nicola

キーワード検索

いじわるな君に、ほどけた私

CAST星乃あんな星乃あんな

作者:りっちゃん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.07.21

私の名前は、星乃あんな。





高校1年生で、真面目な性格って
よく言われる。





学級委員もやっていて、
ルールはちゃんと
守るべきだと思ってる。





でも私、夜空を
見上げるのが好き。





特に星がよく見える夜は、
ちょっとだけ自分らしく
いられる気がするんだ。





そんな私が、この夏、
とんでもない体験をするなんて
思ってもなかった。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





今日は高校の修学旅行で、
私たちは沖縄に来た。





ホテルに着いてすぐ、
全員で広間に集まり、
部屋割りをくじ引きで
決めることになった。





先生「次は部屋決めの
くじ引きしまーす!」





先生の声に、
みんながざわつく。





普段は男女別のはずだけど、
手違いで1部屋だけ
男女相部屋になってしまったらしい。





あんな(そんなの当たるわけないし・・・)





ハルハ「男女相部屋でも、
ミサキとならいいかも~笑」





隣のハルハが笑って言う。





ミサキはハルハの彼氏だ。





あんな「もう!
リア充発言は禁止!笑」





私は笑ったけど、なんだか
落ち着かない気もちだった。





先生「八神遼介と星乃あんな、
同室です」





あんな「えっ!?」





思わず声が出た。





リョウスケは
ちょっとチャラくて
授業中に寝てるタイプ。





でも、女子には人気がある。





リョウスケ「よろしく、委員長。
俺と同室とか運命だね?」





そのからかうような言い方に、
顔がカッと熱くなった。





ハルハがニヤニヤして言う。





ハルハ「やば、あんな・・・
運命感じてるんじゃない?」





あんな「は!?
絶望なんだけど!」





ハルハ「うそうそ、
ちょっとニヤけてたよ?」





あんな「してないってば!」





ハルハ「まあまあ笑
楽しんできな~笑」





あんな「えぇぇぇ~(白目)」





チェックインして部屋に入ると、
微妙な空気が流れた。





私はきっちり荷物を整理して、
リョウスケはベッドで
スマホをいじっていた。





リョウスケ「そんなに
きっちりしてると疲れない?」





あんな「私はその方が落ち着くの。
散らかってるとダメ」





リョウスケ「へ~、あんなっぽい」





その軽い言い方に
少しイラッとしつつ、
私は何も言わなかった。





テレビをつけたけど、
会話はなかった。





そのとき、部屋の電気が
チカッと点滅した。





あんな「今のなに?」





リョウスケ「停電かな。
でもすぐ戻ったね」





空気を変えたくて、
私は立ち上がった。





あんな「ちょっと、
ロビーに行ってくる」





廊下は少し暗くて
静かだった。





リョウスケ「この時間にロビーって、
委員長っぽくないよ?」





リョウスケが後ろから
声をかけてくる。





あんな「気分転換したいだけ」





リョウスケ「じゃあ俺も
行ってみようかなーって思って」





あんな「ついてきたの?」





リョウスケ「偶然ってことにしようよ」





その言い方がちょっと可笑しくて、
思わず笑いそうになった。





その瞬間────
段差に気づかず、
私はつまずきかけた。





リョウスケ「危ない!」





リョウスケがとっさに
私の腕をつかんで、
私は彼の胸に倒れこんだ。





リョウスケ「ちゃんと足元見なよ」





その声がいつもより
ずっと真剣で、
胸がドキッとした。





部屋に戻ると、リョウスケが
思い立ったように言った。





リョウスケ「あんな~?」





あんな「何?」





リョウスケ「浜辺、行ってみない?」





あんな「ダメでしょ。
夜に外出なんて」





リョウスケ「でも、今しか見られない
星があるかも」





あんな「どうせひとりで行くんでしょ?」





リョウスケ「バレた?」





私はため息をついて、
そっと立ち上がった。













・。・:・°・。・:・°・。・
:・°・。・:





浜辺に着くと、
波の音と満天の星空が
迎えてくれた。





あんな「うわ・・・
こんなに星、見えるんだ」





リョウスケ「でしょ?
来てよかったって思うでしょ」





あんな「うん。
思ってたよりずっときれい」





その横顔を見たリョウスケが、
ふとつぶやく。





リョウスケ「・・・あんなが笑ってるの、
ちゃんと見たの初めてかも」





あんな「え?
普通に笑ってるけど」





リョウスケ「いや、なんか・・・
いまの笑顔、すごく自然だった。
ていうか、その笑顔のあんなが、
俺は好きだよ」





あんな「そ、そんなこと
言わないでよ・・・」





私は照れながらも、
胸の奥がほんのり
あたたかくなった。





リョウスケ「願いごとある?」





あんな「もっと、
自分らしくなれますように」





リョウスケ「もう十分、
自分らしいと思うけどな」





あんな「私ね、いつも
ちゃんとしてなきゃって思って、
自分を作ってたのかも」





リョウスケ「でも、さっきのあんな、
自然だったよ」





あんな「そうかな・・・」





リョウスケ「俺は、そういう
あんなが好きだよ」





あんな「ありがとう・・・
私も、リョウスケの
そういうとこ、好き」





言葉にしたら、顔がどんどん
熱くなっていった。





リョウスケ「さっき、
ちょっと泣きそうだった?」





あんな「なってないし!」





リョウスケ「うそー、
目うるうるしてたよ」





あんな「やめてってば!」





リョウスケ「やっぱり、
あんなってそういうところ、
素直でかわいいよね。
泣きそうな顔も、俺は好きだけど」





私は言葉に詰まってしまった。





・・・そのときだった。





リョウスケ「てかさー、
なんか静かすぎて
落ち着かないんだよね」





あんな「は?」





リョウスケ「やっぱ、あんなと
はしゃいでるほうが
しっくりくるかも!」





いきなりテンションを
戻してきたリョウスケに、
私は目をぱちくりさせた。





あんな「・・・もう、ほんといじわる!」





そのとき────





バシャッ!





あんな「わっ!? なにすんの!」





リョウスケ「いや、
水かけとこっかなーって」





リョウスケが笑いながら
水をまたはねかけた。





あんな「ちょっと!
それ、反則!」





リョウスケ「反則って何(笑)」





そう言いながら、
私にまた水をかけてくる。





あんな「やったな~!」





私も負けじと水をかけ返す。





気づけば、波打ち際で
ふたりではしゃぎながら、
笑っていた。





夜空の星がふたりを
やさしく照らしていた。





この夜のこと、私はきっと
ずっと忘れないと思う。





静かな波の音、
冷たい水しぶき、
星空の下で笑いあった時間。





そして、リョウスケの
いじわるな言葉の裏にある
やさしさ。





たぶん私が
本当の自分を見つけられたのは、
この沖縄の夜と、
隣にいたリョウスケのおかげ。





この一瞬が、私の中の
何かを変えてくれた気がした。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

Like

この物語に投票する

星乃あんなが主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!