いつもの君と

CAST高比良 由菜高比良 由菜

作者:にこにこ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2021.11.21

いつか、恋をしたいと
思っていた―――――――。







* 青蘭高校受験スクール *





冬は寒い。





空気は乾燥し、この学年は
受験生の空気に
包まれるようになった。





空気の50%から
80%くらいは、
私たち生徒の
ため息な気がする。





〈中3ってさ、
楽しい学年だけど、
苦しい学年でもあるよね〉





そんな言葉を、
前期はじめに
誰かが言っていた。





それが少しわかると、
最近皆が言っている。





前期のはじめの時には、
あまり納得が
いかなかったようなことだ。





私は、今いる
{青蘭(せいらん)}という
塾に通っている。





県内に特化したところだから
受験にも安心で、
多くの公立小中学生が
利用している。





志望校合格率も高いから、
いいところだと私も思う。





セナ「先生っ」





林先生「何、組橋さん」





セナ「問5の2番が
あんまりわかんなくてー、
どうすればいいんですか?」





林先生「えっ?
問5の2番?」





セナ「はい、そこです」





林先生「あ、やっぱりそうかぁ。
そこわかんない人
いっぱいいると思うんだ、
ちょっと待っててもらえる?」





セナ「はーい」





組橋セナちゃんは
よく先生に質問する方だ。





ちゃんと考えてから
言っていると思うけれど、
続いて同じところを
質問する時もあるから、
あれ? って思ってしまう
こともある。





でもかわいいから、
許してしまいそうになる。





最後の方の問題が
終わりかけた時、
林美央子先生が口を開いた。





林先生「はい、ちょっと
シャーペン離して顔上げて。
・・・問5の2番聞きたい人ー」





素直にほとんどが
手を挙げる。





林先生「だよね、
じゃあ説明するから
よく聞いといて。
あ、できた人いる?」





レン「・・・・・・僕できました」





林先生「お、さすが内田ー。
どうやったの?」





レン「えっと、
まず中心の歯車が―――」





内田レンくん。





彼はこの塾で、
1番バランスよく
とても頭が良い人だと思う。





何にしても
解き終わるのが早いし、
正解率はきっと
90%を超えているだろう。





自分のことを
〔僕〕と言っていて、
大人しく、理論的で
語彙力がある。
人に対して優しい。





―――何度か、
モテそうだなぁと
思ったことがある。





私はそんな内田くん
(塾の男の子たちは、
みんな苗字+くんで呼ぶ)に
対抗し、
自分が最も得意な英語を
一生懸命頑張って、
進度クラス内1番を保っている。





―――――――――とん





ゆなな「あっ」





消しごむを
落としてしまった。





慌てて拾いに
行こうとしたら、
目の前に黒い影ができた。





誰だろう。





そう思い顔を上げると、
内田くんの体が
目に入ってきた。





レン「はい。
高比良さんのですよね」





そう言って私の手を取り、
彼は消しごむを私の手に置き、
ペコリと頭を下げてから
去っていった。





ゆなな「ありがとうございますっ」





緊張して、
声が裏返った。





少し恥ずかしくて
うつむく。





席に戻り、
消しごむを机に置いた。





頬杖をつこうと、
頬に手をあてた。





すると、





ゆなな(えっ・・・・・・)





熱くなっているのが
わかった。





ゆなな「あれ・・・っ、
熱い・・・・・・」





林先生「高比良さん?
暑いの?
じゃあ暖房の温度
下げよっか」





ゆなな「えぁっ、
ちが、違います・・・」





林先生「え、何言ったの?」





ゆなな「・・・・・・・・・っ」





熱い、と言ったのを、
暑い、と言ったのと
勘違いされた。





どうしよう・・・
私、声が届いてないっ。





あたふたしていると、
サッと内田くんが
口を開いた。





レン「先生」





林先生「何?
内田くんは寒い?」





レン「そうじゃなくて。
高比良さん、
違うって言ってますよ」





林先生「あら、そうなの。
ごめんねー高比良さん」





ゆなな「・・・いえ、
大丈夫です・・・・・・」





熱くなる頬を押さえながら、
静かに答えた。





内田くんの、あたかも
ふんわりした
カーテンのような優しさが、
心に染みついていた。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





