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光のとなり、影の中で

CAST星乃あんな星乃あんな

作者:りっちゃん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.05.18

その人は、いつも
“光”の中にいた。





TVの中。
ステージの上。





無数のファンの歓声を浴びて、
完璧な笑顔を浮かべていた。





でも、ある日突然───
その光が、教室の扉を開けて、
私の前に現れた。







* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





私、星乃あんな。





クラスでは、真面目キャラの
高校1年生。





今日は、転校生が来るらしい。





まあ、私には関係ないけど。





ガラッ。





遼(リョウスケ)「神谷遼です。
よろしく」





そう名乗った彼は、
本当は誰よりも知られている名前を、
偽名で隠していた。





転校してきた神谷くん。





どこか他人に
壁を作っているようで、
誰ともなじもうとしなかった。





でも、私は気づいた。





───彼が、人気アイドル・
八神遼介であることを。





私は生徒会に所属していて、
新学期から風紀担当に
任命されたばかりだった。





そのせいだろうか。





担任の先生が私に
目配せしながら言った。





先生「・・・神谷くんには
色々と事情がある。
一応、風紀委員の星乃さん、
彼のサポートを頼めるかな?」





あんな「・・・はい、わかりました」





思わず返事をしたけど、





心の中はぐるぐると
嵐のようだった。





あんな(どういうこと?
本人なの? でもなんで・・・?)





彼は静かに私の隣の
席へと座った。





誰とも目を合わせず、
ただ、窓の外を見つめている。





私の方を見ると
静かに微笑んで、一言。





リョウスケ「君が風紀委員の星乃?
よろしく」





あんな「よ、よろしく・・・」





それが、彼と私の
“秘密”の始まりだった。





放課後、図書室。





2人だけの場所で、
彼は少しずつ
仮面を外していった。





リョウスケ「本当は、
もう疲れてたんだ。
笑ってると、『元気でいいね』って
言われるけど、
笑わないと『どうしたの』って
心配される。
・・・俺は、どっちも苦しかった」





私はただ、黙って聞いていた。





芸能人でも、アイドルでもない、
“神谷遼”というひとりの
男の子の声を。





けれど、秘密はいつか破られる。





クラスの中心にいた女子───
伊藤沙音が、
2人の関係に気づいた。





シャノン「ねぇ、あんなってさ、
神谷くんと仲よしなんだね~?
・・・まさかつきあってるの?
アイドル相手に?」





その言葉は、
笑顔に包まれていたけど、
鋭く胸を刺した。





でもそのとき。





私を守ったのは、
あの“光”だった。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





放課後。





清掃当番をひとりで
やらされていたとき。





突然、背後から声が飛んできた。





シャノン「ねぇ、あんな。
神谷くんって、
やっぱりアイドルなんでしょ?」





振り向くと、
そこにはシャノン。





その後ろにはスマホを構えた
数人の女子ミユウ、
ヒナノ、ルナ。





ミユウ「やっぱちょっと
撮っとこうかな~?
証拠、欲しいし」





あんな「や、やめてよ!」





スマホに手を
伸ばしかけたそのとき───





誰かがドン、と
音を立てて扉を開けた。





リョウスケ「・・・ふざけんなよ」





教室の空気が一瞬で
変わった。





現れたのは、神谷───
いや、八神遼介本人。





冷たい目。





芸能人がスイッチ入れたときの、
あの“鋭さ”。





リョウスケ「写真消せ。いますぐ」





ヒナノ「え、なに急に・・・」





リョウスケ「消せって
言ってんのがわかんないの?
それとも、俺が“八神遼介”って
バラされてもいいわけ?」





その瞬間、
空気がピシッと凍った。





ルナ「・・・あんたさ、
なんでこんな子かばうわけ?
ただの地味な───」





リョウスケ「地味とか
派手とか関係ない」





彼の声が、低く響く。





リョウスケ「俺が、好きなんだよ。
───あんなのこと」





あんな「!?」





静まり返る教室。





リョウスケ「だから、
これ以上、手出すな。
俺は黙ってても、
事務所は黙ってない」





言葉を失うシャノン。





スマホを持っていたミユウが
震える手で画面を消した。





放課後の廊下。





2人きりになったとき、
私はやっと言葉を出せた。





あんな「・・・なんで、言ったの・・・」





リョウスケ「もう、限界だった」





彼はゆっくり息を吐いた。





リョウスケ「ずっと、守ってもらって
ばっかだった。
でも本当は、俺が守りたかった。
君だけは、俺のこと知らなくても、
ちゃんと見てくれてたから」





その声は、初めて出会ったときと
まるで違っていた。





リョウスケ「・・・君が泣くとこ、
見たくない。
だから、俺は君が好きだって、
ちゃんと伝えたかった」





そう言って、
彼は私の手をそっと取った。





アイドルとしての彼は、
これからも輝き続ける。





私は、その隣には
立てないかもしれない。





でも───





彼が1番“素顔”を見せる場所に、
私はいる。





それだけでいい。





そう思えたあの日から、





私の中でも
“何か”が変わっていった。





人は皆、誰かに見せない
“影”を持っている。





でも、その影を受け止めてくれる
誰かがいるとき───





その人は、本当の意味で
“光”になれる。





これは、光に憧れていた私が、
影を抱える“彼”と出会って、





ほんの少し、
大人になった話。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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