!!」





コウショウというのは、
ルキの彼氏、
戸部光翔くんのこと。





いつも言い合いしては、
こうして私に
言いつけてくるのですが・・・





?「おいルキ~、
全部ユナにゆうなよ~」





噂をすれば、
コウショウくんが
やってきた。





ルキ「コウショウが
勉強教えてくれないのが
悪いじゃん!」





どうやら、
来月の期末テストの
勉強のことらしいです。





コウショウ「だって、お前がいつも
途中で投げ出すから、
俺まで勉強できなくなると
困るじゃん」





コウショウくんは
そこで一度言葉を止め、
ルキの顔を覗きながら
続けました。





コウショウ「ルキに
教えられなくなると
嫌だし」





その爽やかな笑顔に、
ルキは顔を真っ赤に染めて
目を逸らします。





ルキ「じゃ、じゃあ、
邪魔しないから・・・」





コウショウ「じゃ、いいよ」





ルキもコクリと
頷きました。





・・・いいなあ、
こんなラブラブ生活。





私も、もっと
直哉くんのこと
知りたいな。





そう思いながら
直哉くんの席の方を見ると、
男子たちが直哉くんを囲んで
話していました。





私は、また目を
本に戻しました。





男子「ええっ?!
直哉転校すんの?!」





直哉くんを囲んでいた
男子の1人が
そう叫ぶのが聞こえて、
私は思わず直哉くんの席を
振り返りました。





直哉「少なくとも、
12月まではいるから・・・」





男子「いや、来月じゃん!」





え・・・直哉くん、
来月でいなくなっちゃうの?













***





放課後。





ルキはコウショウくんと
勉強会をするらしく、
一緒に帰る約束は
なくなりました。





靴箱で靴を
履き替えていると・・・





?「高比良、一緒に帰ろ!」





振り返ると、
直哉くんがいました。





いつものことなのに、
今日はなぜか、
ちょっと寂しい。





昼休みのことが
あったからでしょうか?





直哉「あれ、どうしたの、
高比良。元気ない?」





えっ、もしかして、
気づいてた?!





ゆな「べ、別にっ!
何にもないよっ」





直哉「そっか、よかった」





直哉くんは、
ニコッと笑いました。





あれ・・・、
そういえば、
直哉くん・・・





ゆな「もう
マフラーしてるの?」





直哉くんの首元には
マフラーが巻いてありました。





直哉「え?
だって、寒くない?」





いや、別に寒くは・・・
だって、まだ11月だし・・・





私が軽く首を横に振ると、
直哉くんは
目を見開きました。





直哉「ええ、マジ?!
寒いと思ったんだけどな~」





本気で考える
直哉くんが可愛くて、
私は思わずクスリと
笑ってしまいました。





直哉「ええっ?!
なんで笑うの?!」





その後も2人で
笑ったり
おしゃべりしたり・・・





気づけば、私の家の
近くになっていました。





ゆな「じゃあ、また明日、
直哉くん」





私は手を振って、
角を曲がろうとしました。





直哉「ゆな!!」





直哉くんが、初めて
私の名前を呼びました。





ゆな「直哉くん・・・?」





直哉くんは
私の正面に立つと、
少し悲しそうな顔で
私を見ました。





直哉「ごめん、ゆな。
・・・俺と、別れてください!」





いきなり
頭を下げられました。





・・・え?
別れ・・・?





直哉「知ってるかもしれないけど、
俺、転校するんだ」





でも、それは、
12月だよね・・・?





直哉「俺、明後日には
引っ越し先に行かないと
いけないから・・・」





ゆな「えっ・・・でも、
昼休みは・・・」





直哉「ああ、
聞いてたんだ。
あれ、嘘。
明後日なんて言ったら、
あいつら泣きそうじゃん?
仲良いやつには、
あえて言わないってゆう・・・」





そうだったんだ・・・





直哉「ゆなのことが
嫌いになったわけじゃないんだ。
でも、遠距離恋愛できる
自信が無くて・・・」





直哉くん・・・





私は、精一杯の笑顔を作って、
言いました。





ゆな「分かった。
今まで、ありがと・・・っ」





泣かないって思ってたのに、
涙が溢れてきました。





直哉くんとは、
笑ってお別れしようって
思ってたのに。





すると、直哉くんが
突然首元に巻いていた
マフラーをとりました。





そして、私の首元に
巻いてくれました。





直哉「俺には、これぐらいしか
できないけど・・・
泣かないで、って、
俺が泣かせてるから
言えないか」





自分で突っ込む
直哉くんをみて、
思わず
吹き出してしまいました。





ゆな「ぷっ、あははっ」





直哉「うん、ゆなは
笑ってるのが
1番かわいい」





直哉くんはそう言って、
私の頭をポンポン、
となでました。





直哉「今までありがとう、ゆな」





ゆな「直哉くん・・・
私こそ、ありがとう!」





私たちは、その日を境に、
会うことはありませんでした。





でも、私の心の中には、
いつも直哉くんがいます。





あのマフラーが、
思い出させてくれるから_____。







*END*

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