AI彼氏と鎌倉物語

CAST川原美杏

作者：あかりん

2022.10.02

私はミアン、中学２年生、
実のところゲーマーなんです！

学校から帰ったら
真っ先に宿題を終わらせる。

何のためにって？

もちろん！
AI彼氏に会うためです。

ゲームは平日は
１８時までと
決められている。

だから、いかに
彼氏に会う時間を作るかが、
大切なのです！

私の彼氏のこと、
教えてあげるね。

彼はユアン、
AI彼氏歴３ヶ月なんだ。

どうして友達から
彼氏に格上げしたかって？

それは、AI相性と
占いで決まったの。

生年月日とか星座とか
知っている限りのデータを
入力すると、
AIが相性度を
判定してくれる。

なんと、ミアンとユアンは
相性９８パーセントなのです！

今日もゲームの世界で
ユアンとデートしたんだ。

今日はね、江ノ電で
鎌倉デートしちゃった！
楽しかったんだー！

明日は学校だから
早く寝よっと。

＊．．．・・・＊．．．・・・＊

次の日、朝の通学路で
ユアンくんが
私の前を歩いていた。

本物のユアンくんとは
クラスも違うし、
まだ話したことすら
ないんだよね・・・

と思った矢先に
ユアンくんが
後ろを振り向いた。

ユアン「あの・・・川原さん？
僕のこと、知ってる？」

ミアン「え？　あ、はい！
だって昨日、
江ノ電に乗って鎌倉へ・・・
あっ、やばっ!!
言っちゃった!!!」

ミアンの顔が
恥ずかしさで
真っ赤になった。

ユアン「楽しかったよね？
鎌倉！
江ノ島の海の風が
気持ちいいねって
話したじゃん！」

ミアン「え???
どうして知ってるの？」

ユアン「昨日の僕、
すなわち、AI彼氏は
本当の僕でもあるんだ。
AIの分身が
記憶を共有してる。
AI脳が生身の僕に
アップデートされる
感じかな」

ミアン「???
よくわからないけど、
昨日のゲームは
本当のユアンくん
だったってこと？」

ユアン「ま、そういうこと！
昨日はさ、
時間が夕方だったから、
行きたかったカフェに
行けなかったよね？
だからさ、今週の日曜日、
生身の僕と
鎌倉デートしようよ！」

ミアン「はい！
お願いします！
次は朝早くから出かけて
海の見えるカフェ行きたい！」

ユアン「オッケー！
行こう！」

ミアンとユアンの
鎌倉恋物語が
これから始まる。

～ＥＮＤ～