I lost my memory. 私は記憶を失いました。
作者:白雪☆
『ルワくん! お願いがあるの』
『何?』
『ユズの・・・
彼氏になってください』
『ぜひ』
『よろしくね』
――――――――――――――――――
――――――――――――
――――――
こんにちは。
私は足川ユズ。
・・・らしいです。
というのも、
私は記憶をなくしたみたいで。
私にもよく分かりません。
白くて大きなベッドの横で、
《お母さん》からもらった
お菓子を開けてる。
《お母さん》のコトも、
よく分からない。
コンコン。
誰かが来たことを知らせるその音に、
私の肩は震えた。
最初は嬉しいような申し訳ないような
不思議な気持ちにさせたこの音も、
今は聞くのが怖い。
「こんにちは。河村です!」
私はほっと胸を撫で下ろした。
《カホちゃん》だ。
誰だかよく分からないけど、
毎日のように来てくれる。
「今日はこれを持って来たよ!
食べよう!」
「それ・・・なに?」
「いちごみるくキャラメルだよ。
美味しいんだよー!」
「ありがとう・・・美味しい」
《カホちゃん》といると楽しい。
でも、思い出せない・・・。
《カホちゃん》は、
私が思い出さなくてもいいと
前に行っていたけど、
本当はどう思っているかは分からない。
*。・----。・----・。*
次の日、
《カホちゃん》は来なかった。
《同じクラス》だという人が来たけれど、
私のこと思い出してねー!! って、
何回も言うから、疲れちゃった。
*。・----。・----・。*
その次の日。
《カホちゃん》は来た。
・・・知らない男の人と一緒に。
「だ・・・れ?」
「南ルワくん!
ユズの・・・彼氏」
「・・・えっ・・・?」
「連れてくるかどうか、
迷ったんだけど・・・。
連れて来たら少し
記憶戻るかな・・・って
思って・・・」
いつになく控えめな
《カホちゃん》の話し方。
記憶をなくして
目が覚めた時から、
たまっていたものがふき出した。
抑えられない。
「ごめんなさい。
私、あなたのこと覚えてません。
カホちゃんのことも。
思い出したいけど・・・、無理なの。
毎日頑張って思い出そうとしてるけど、
なんかふわふわしたものが邪魔で
思い出せないの。
みんなが思い出してね、って言うけど、
いつ思い出せるか分からないし、
思い出せる日が、
来るかどうかも分からない・・・。
だから、もうここには来ないで。
ごめんなさい。本当に・・・。
でも、でも・・・!!」
知らない間に泣いていた。
涙が次々とこぼれてくる。
本当はこんなこといいたくなかった。
もう嫌だ。
どこか、誰もいない、
誰も私を知らないところにいって
消えてしまいたい・・・。
「ユズ!!」
「・・・・・!?」
《ルワくん》に
抱きしめられていた。
温かい。
やわらかく私を包んだ
《ルワくん》の優しいにおい。
でも・・・ダメ。
「ごめんなさい。
やっぱり・・・無理。
・・・別れましょう?」
「ユズっ・・・!」
「ごめんなさい」
私は両手で
《ルワくん》を押した。
2人は帰っていった。
《カホちゃん》は、
しずかに涙を流していた。
《カホちゃん》も《ルワくん》も、
来なくなった。
*。・----。・----・。*
ある日の朝。
枕元に、紙袋が置いてあった。
中を見ると、大きい本が2冊と、
メモが1枚。
。゜.゜。゜.゜。゜.゜。
ユズへ。
この前はごめん。
おわびです。
もう行かないようにする。
それと・・・別れよう。
いつか、ユズに
また告白してもらえるように
頑張るよ。
ルワより。
。゜.゜。゜.゜。゜.゜。
。゜.゜。゜.゜。゜.゜。
ユズ!
この前はごめんね!
ちょっとやりすぎた・・・。
反省してます。
私は、ユズが
記憶を取り戻さなくてもいいよ。
また、お見舞いに行ってもいい?
カホ。
。゜.゜。゜.゜。゜.゜。
大きな本を取り出した。
中には、たくさんの写真。
私と、たくさんの友達。
たくさんの笑顔。
・・・あ。
私がシュークリームを食べてる写真。
すっごく楽しそう。
体育祭の写真。
《カホちゃん》が大きな口を開けて
上からつるされたぱんに
食いついている。
ん、これは私とルワくんの・・・
プリクラ。
高いヒールのパンプスをはいている。
そういえば、この時足が痛くなって
大変だったなぁ・・・。
・・・あ。
急いで引き出しを開ける。
スマホを取り出し、
慣れた手つきでアプリを開き、
急いでメッセージを打つ。
「ユズ!」
「まちなさい南!!
