初恋 de ひとめぼれ
作者:ゲス乙女。
吉本レイナ、
中学3年生の春。
恋に落ちました。
今までの私は初恋もまだで、
恋に無気力で、
ひとめぼれなんて一生しないと
思っていた。
あいつに出会うまでは・・・
*・*・・・*・・・*・*
クラス替えをして
初めてのホームルーム。
担任の先生から、
「今日からうちのクラスに入る
転校生を紹介する」
すると前のドアから、
スラリと背が高く、
目鼻立ちの綺麗な美少年が
入って来た。
「今日からニコ中に転校してきた、
今井ハルトです。
1年間だけですが、ステキな思い出を
作れたらと思います。
よろしくお願いします。
(イケメンスマイル)」
《この瞬間、私の恋は走り出した。
初恋はひとめぼれでスタートした》
「今井の席はー・・・」
担任の先生が教室中を見渡し、
空席を探していると、
「先生!
吉本の隣の席が空いてます」
クラスの1人の発言と同時に、
クラス中の視線が私。
そして私の隣の席に
向けられて、
「じゃあ今井は
吉本の隣の席に座るように」
(ヒューヒューピーピー)
黄色い声が響き渡る。
(うっそー!!
神様ありがとうございます)
「吉本、よろしくな!」
席に座るなり
笑顔で声をかけられ、
声なんて出ない!
「うっ、あっ、えあの、
よろしくです」
精一杯の笑顔も
引きつった。
(私の恋にゴールなんて
あるのかな・・・?)
無意識に隣に座る彼を
眺めてしまった。
私の視線に気づき、
彼もこちらを向く。
見つめあうことなんて出来ずに、
私は目線をそらした。
その後の彼の表情は
緊張して見れなかった。
1時間目の授業は、
数学。
私は数学が大嫌い!
数学が出来ないのもあるけど、
何より数学の先生は
生活指導も担当する、校内一怖い
校内一厳しい先生なのである。
そんなことも知らずに、
ハルトくんはのんきに
昼寝を始めた。
(やっぱり寝顔もきれいだな・・・)
しばらくその美しい寝顔に
見とれていると・・・
「吉本ってさ・・・
可愛いよね?」
(今なんて言いました!?
寝ぼけてるの?
うちのクラスレベル高いよ!
ミオコちゃんがいるし、ルミもいるし、
ミアンちゃんに、ユナに、
コハナとかフタバに・・・
私なんかで可愛いだなんて・・・)
頭の中は、変な妄想で
混乱していた。
「じゃあ、ここを吉本、
解いてみさい」
(えっ、ええー・・・?
全然聞いてないし、
わからないし、怒られるし・・・
絶体絶命大ピンチ)
どうすればいいのか分からずに
立ち尽くしていると、
隣からきれいな文字が書かれたノートを
渡してくれたのは、ハルトくんだった。
このノートのおかげで
問題は解けた。
「あの、ありがとう」
その言葉より前に
ハルトくんは昼寝を続けていた。
(こんなにぐっすり眠っているのに、
ノートはきれいだし、
フォローも優しくて・・・)
ますますハルトくんのことを
好きになった。
**-・.・***・.・-**
休み時間。
いつメンのミアン・ミオコと
3人でガルトーしていると。
(女子)「ハルトくん
本当にイケメンじゃん」
(男子)「俺らがかすむぐらい
かっこいいな!」
ガルトーをほったらかして
私の目はハルトくんにいく。
ミアン「もしかして・・・
ハルトくんのこと好きなのでは」
ミオコ「だとしたら、初恋じゃん!
ガンバ!」
2人にハルトくんが好きなこと。
初恋したこと。ひとめぼれしたこと。
全て本当の想いを伝えた。
(2人は、私のこと
何でも分かってくれる。
ありがとう!
恋、頑張ります)
自分の席に戻ると、
すっかりクラスにも慣れて、
みんなに人気者のハルトくんの姿があった。
「レイナ!
LINE ID交換しよう!」
(え? れ・い・な・・・?
いい。すごくいい)
「う、うん。
ハルトくんのID教えて」
「ハルトでいいよ、
これIDのメモ。連絡しろよ、」
(ハルトでいいの・・・。
今日あったばっかりなのに)
れ・い・なの響きが気に入り、
うっとりしていると、
「次、音楽だ。
レイナ、音楽室まで送って」
「あっ、はい。
一緒に行こうハルト!!!」
(私、今最高に幸せっ。
友達でもいい。一緒なら)
いつもは長く感じる1日が、
あっという間に過ぎた。
**-・.・***・.・-**
帰り道。
いつメンの2人は
部活で一緒に帰れなかった。
寂しげな夕日に
今日の出来事が重なって
胸がキュンと苦しくなった。
ふと、前を見ると
街中でひときわ目立つ
背の高い美少年・・・。
「ハルト・・・。ハルト~!」
私は無我夢中で
少し先のハルトの元に走る。
「レイナ! ヤッホー」
ハルトは一緒に帰っていた
男友達を置いて、
私の元に駆け寄って来た。
「一緒に帰ろう、レイナ!」
予想もしていなかった言葉に
耳を疑う私の手をハルトは握り、
「ねぇ、ココいかない?