今日の授業が終わり、
帰る準備をしていたら、
関谷ルキちゃんが
とたっと音を立てて、
駆け寄ってきた。





ルキ「ねぇ、問5の2番、
やっぱめっちゃ
難しくなかったっ?」





ゆなな「あ、うん、そうだよね!
ルキちゃんもわからなかった?」





ルキ「うん、もう全っ然。
私にしては珍しいなとか
自分で思ったりして!笑」





ゆなな「確かに、ルキちゃん
数学の頭良さそうだし、
私も思っちゃった」





ごめんね、
と謝ったけれど、





ルキちゃんは「え、いいよ
そんな、謝らなくても」





と笑った。





ルキちゃんは
フレンドリーで、
でもしっかりしていて、
誰にでも好かれていそうだ。





実際、私も
彼女のことが好きだ。





ゆなな「じゃあ、
また明日に
ここで会おう」





ルキ「うん。
ばいばいっ」





林先生「さよなら、
高比良さんと関谷さん」





ゆなな「ありがとうございました」





ルキ「ありがとうございましたっ」





男の子たちは
既にみんな出ていた。





お父さんが
車で待っている。





私は急いで
靴を取りに行った。













* 高比良家 *





1人っ子の私は、
お勉強するときに
誘惑が少ない。





セナちゃんが
言っていたけれど、





「弟がすごい邪魔してきてさ、
相手してたら
全然勉強できなかったの」





というような出来事が
起こりそうだから、
兄弟姉妹がいないことは
少しいいことでもあると思う。





不意に、内田くんが
頭に浮かぶ。





優しくて頭が良くて、
父母ともに
好かれそうな感じの、
しっかりした男の子。





もしも、あんな人と
付き合えたら・・・・・・・・・・・・





ゆなな(いやっ、違う違う。
ただ、塾のクラスが一緒の
男の子ってだけだよっ)





おかしなことが
脳裏に浮かび、
慌てて掻き消す。





大体、私は男の子と
付き合ったことないもん。





あんなにいい人が
最初の恋人だなんて、
自分を信用できなくなりそうで
いろいろな意味で
怖いって思う。





でも。





ちょっと好きなのは
確かだと思う――――――。





リュックを置き、
手を洗いにいった。





内田くんが
恋愛する気あるのか
どうかもわからないし、





付き合う人はもっと
しっかりしている方でないと。





うん、
そうだよね。





―――ルキちゃんとか、
良さそう・・・・・・





ゆなな(ああ、
また変なことを
考えてるな、私)