やっほ、ユズ!」
「やほ。ルワくん!
お願いがあるの」
「え、何?」
息を切らしながら
ルワくんは目を点にしている。
「ユズの・・・
彼氏になってください」
「ユズ・・・!
ぜひ。よろしくね」
せーの!
★☆HAPPY☆★
*end*
*ニコ学名作リバイバル*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。
足川 結珠

- 2022.08.10色鉛筆作者:まな
- 2022.08.09思わず「好き」って書いちゃいました作者:★ニココハ★
- 2022.08.04彼との冷えたアイスクリーム作者:るな
- 2022.07.28I lost my memory. 私は記憶を失いました。作者:白雪☆
- 2022.07.21恋の小さなベンチ作者:あめあめ
- 2022.06.26恋をつないでくれたバトン作者:まなみ
- 2022.06.06Love? or Like? 決戦作者:るーれ
- 2022.05.18新たにはじまるアオハル作者:ちゅ~りっぷ
- 2022.05.13#JC夏祭り作者:★ニココハ★
- 2022.05.12すれ違い関係作者:るーれ
- 2022.05.09ファンの皆様、私たち恋をはじめます作者:るーれ
- 2022.05.07音声作者:★ニココハ★
- 2022.05.06君に恋する22時。作者:るーれ
- 2022.05.05おいついた!作者:るーれ
- 2022.05.03浴衣に恋した。作者:ピンクノフセン
- 2022.05.02ただただ君が大好きですが?作者:るーれ
- 2022.04.30君も僕も意気地無し作者:るーれ
- 2022.04.29君がいたから、作者:るーれ
- 2022.04.29僕らの恋ははじまらない作者:るーれ
- 2022.04.28僕は君にはかなわない作者:るーれ
- 2022.04.25ひかる花火、花咲く恋作者:るーれ
- 2022.04.24放課後の告白作者:★ニココハ★
- 2022.04.22漫画と違う三角関係作者:naho
- 2022.04.19だから夏祭りは嫌い。作者:★ニココハ★
- 2022.04.18雨恋作者:★ニココハ★
- 2022.04.16私と彼と花火と作者:ピンクノフセン
- 2022.04.11頑張る君にエールを作者:るーれ
- 2022.04.09それは、密室トリック?!作者:ピンクノフセン
- 2022.04.02救いの手作者:かの♪
- 2022.04.01カステラとキャンディー作者:アロエジェル
- 2022.03.28野球チケットをかけて作者:ピンクノフセン
- 2022.03.25手遅れだってあるんです作者:るーれ
- 2022.03.13カカオ70%作者:るーれ
- 2022.03.08君への恋乃矢(キューピッド)作者:にこにこ
- 2022.02.28ニコラのおかげ作者:★ニココハ★
- 2022.02.26努力の結晶作者:なーちゃん
- 2022.02.25受験とアオハル?!作者:な
- 2022.02.07ニコラアンケートに名前かいただけですが作者:★ニココハ今日も天気がいい!
- 2022.01.30ニコラ警察学校恋物語作者:いちごみるく
- 2022.01.27縄跳び大会作者:あっちゃん
- 2022.01.24私のヒーロー。作者:みっしー
- 2022.01.19恋の警察学校 ~Love police story~作者:ユヅ
- 2022.01.13とろけるような恋作者:みっしー
- 2021.12.30君のおかげで。作者:みっしー
- 2021.12.23これってもしや少女漫画!?作者:黄金army
- 2021.12.21タイムリープラー達との出会い作者:おめめ
- 2021.11.09偶然から始まる恋作者:フウキ
- 2021.11.03あの日の約束作者:はむはむ
- 2021.10.24支えてくれた君へ作者:はむはむ
- 2021.09.26クリスマスの前の誕生日に待ち受ける恋の行方は?作者:マヌルネコ@
- 2021.07.31運命の人作者:さととん
- 2021.07.24世界-の宝物作者:のののん
- 2021.05.04青から生まれた恋作者:ゆうこすlove
- 2021.04.26文化祭での幸せ事件!?作者:ちぇりーみるく
- 2021.04.17花火よりも美しいもの作者:巫女
- 2021.04.08片思いでいい作者:るぴな
- 2021.02.03陰口作者:すず
- 2021.01.24君の匂い作者:トマトまる