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CAST星乃あんな星乃あんな

作者:りっちゃん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.07.19

私は、星乃あんな。
明るくておしゃべりな、
普通の高校2年生。





今日は待ちに待った、
横浜への2泊3日の修学旅行。





中華街や赤レンガ倉庫、
山下公園など、
楽しみにしていた場所が
たくさんある。





でも、まさかこの旅で
こんな気持ちになるなんて
思ってなかった。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





あんな「え・・・?」





人ごみのなかで、ふと立ち止まって
周りを見わたすと、
班のメンバーの姿が見えない。





あんな「うそ、はぐれた・・・?」





スマホを取り出そうとしたとき――――





?「またはぐれたの?」





あんな「!?」





声をかけてきたのは、
同じクラスの
八神遼介くんだった。





あんな「う、うん・・・」





そう答えると、
彼は肩をすくめて言った。





リョウスケ「まぁ、いいけど。
俺も自由行動って言って
抜けてきたし」





クールで無口、
クラスでもちょっと
距離のある存在。





なのに、私はなぜか
彼の隣を歩いていた。





ハルハ「ちょっとー!
あんなー!
どこ行ってたのー!」





元気な声で
かけ寄ってきたのはハルハ、





そのあとにダイジくんも
笑ってついてきた。





あんな「ちょっとだけ
迷ってただけだよ・・・」





ハルハ「ふーん?
でもなんか、
いい雰囲気じゃん?」





あんな「うるさいよー」





ダイジ「おいおい、
からかいすぎ」





ダイジくんが笑いながら
ハルハをたしなめた。





ハルハ「じゃ、次の店行くね~。
ふたりはごゆっくり!」





あんな「ほんと、うるさいな・・・」





ふたりが去っていくと、
リョウスケくんは
無言で歩き出し、
私はその後ろを歩いた。





あんな「修学旅行って、
もっとワクワクするかと思ってた」





私がつぶやくと、彼は
少し前を向いたまま返した。





リョウスケ「それ、
期待しすぎってやつ」





あんな「でも、なにか
特別なことが
起こりそうじゃない?」





リョウスケ「たとえば?」





あんな「たとえば・・・
普段あまり話さない人と
ふたりきりになる、とか?」





その瞬間、彼が立ち止まり、
振り返った。





リョウスケ「じゃあ、
今って特別?」





あんな「・・・そう、かな」





顔が熱くなる。





中華街の賑やかさに
まぎれてほしかった。





夕方、私は
山下公園に来ていた。





さっきの会話が
頭から離れなかった。





波の音と
観覧車の明かり。





誰もいないベンチに
座ろうとしたとき―――――





リョウスケ「お前も来てたんだ」





振り返ると、そこには
リョウスケくんがいた。





あんな「びっくり・・・!
リョウスケくんも?」





リョウスケ「なんか、
ホテル戻る気にならなくて」





ふたりで並んで
ベンチに座った。





風の音に、
気持ちも静かになる。





少し沈黙が続いて、
私はふとつぶやいた。





あんな「リョウスケくんって、
ちゃんと周りを見てるよね。
さっきも私が迷ってたとき、
1番に気づいてくれたし。
実は、やさしい人なんだなって思った」





リョウスケ「・・・それ、ほめてる?」





あんな「うん、ちゃんとほめてる!」





リョウスケくんはちょっとだけ
照れたように笑って、言った。





「じゃあ俺も言っていい?
星乃って、なんかこう・・・
元気だけじゃなくて、
意外と周りの空気も読めるっていうか、
バランス感覚あるよな」





あんな「え、なんかうれしい。
ありがとう」





リョウスケ「それに・・・
なんか、変なところで真面目でさ。
俺、高1のときの修学旅行中に
5回は怒られたもん」





あんな「うそ!
そんなに怒ったっけ?」





リョウスケ「うん。1回目は、
自由行動に行くときの集合時間に、
“あと3分”って言ったら
“3分を甘く見ちゃだめ!”って
言われたし・・・」





あんな「ちょ、やめて~
それ言わないでよ~」





リョウスケ「あとさ、
お土産コーナーでパンダまんの
ぬいぐるみ抱えて
“これと同じ顔してる!”って
俺に言ったの、星乃だよな?」





あんな「言ってない、言ってない!
それは、記憶違い!」





リョウスケ「いや、絶対言った!
店員さんまで笑ってたし」





あんな「も~、なんで
そんなとこだけ覚えてるの!?」





リョウスケ「でも、そういうとこが
ちゃんとしてて好きだよ。マジで」





あんな「えっ?///」





リョウスケ「・・・あ、いや。
そういう意味じゃなくて・・・
って、いや、意味はあるけど・・・!」





私の顔が熱くなったし、
リョウスケの耳まで
ほんのり赤い。





どっちも焦ってるのが、
なんかおかしくて。





あんな「・・・リョウスケくんって、
けっこう面白いじゃん」





リョウスケ「まぁ、よく言われる」





彼はちょっと得意げに肩をすくめて、
にやりと笑った。





その一言に、心臓が跳ねた。





夜、赤レンガ倉庫の
海辺へ向かう途中。





ハルハ「ふたりとも、
いい雰囲気すぎ~」





またハルハとダイジに
出くわした。





ハルハ「また抜け出してきたの?」





あんな「ち、ちがうってば・・・!」





顔が一気に熱くなる。





ハルハ「でも、動かなきゃ
後悔するよ?」





ハルハがまっすぐな目で
私の背中を押した。





ダイジ「そーだな。
じゃ、俺らは行くか」





リョウスケ「余計なお世話だな」





そうつぶやいた
リョウスケの声は、
どこかやさしかった。





海辺のベンチに
腰を下ろす。





ライトアップされた
倉庫や観覧車の光が、
水面にゆれていた。





あんな「今日ね、
ずっと思ってたの」





リョウスケ「なにを?」





あんな「特別なことが
起きたらいいなって。
でも、ただ待ってるだけじゃ
ダメだって気づいた。
自分で動いて初めて、
特別なことが起きるんだよね」





りょうすけが私を見つめる。





私は少しうつむいてから、
顔を上げた。





あんな「リョウスケくんと
一緒にいて、
気づいたことがあるの。
ずっと気づいてなかったけど・・・」





リョウスケ「実は、俺も」





あんな「え?」





リョウスケ「俺、あんなのこと・・・」





一瞬、彼の声が
波音にかき消されそうになる。





でも私は、ちゃんと
聞いていた。





リョウスケ「・・・好きだ」





鼓動が、
止まりそうになる。





それでも私は、
勇気を出して言葉を重ねた。





あんな「私も・・・
リョウスケくんのこと、
ずっと好きだった」





リョウスケ・あんな「・・・いつから?」





ふたりの言葉が重なって、
少し照れた空気になる。





あんな「中華街で、
声かけてくれたとき。
あの瞬間から」





リョウスケ「俺は・・・
“特別だよね”って言われたときに、
その言葉がずっと引っかかってて。
山下公園で、あんなにちゃんと
ほめられて・・・
あ、俺この子のこと好きなんだって、
あのときはっきり思った」





ふたり同時に
顔が赤くなる。





そして、思わず笑った。





あんな「タイミングまで
一緒って、運命っぽくない?」





リョウスケ「うん。
あんなとならそう思える」





沈黙の中、
波の音だけが響く。





そっと、彼の手が
私の指に触れた。





景色は変わっていないのに。







君が隣にいるだけで――――







世界が、特別に見えた。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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