私は頭をぶんぶん振って、
ベッドに横になった。





ゆなな「ふぅ・・・・・・」





また明日に塾がある。





今日もしっかり
寝なくちゃ。





そう心をなだめ、
やっと落ち着いた。













* 市立新潮中学校 *





ルキちゃんとも
セナちゃんとも、
同じ学校だ。





そういえば、
内田くんなどを含め7割以上、
ここの中学校に通っている。





久しぶりにそんなことを
考えたな、と思いながら
席についた。





ルキちゃんは、
私と併願が同じらしい。





私立キリスト教大学附属
聖ニコラ学園高等学校
というところだ。





キリスト教。
英語で4以上を取ることが
必要だと、前々から
聞いていたけれど、
私は大丈夫だ。





オール4以上は
保っている。





ルキ「でも女子校だからさ、
恋とかあんまり
できないよね~~~っ」





ゆなな「あっあれっ
いつの間に!
おはようルキちゃん」





ルキちゃんは少し、
神出鬼没だ。





いつの間にか隣にいる
っていうことが
たまにある。





今日は考え事をしていたら、
話しかけられた。





口角が自然に上がる。





ルキ「ふふふっ、
私たちの併願って、
もしもそこしか
受からなかったら、
恋できなくない?」





ゆなな「ルキちゃんって、
私の考えてること
すぐわかるよね。
尊敬する・・・」





ルキ「でさでさっ、
女子校のデメリットって
いうものを、
昨日考えてたわけ!
そしたらね」





ゆなな「どうしたの?」





えへっと笑って、
ルキちゃんは私の肩に、
ぽんっと手を置いた。





ルキ「男の子たちに
会えなくなって、
恋ができないってことしか
思い浮かばなかったのぉ~」





なるほど、
そういうことか。





私は興味津々で
ルキちゃんに聞いてみた。





ゆなな「なに、
ルキちゃんって
好きな子いるの?」





ルキ「まさか、いないよ!
私のモテ期は
高校生らしいから、
その時につくるのっ」





ゆなな「へぇ。あ、でも、
恋ができなくなるわけじゃ
ないと思うよ」





ルキ「えーなんで?
先生はあんまりだよう」





ゆなな「その、ほら、
塾の男の子たちとか・・・・・・」





言ってしまって
後悔した。





ルキちゃんに
何か、感づかれるかも
しれないから・・・





そうしたら、私はどんどん、
内田くんに
惹き込まれていきそうだから。





ゆなな「あ・・・ごめん、
多分なんでもないっ」





ルキ「えっ多分?
なにようっ、ゆなな、
あの人たちの誰か
好きなの~?」





ゆなな(あぁぁぁ、
やっちゃった!
ルキちゃんに
何か言われるかもっ)





そんなことを思い、
サッとうつむく。





でも、ルキちゃんは
引いてくれた。





ルキ「あ、ごめんね。
聞かれたくなかったかな?
ゆななの心を、
勝手に探っちゃった。
ほんとごめん・・・・・・・・・」





ゆなな「あ、ううん!
大丈夫、
こっちこそごめんなさい」





ルキ「えーっ。
私が悪いよ。
ゆななが恋したって
初めてになって、
興味湧いちゃって」





あ・・・・・・





私、もしも内田くんに
恋をしていたら、
5歳の時以来になるんだ。





ルキちゃんとは
小学校からのお友達だから、
そういうことになる・・・





ルキ「じゃあ、私戻るね!
共学の併願も、
しっかり考えよーっ」





ゆなな「うん、そうだね。
私立でも、家から
遠くないところがいいよね。
ばいばぁい」





ルキ「ばいばいっ!」





ルキちゃんは
内田くんのように優しい。





そう思ったら、
顔が赤くなったような
気がした。





ゆなな(私最近、
内田くんのことばっかり
考えてる・・・)





恥ずかしくて、
また顔をうつむかせた。













* 高比良家 *





ゆなな(あーあ・・・・・・)





はぁ、とため息をつく。





ゆなな(私、すっかり
内田くんに
取り憑かれちゃってる・・・)





そう思う私の心の中は、
変にモヤモヤしている。





と言っても、そんな
悩みとかいうわけではなく、
何と言ったらいいのか
わからないような、
ムズムズするモヤモヤ――――――。





全部、内田くんが原因だ。





内田くんのせいには、
したくないけど・・・





仕方ない、そうなって
しまったのだから。





私が彼を好きなのには、
何も変わりがない。





でも。





ゆなな(話したこと
あんまりなかったよね。
よく考えたら、好きになって
もらえたようなときなんて
1度も・・・なかった)





そういえば、と思い、
はぁ、とまたため息をつく。





少し落ち込む。





―――――――――あっ。





ゆなな「ルキちゃんっ!
ルキちゃんに
相談すればいいかもっ」





ルキちゃんのことを
思い出したら、
ほんの少しだけ気分を
取り戻した感じがした。





ルキちゃんは、
いろいろな意味で、
大切なお友達なのだ。
信用度はとても高い。





彼女に電話しよう、
そう思いスマホを取る。





ルキちゃんのLINEは・・・
――――――上から3番目だ。





ピンで固定されている
両親の、次。





ぽん、と押して、
ビデオ通話を掛けた。





ゆなな(ドキドキする・・・・・
・・・・あっ)





ちょうど彼女も
スマホをいじっていたのか、
2秒ほどで開始できた。





ルキ[ゆなな、
こんばんはぁ。
もしも~し、
ルキだよっ]





ゆなな「もしもし、
ユナだよ。
こんな夜にごめんね」





ルキ[んっ、大丈夫だよ。
どうかしたの?
相談ことなら遠慮しないでね]





