私だけのストーリー

CAST橘侑里

作者：ビビビッ

2025.10.30

隣のクラスの竹内琉斗は、
学校一のモテ男。

サッカー部所属。

やさしくてなんでもできて、
ちょっと天然。

そんな彼にみんなが憧れる中、
主人公・橘侑里は彼には興味がない。

しかし琉斗は
侑里のことが気になるようだ。

しょっちゅう絡んでくる。

彼は侑里には、特別やさしい。

侑里はそんな彼に惹かれていく。

そんななか、２人が幼いころに
出会ったことがあるという事実が
判明する。

「アハハハハ！
なーに、これ！」

佐々木花奈が、机をバンバン叩いて
笑い出した。

「ひどい！
恥を忍んで見せたのに！」

私・侑里はむくれて見せた。

私は、妄想大好き。
妄想だけはキラキラな
中２の女子生徒。

「妄想が過ぎるよ、
アハハウケるぅ！」

彼女は小さな時からの親友だ。
こうやってバカにしてくるけど、
根は良いやつだ。

「そんなにも竹内とやらに
興味を抱くなんてねえ」

実は私は、彼と話したことはない。

ただ私のタイプをすべて
詰めこんだような彼の美貌に
憧れただけであった。

「顔よけりゃ、それでよし」

「メンクイすぎ」

冷静なツッコミだ。

「だーけーどーさー」

「橘それ何？　え、漫画？
お前が作ったの？
ちょい読ませてな～」

「あっ、ダメダメダメえええ！」

机からスルリと漫画を描いた紙を
奪っていったのは、
クラスメイトの陽キャ男子・西優行。

正直あんまり好きじゃない。

止める間もなく、西優行は
漫画を読み始める。

「えーっと、
『こんにちは、私、侑里！
私には好きな人がいるんだ。
それは隣のクラスの琉斗くんだ』、
アッハハハ！
もーそーヤバすぎ！
これちょっと竹内に見せてやろっと！」

「やーめーてえええええ！
お願いだからあ～！」

私の嘆きを聞くこともなく、
優行は教室を飛び出していった。

「どうしよう花奈。
人生終わった」

「これからどうなるかね、
いやあ面白い展開だね」

楽観視している花奈をにらむ。

「ほんっと、どおしよう」

「見せてやったよ、
竹内様本人に～！」

優行は、意地悪く笑った。

「うう、なんて？」

「笑ってたよ。
『誰このキッラキラ妄想女子は？』
って」

「終わった」

妄想が過ぎるヤバイ奴だと
思われるなんて。

「しかもあいつ、
勝手に告られた気になって
『俺、彼女いるからさ』って
かっこつけてたよ」

「うっそぉ」

ハズい。ハズすぎる。

あとショックだ。

「なんだっけ、
Ｂ組の十文字陽菜とかいう」

「超絶かわいい子じゃん」

勝ち目など元からなかったのだ。

ちょっとショックを受けていると、
彼は、にやっと笑った。

「どーする？
俺は、お前好きだよ」

「えっ？」

私が目をまん丸にすると、
優行は

「勘違いするんじゃねーぞ！
そういう意味じゃないんだからさ！」

これから恋の始まりそうな
予感がした。

＊ｅｎｄ＊