Summer memories

CAST吉本 麗南吉本 麗南

作者:SHIA

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2024.07.21

「見て見てー
きれいな貝殻が沢山あるよ!」





私は、レイナ!
本当にごく普通のJKです。





「レイナ・・・」





苦笑いで見ているのは、
私の親友、ユナ。
凄く大人っぽくて、尊敬してる。





頭も良くて、
学年トップをとったばかりだ。





「貝殻ってね・・・」





「ユナ」





ユナの彼氏の、
ユアンだった。





私は両親がいきなり
出張に行ってしまい、
地方在住の祖父母の家に
預けられることになったのだ。





2人は、卓球部の合宿で来ている。
場所が同じなのが、ある意味すごい。





「もうそろそろ行かないか?
休み時間終わるぞ」





「そっか。
じゃあレイナ、またね」





ユナは、ユアンと共に
行ってしまった。





「はあぁ・・・」





「つまらない・・・」





そうつぶやいた次の瞬間、
私は聞いてしまった。





ザアッッ・・・





・・・心静かになる波の音





「え・・・」





その音が、私の記憶・・・





まだ私がJCだった頃の記憶を
呼び覚ましてしまった。





私には好きな人が居た。
名前はタイヨウ君。





勉強もでき、運動神経も良く、
優しいという完璧男子だった。





私はさんざん悩んだあげく
告白することにした。





場所は海辺。
学校からも離れていたし、
海が好きだったから。





目の前に、タイヨウ君がいる。
これだけでも、
夢みたいなことなのに・・・





ザアッッ・・・





あの時、私ははっきり聞いたのだ。
心が静かになる、波の音を。





ただ、私には
効果が及ばなかったのだろうか。





私は、言いたいこととは
全く違うことを口にしていた。





「ごめんなさいっ、
失礼しますっっ!」





そう言って、私は逃げた。
タイヨウ君が何か言っていたのは
分かったのだが、
構っている余裕はなかった。





こわくて後ろを振り向くことが
出来なかった、
走り去ることしか出来なかった、
私が聞いたのは、
あの静かな波の音だけ。





あの後、タイヨウ君は
転校していった。
地方の方だと聞いたことがある。





私は何事もなく受験に合格し、
卒業して、
そして高校に入学したのだ。





「おい、君! 大丈夫か?」





私は、海に来ていたらしい
中年おじさんの声で目が覚めた。





気がついたら
寝ていたみたい・・・





「あっ、だ、大丈夫です。
すみません」





腕時計を見る。
ユナがいた時から
2時間はたっていた。





立ち上がろうとした瞬間、
グラッと景色が曲がった。





「?!」





そのまま、意識が遠のいていった。
何だかなつかしい声が
聞こえたような・・・





深い潮の匂いと
波の音を感じたのが
最後だった。

















*...・・・*...・・・*





「レ・・・イ・・・・レイナ!」





目が覚めた。





「ミアン?!」





「やっと目が覚めたのね」





ミアンは私の従姉妹で、
私と同い年だ。
今日は観光目的で立ち寄ったらしい。
ちょっとキツい性格だけど・・・





「大体、水も飲まずに
2時間も海辺に居るなんて!
熱中症になるに決まってるでしょ!」





「う・・・うん、ごめん」





でも、助けてくれたのは
確かだし。





「ありがとう」





「な・・・!! べ、別に
私は当たり前のことをしただけよ」





キター! ツンデレ!
そう、ミアンって照れ屋なの。
可愛い。





「本当にびっくりしたよ!
でね、この男の子が
私に連絡してくれて」





ミアンは横に立っていた男子に
目をやる。





あれ・・・って!





「タイヨウ君!!」





「レイナ?!」





「え、何? 知り合い???」





完全に混乱しているミアンに、
タイヨウ君が何か言っている。
すると、こちらに目配せした。





「ついてきて」





私は黙ってうなずき、
ついていった。





私たちは終始無言で歩いていた。
タイヨウ君が立ち止まり、
やっとこちらを見た。





「ずっと言えなかったんだ」





「え・・・」





「あの時、言いたかった。
両想いになれると信じたかった」





「・・・・・・」





「結果的に、レイナを
傷つけるかもしれない。
でも・・・!」





タイヨウ君は、
私の方を向いて言った。





「好きだ」





まさか、
こんなことを言われるなんて
思ってなかった。





そして、
自然にあふれでたのは・・・・・・
涙だった。





「ど、どうした?!」





「タイヨウ君に
言われるなんて思ってなかった。
ありがとう」





あの日、勇気を出しきれなくて
逃げた自分が
今こうなっているなんて・・・
信じられない。





「それは・・・
受けとってくれたってこと・・・
でいいの?」





「・・・はい」

















*...・・・*...・・・*





家に着くと、祖母に混じり
ミアンが料理を作っていた。





「ねぇねえ、彼氏はどお?
ついにレイナもリア充か~」





「なっ・・・・・・//////」





「全く・・・・・・
幸せになりなよ」





そう言って私の肩をたたくと、
ミアンは台所に戻った。





窓を開ける。
涼しい風が吹き込んできた。





「ふわぁ~」





砂浜が見える。
若いカップルがじゃれあっていた。





カレカノ歴1時間の私には、
とてもまぶしい。





近くの皿の
さくらんぼを食べる。





甘酸っぱくて、
夏の味がした。





今日も、あの波の音は、
誰かに不思議な力を
与えているのだろうか。







☆END☆

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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