ゆなな「え、当たってる!
すごいよねぇ
ルキちゃんって」





ルキ[それ最近めっちゃ
聞く気がする。
あははっ]





ゆなな「そう? ごめんね。
えっとね、
相談事なんだけど・・・」





一息ついて、
再び口を開く。





ゆなな「私ね、実は、
内田くんのこと
好きになっちゃったの」





3秒、間が空いて。





ルキ[え~~~~~~っ!
すごいじゃんっ!
ゆなな、
レンのこと
好きだったんだぁー]





ゆなな「えっ・・・
すごいって言った?
あ、好きだったっていうか、
好きになったの。
ほんと最近なんだ・・・・・・」





ルキ[え~~~
でもすごいよっ。
でさっ、何、相談ってー]





正直に言うのは、なかなか
恥ずかしいものなんだと知った。





ゆなな「え、えっとね・・・
私、彼に好きになって
もらえるような機会、
1度もなかったと思ってて。
だから、好きになっても
付き合えるかどうかなんて、
全然だめだと思うの・・・」





ルキ[えっ大丈夫じゃない?
今からアプローチすればいいよ。
告白の機会は近くだと
2度くらいあるでしょっ]





ゆなな「えぇ~、
アプローチなんてできないっ。
それに、告白なんてできないよ。
チャンスも全くないもん」





ルキ[あらー
忘れてるのかい、
お嬢様は~~~。
ほらほらっ]





ルキちゃんに
せかされるけれど、
全く頭に浮かばない
告白の機会。





どういうことだろう。





ゆなな「なぁに?
私、全然わからないの」





ルキ[絶対わかるって!
言うよ?
――――――バレンタインと
ホワイトデー、でしたー]





ゆなな「あっ!」





忘れたていた。
バレンタインのことを、
すっかりと。





でも、





ゆなな「なんでホワイトデー?
それって、男の子が女の子に、
じゃないの?」





ルキ[知らないの?
逆チョコだよ!
それにさ、渡された時に、
思い切って好きですとか
言っちゃってさ!
絶対盛り上がるし
いいと思うの]





そう聞いたら、
しっかりした答えとともに、
明るい笑顔が返された。





ゆなな「へぇー、知らなかった。
頑張らなきゃねっ!」





ルキ[そうだよ、頑張ろう!
じゃっ、手っ取り早く
バレンタインでいこう!]





ゆなな「うんうん、
そうしよう・・・・・・
えぇぇっ?」





バレンタイン?
あと2週間しかないじゃない。
私、できないよ・・・





ゆなな「むり、ムリ、無理っ!
できないっ。
勇気がないもん」





ルキ[でもジリジリしてたら、
彼モテそうだから
取られちゃうかもよ?]





うーーーーーーん・・・・・・・・・
確かに。





ルキ[ほら、頑張るって
言ったじゃん!
絶対レンは、
ゆななのことが
好きだよ!]





ゆなな「そう・・・だよね」





だんだん納得してきた。





そうだ、思い切って頑張ろう。





ゆなな(私だって、
やればできるの!)





ゆなな「私、頑張る!」





そう意気込んだ途端、
私の心は明るくなった。





ルキ[頑張って!
あっ、受験も
忘れないでね~]





ゆなな「大丈夫、
受験は合格ライン
超えてるから!
えへへ」





ルキ[そうだ、レン、
第一志望私たちと同じ
新潮社会高校だって!]





ゆなな「いつの間に?
ま、やる気出ちゃった。
どっちも頑張ろうね」





ルキ[じゃあばいばい!]





