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推しのおかげで叶った恋。

CAST星乃あんな星乃あんな

作者:りっちゃん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.05.23

私は、ただの高校1年生。
星乃あんな。





何か特別な才能が
あるわけじゃない。





だけど、ひとつだけ
誇れることがあるとしたら―――





人気アイドルグループNICEx(ナイス)の
八神遼介(やがみりょうすけ)、
通称“やがみん”を本気で推してること。





彼のダンス、歌、表情、
そしてあのストイックなのに
バラエティでは抜け感あるギャップ。





“彼を好きでいられる”ということが、
私の毎日の原動力だった。





その日も、学校帰りに寄った原宿で
偶然、見覚えのあるシルエットを見かけた。





―――いや、見まちがいだと思った。





だって、そんなことあるわけないって。





けど、その人がふいに振り返って、
目が合った瞬間――――





私は確信した。





?「・・・あれ?
キミ、この前のイベント
来てたよね?」





まさかの第一声だった。





心臓がバクバクして、
足が震えた。





あんな「え、えっと・・・はい・・・!」





?「ふふ、やっぱり。
覚えてたんだよね、
あのとき、目が合ったから」





まさかのやがみん本人。





しかも、私を・・・覚えてた?





夢なんじゃないかって
思っていたら、
彼がふっとやさしく笑った。





リョウスケ「偶然でも、こうやって
話せてよかった。
・・・俺、きみのこと、気になってたから」





それが、“推し”との
始まりだった。





やがみんと出会ったあの日から、
私の世界は少しだけ光を増した。





彼と交わすDM、
やがみんと月一で会う日々。





―――夢の中にいるみたいだった。





だけど、どこかで気づいてた。





ダイジ「最近、おまえ、
よく笑うな」





そう言ってきたのは、
幼なじみのダイジ。





小学校からずっと一緒。





顔を合わせるたびに
小言を言ってくるくせに、
私が泣いたときは
誰よりも心配してくれる。





目立たないけど、
地味にモテる。





バスケ部の副キャプで、
背が高くて、
口は悪いけどやさしい。





ダイジ「ま、いいけど。
笑ってる方がかわいいって
思ってるやつ、ここにいるし」





あんな「は・・・?
なにそれ」





ダイジ「うるせーよ、
言わせんな。
俺だって・・・
あー、もう知らん!」





あんな「・・・」





その日、やがみんとのやりとりを
見返す手が、なぜか止まっていた。





私の隣には、ずっとダイジがいた。





叱ってくれて、笑わせてくれて、
支えてくれてたのは―――
彼だったのかもしれない。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





やがみんと出会って、
2ヶ月くらいたった頃。





私は、自分の部屋で
DMを交わしていた。





あんな「私、やがみんがいない
世界なんて生きてけないって
ずっと思ってたの。
やがみんのこと考えると、
もうリアルなんて、どうでもよく
なってくることもあって・・・笑」





リョウスケ「リアルが楽しくないの?」





あんな「まあ・・・笑
推し活してるときが
1番楽しかった・・・かな?笑」





入力中の文字。





送られてきたものは、
衝撃的なものだった。





リョウスケ「俺は―――
きみが主役の人生を、
ずっと応援していたい。
支える存在でいたいって、
本気で思ってる」





やがみんが言ったその言葉が、
胸の奥に残って離れなかった。





一見キラキラしたセリフだけど、
そこにはただの好意じゃなくて、
もっと深い何かがある気がして―――





私の心は、なぜかダイジの顔を
思い出してた。





思えばいつも、
私が落ちこんだとき、
ダイジはふざけながらも
支えてくれてた。





夢を語ったときも、





「いいじゃん。やってみろよ」





って、茶化しながらも
背中を押してくれた。





ダイジ「おまえって、
ホントに推しのことになると
目がキラキラするよな」





それを言うダイジの声が、
やけにやさしかった。





また、入力中の文字。





リョウスケ「でも・・・
きみ自身の人生も、
ちゃんとキラキラしてほしい。
推しだけじゃなくてさ。
・・・自分のことも、ちゃんと。
それが、アイドルとしての
俺の願いなんだ」





そのとき私は、“応援される”って
こういうことなんだって、
やっと理解した気がした。





ステージの上からくれる光と、
すぐ隣で支えてくれる温もり。





――――どちらも、私の大切なものだった。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





次の日の放課後、
校舎の屋上にいたのは、
私とダイジだけだった。





教室の窓から差しこむ夕日が、
ふたりの影を長くのばしていた。





ダイジ「・・・最近、おまえ、
ちょっと遠い」





「やがみんのこと、好きなんだろ?
応援してて、楽しそうで・・・
別に、文句なんかないけど」





その声は、どこか
寂しそうだった。





ダイジ「でも、俺、
気づいちゃったんだよ」





あんな「・・・なにを?」





ダイジが私を
まっすぐ見つめる。





ダイジ「応援したいって気もちと、
好きって気もちは、違うんだなって」





息が止まりそうになった。





そう言ったダイジの目が、
やがみんのステージとは
また違う熱を灯していた。





心が大きく揺れた。





それは、推しへの憧れとも違う、
もっとずっと近くて、生々しい、
リアルな“好き”だった。





―――この日から、私はダイジを
意識しはじめた。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





春が終わり、
少し暑くなってきたある日。





私は、気づけばまた屋上にいた。





ダイジ「探した」





背後から聞こえた声に
振り向くと、
ダイジが立っていた。





制服の袖をまくった腕と、
少しだけ乱れた前髪。





私の胸がドキン、と
音を立てた。





ダイジ「この間の話、
ちゃんと返事聞きたくて」





風が吹いた。





髪がなびく。





沈黙の中、
彼が一歩近づいた。





ダイジ「俺、おまえの“推し”には
なれないかもしれないけどさ―――」





ダイジ「でも、本気であんなが
好きなんだ。
応援じゃなくて、
一緒に物語を作りたい」





目が合った。





逃げられなかった。





あんな「ダイジ、私・・・」





声が震えたけど、
止めなかった。





あんな「推しとは違う。
ダイジのそばにいると、安心するし、
笑えるし、泣けるし・・・
きっと、それが“本気”なんだと思う」





彼が笑った。





その瞬間、腕の中に
引き寄せられた。





ダイジ「・・・ちゃんと、
好きになってくれてありがとう」





ほんの少し震える声で、
彼が言った。





───私は、推しのおかげで
1番大切なことに気づいた。





誰かを応援するって、
ただ見つめるだけじゃなくて、
その人の「これから」を
信じることだと思う。





毎日に、そっと寄り添う
誰かがいること。





それって、とても強くて、
あたたかい奇跡なんだ。
って、やっと気づいた。





やがみんが推しでよかった。
ありがとう。





*The END*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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