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君と、冬の大三角を。

CAST橘 侑里橘 侑里

作者:結喜

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.11.21

・*。・ Yuri side ・。*・





秋ももう終わる。





もうすぐ冬の綺麗な星が
見られる頃だ。





ニコラ中学校2年生、
天文部所属の橘ユウリは
暗くなりかけてきた空を
うれしそうに見上げる。





夜空が好きなのは、
小学生の頃から。





中学校に入ったら絶対に
天文部に入ると決めていた。





仲のいい友達の
相沢イブキも天文仲間だ。





「橘ユウリです。
好きな惑星は、
水星“マーキュリー”」





部員たちがうれしそうに
顔を輝かせた。





この仲間たちとは
うまくやれそうだ、





そう思ったのをユウリは今でも
鮮明に覚えている。





その時中2だった先輩、
八神リョウスケは
特に食いつきがよかった。





彼は天文好きが集まった中でも
1番のマニアで、
ユウリと話が合った。





ユウリはだんだん彼に
惹かれていった。





そのリョウスケも、
もう1ケ月で引退だ。





ユウリはなんとか、その前に
告白したいと考えていた。





「受験、どこ受けるんですか?」





ユウリが興味本位でたずねた質問に、
リョウスケは丁寧に答えてくれた。





「やっぱり、にこらび高校とか?
でもニコプチ高校なんかもありかな。
にこらび高校は県内で偏差値ナンバーワン。
ニコプチ高校は略してニ校。
ニ校は偏差値はちょっと下がるんだけど、
兼部ができるから大好きな天文と
自然科学もやってみたいな、なんて」





「先輩らしいチョイスですね」





その言葉に、リョウスケは
うれしそうに笑った。





「あはは。
ユウリちゃんも再来年、
同じ高校受ける? なんてね」





ドキッとした。





来年から、先輩とは
会えなくなる。話せなくなる。





真剣な表情で考えこむユウリを見て、
リョウスケは慌てた。





「あ、本気にしないで。
ユウリちゃんは自分の道を
進めばいいんだから」





「あ、いや」





ユウリは、取り繕うように笑った。





「いや、兼部したら
楽しそうだなって思ったんです。
自然科学、好きですし」」





「高校にユウリちゃんがいたら
うれしいけどね。
あ、これは僕の気もち」





ユウリはまたしても
キュンとしてしまったのだった。











・*。・ Ibuki side ・。*・





天文部に入ってすぐの、
自己紹介のとき。





中学生になりたての頃の
相沢イブキは運命を感じたのだ。





八神リョウスケ。
とにかく趣味が合う。





前に誕生日プレゼントに
ベテルギウスのキーホルダーを
あげたときのあの笑顔!





ちょっと無邪気な、
心からの笑顔。





「ありがとう」
と、笑ってくれた。





イブキはリョウスケに
ぞっこんだった。





今までも誰かに
恋したことはある。





だけど、こんな気もちじゃなかった。





これを熱愛と呼ぶんだろうなと
イブキは勝手に思っていた。





「リョウスケ先輩っ!
今度、星みたいです! 2人で!」





必死にアピールするものの、
いつも断られる。





それはなぜか。





「ごめん、ちょっと・・・」





先輩はバカ正直。
うそをつけない。





恋愛経験豊富な
イブキにはわかる。





先輩、好きな人がいるね。





でもイブキはあきらめない。





たとえ、親友が
ライバルであろうとも。











・*。・ Ryosuke side ・。*・





中学3年生、八神リョウスケは
悩んでいた。





大好きな(照)後輩ユウリに
いつ告白するか。





橘ユウリは
とんでもなくかわいい。





あの笑顔と言ったら!





性格もどタイプ。





とにかく馬が合うし。





自分の趣味をあそこまで
わかってくれたのは
彼女が初めてだった。





告白したいが、
タイミングがない。





彼女と同学年の相沢イブキは
分かりやすく自分のことが好きらしい。





あからさまなアピールだ。





彼女も天文愛はたっぷりだし、
サバサバしててかっこいいけど、
やっぱりリョウスケが好きなのは
ユウリだ。





リョウスケはとことん
シャイなのだ。





告白なんかできない。





タイミングを待つことしか、
彼にはできない。











・*。・ Yuri side ・。*・





イブキが聞いてきた。





リョウスケ先輩が好きなのか。





ユウリはうんと答えた。





イブキはうれしそうに
ライバルだねと言った。





ユウリは
告白しようかなと言った。





イブキは
告白されたいと言った。





ここはフェアに、
両方告白されるのを
待つことになった。





「はぁ・・・」





イブキとはああ約束しても、
1か月もないのだ。





気もちは早まる。





自分の息が白いのを見つめた。





どん、と後ろから
軽くたたかれる。





「もうすぐ冬の大三角が
見られる時期だね」





先輩は言った。





「そうですね」





「君は誰と見たい?」





ユウリはちょっと驚いて
彼を見た。





彼は空を見上げている。





「好きな人と、見たいです」





「そうか。僕も」





告白するのがだめって言うなら、
告白させる。





ユウリはすっと息を吸った。





「先輩の好きな人って、
誰ですか」





リョウスケは目を瞬いた。





何も答えない。





もう、これは当たって砕けろだ。





ユウリは顔を赤くして言った。





「誰が好きなんですか?
シャノン先輩ですか?
アンナ先輩ですか?
お2人、かわいいですよね。
それとも、ヒナノ先輩?
天文が好きって気もちが本当に強いから、
リョウスケ先輩と話が合いますよね。
それとも、ミクちゃんですか?
あ、ひーちゃんとか?
どうせ、私じゃ・・・」





「ユウリちゃんだよ!
君が好きなんだ!」





荒い息をしながら
リョウスケが言った。





ユウリははっとして
彼を見つめる。





「ずっと、好きだった」





「私もです」





彼は安心したように笑った。





そして、口を開く。





「じゃあさ、来年、
冬の大三角見に行かない?」





彼らしい提案だ。





でも、その前に。





「今年も、見に行きますよ」





君と、冬の大三角を。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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