ゆなな「ばいばいっ!」





ビデオ通話を切ると、
すがすがしさを感じた。













* 学校 *





今日はバレンタインデー当日だ。





ほんのり甘い香りが漂う校舎内で、
女子たちはそわそわした
雰囲気を見せている。





ルキ「ゆなな!
おはよっ!」





ゆなな「ルキちゃぁぁん。
おはよぉぉぉぉ・・・」





ルキ「なぁ~に
緊張してんのっ」





ぱんっ、と
私のリュックを叩いて。





ルキ「頑張って
行ってらっしゃい!」





ゆなな「うん!
ありがとう~」





私は背中と同時に
心も押された。





頑張るしかない。
もうあとはないんだ。





そう思い、
足を踏み出した。





放課後、内田くんの
肩を叩いた。





とんとん、と
調子の良い音が鳴る。





ゆなな「ごめんなさい、急に」





レン「どうしたの
高比良さん」





ゆなな「・・・少し
話したいことが
あるんだけど、
今大丈夫?」





うん、と言われて
歩き出す私たち。





ごめんね、
ついてきてくれるかな。





そう言う私の声は、
普段よりも少し高いなと
感じる。





いつもは持ってこない
サブバッグを、
ぎゅっと温かく掴んだ。





その中には
チョコレートが
入っている。





ドキドキ、ドキドキ。





高鳴る心臓は
チョコレートまで
震わせそうで、
でもその前に
自分が震えてしまう。





彼にばれないよう、
気をつける。





誰もいない
階段の踊り場で、
静かに息を吸う2人。





第3者から見ているところの
図が浮かび、緊張は絶えない。





ゆなな「ありがとう」





レン「うん。
大丈夫だけど」





ゆなな「あ、内田くん、
時間取っちゃってごめんね。
なるべく早くするね」





レン「6時までに帰れば
平気だから、
気にしないで」





ゆなな「ほんとに
ありがとう・・・・・・」





そんな変な会話が続く。





私、なんて
冴えないんだろう・・・・・・
恋に。





私の恋の気象情報は、
曇り時々晴れ、
のようなものだと思う。





ゆなな「えっとね」





レン「うん」





ゆなな「あの、
す、すす・・・・・・す・・・」





あぁ、上手に言えない――――――。





ゆなな「す、す・・・すっ・・・・・・」





レン「な・・・何?」





ゆなな「す・・・・・・しゅ」





レン「塾?」





ゆなな「―――・・・・・・えっ」





レン「今日なかったよね。
宿題終わってないの?」





勘違い。
それに助けられるような
私はダメな奴・・・





ゆなな「あぁ・・・
そ、そうなの。
ほ、ほんとにごめんね。
一瞬でいいんだけど、
全然わからないところがあって・・・・・・」





レン「そっか、僕で良ければ
教えるけど」





ゆなな「えっ。―――
あ・・・・・・・・・
お願いします」





レン「図書室行こうか」





ゆなな「うん」





重い響きが
そこらじゅうに渡った。







言えなかった――――――――――――。









レン「ねぇ、高比良さん」





ゆなな「はいっ」





レン「なんでさっき、
あんなに緊張してたの?
塾の宿題って、
そんなに人に教えてもらうの、
ためらうものなのかな」





また誰もいない、
今度は図書室で、
疑問を抱かれた私。





ゆなな「えっと・・・・・・・・・・・・
ごめんなさい」





謝ることしか
できない私。





レン「どうしたの?」





ゆなな「その、ごめんね。
・・・宿題、ありがとう」





私は私が嫌いだと
心が言う。





レン「うん、
大丈夫だけど」





ゆなな「ありがとう。
ごめんね、
私さっき、違うこと
話そうとしてたんだ・・・」





レン「え、そうなんだ、
ごめんね。
僕、どんどん進んじゃって」





ゆなな「いいの。
謝ってくれてありがとう」





本題っていうのはね。
高い声で心の叫びを言う。





ゆなな「私―――――――――」





レン「・・・・・・うん」





ゆなな「――――――内田くんのこと、
好きです」





長いようで短い私の声は、
彼の元へと飛び立った。





ゆなな「付き合ってくれませんか・・・・・・」





レン「・・・・・・・・・高比良さん、
僕のこと好きだったの?」





ゆなな「そう。好きです・・・」





レン「・・・僕も
・・・・・・好きです」





そして。





彼の言葉は私に響く。





ゆなな「えっ」





レン「付き合おう、
高比良さん」





ゆなな「はい・・・・・・
ありがとうっ!」





こつん。
おでこをくっつけ合った。





あのチョコレートは、
彼がとても美味しいと
笑顔で食べてくれた。





好き、が増えていく、
初めての感覚を味わった。





心が綺麗になった私と彼は、
今、幸せな生活を送っている。





大好きだよ、
内田レンくん―――――――――。











*THE END*

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