明日レイナとデートしたいな?」
笑顔で、人気遊園地の
ペアチケットを
私の手に握らせた。
「嬉しい。すごくうれしい。
私なんかでよければ・・・」
今まで引きつっていた笑顔が
自然と笑えるようになったのは、
この時だった。
「よし、決まりね。
明日、放課後開けとけよ!
バイバイ」
「うん、明日絶対開けとく!
約束。バイバイ」
気がつくと、
私の家の前まで来ていた。
ハルトは手を振りながら、
来た道を引き返す。
今日あったことが夢のよう。
(遊園地行きたかったんだよね、
2人きり・・・
しかも、明日は私のバースデー!
もう最高のプレゼントです)
**-・.・***・.・-**
その日の夜。
明日のことで
頭がいっぱいいっぱいで
ボーっとしていると、
スマホからLINEの
着信音が鳴った。
《今日は楽しかったよ。
また明日レイナに会えることが
楽しみだな。おやすみ》
(好きな人から・・・
返信なんて送ればいいの・・・
男の子に送るの初めてだし・・・)
《今日、楽しかったです!
明日はすごく楽しみ!
ではではおやすみなさい》
**-・.・***・.・-**
いよいよデート当日。
つまり私のバースデー。
ハルトは、今日が
私のバースデーってこと
知らないと思うけど、
今を楽しむしかない!
直前まで授業を受け、放課後。
女の子らしい勝負服に着替えて、
本当にデートをしています。
背の高いハルトといると、
自分まで大人になった気分。
でも、やっぱり遊園地。
はしゃぐに他なし!
ゴーカートに
ジェットコースター、
お化け屋敷などを乗り回して、
「私ね、あれ好きなの!」
私は幼い頃のように、
西に輝く夕日に反射してキラキラ光る
大きなメリーゴーランドを指さした。
2人で馬にまたがり、
今日1番の笑顔が輝く。
メリーゴーランドを降りると、
夕日は姿を消し、
夜空一面に星が輝く。
遊園地もライトアップされ、
ロマンチックな風景の中に、
ハルトと2人きりでいられる、
今が1番幸せ!
「やっぱり
ラストはこれじゃなきゃ」
カラフルなゴンドラが
ゆっくり回る、
この遊園地の名物。
「観覧車~!!」
「あれ、高い所ダメ?
大丈夫、俺が守るから」
その一言でキュン死状態!
乗ってみれば・・・
「うわーきれい。
高所恐怖症だけど
乗ってよかった(笑)」
ゴンドラ内で、私とハルトは
向かい合って座った。
ハルトはいきなり
見たことのない真剣な顔で
話し出した。
「レイナとは、
昨日出会ったばかりだけど。
俺はレイナが好きだ!
どうかこんな俺と付き合ってくれ。
それから、お誕生日おめでとう、
俺からプレゼント!」
いきなり抱き着いてきた
ハルト。
一瞬のことで何もわからず
涙があふれてくる。
強く抱き寄せられた私は、
ハルトに抱き着いた。
プレゼントを開けてみると、
ハルトに出会うずっと前から欲しかった、
香水とネックレスが入っていた。
「うれしい・・・
でも、どしてこれを・・・」
「川原と林に聞いたの!
前々からこの遊園地にも
来たかったんでしょ・・・?」
「ミアン・・・ミオコ・・・
もうサプライズに弱いんだから(笑)
私もハルトと
昨日出会ったばっかりだけど・・・
ハルトがすきです。
こんな私でよければ
付き合ってください」
そのセリフと同時に
遊園地全体に音楽が流れ、
クラス全員が地上で手を振っている。
桜並木のライトアップは、
《ハルト レイナ》になっている。
全てみんなで
企画してくれたらしい。
「みんな・・・ありがとう・・・
ハルト・・・大好き」
人生で最高にHAPPYな
バースデイ&デートになりました。
地上に降りると、クラスメイトが
パーティーの用意をしてくれていました。
出会って2日。
私のひとめぼれからの初恋は、
こんなにもステキな展開で結ばれました。
再来週は
ハルトのバースデー。
私なりにハルトに
サプライズ&お礼をするよ(^^♪
今でも出会ったあの日は
忘れない
ずっと! ずっと!
ハルトが大好き。
☆END☆
*ニコ学名作リバイバル*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。
吉本 麗南
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