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名も知らぬ君

CAST橘 侑里橘 侑里

作者:ユウリちゃん大好き女子

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.10.12

あの雨の日、
私は彼と出会った。





名も知らぬ君と。







* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





「あー、居残りだるっ」





私の名前は、橘ユウリ。
中学2年生。





今は放課後の自習室で、
勉強をしているところ。





私は正直、勉強は大得意だ。





200人くらいいる学年で、
成績はいつも2位。





そう、毎回2位なのだ。





1位は誰なのかなあ、
なんて友達に聞いてみたら
静かなイケメンだという。





それはそうと、
私はとにかくだらしない。





それは自分でも自覚している。





今日は、数学のプリント3枚を
やり忘れて、
居残りという重い罪を与えられた。





つまんないなー。





そんなことを思って、
机に落書きをしてみる。





〈あなたには、
会いたい人がいますか〉





なーんてね。





次の日も私は居残りだった。





あー、家帰りたい。





課題をやってこない私が
悪いんだけど。





昨日書いた文字があるかどうかを
確かめる。





「・・・っ!」





私は驚いて、
思わず口をおさえた。





「うそぉ・・・」





そこには、返事が書いてあったのだ。





〈います〉と。





私はせっせと返事を書いた。





〈誰ですか?〉





そうして、私と名も知らぬ彼との
毎日が始まった。





彼が誰なのかは知らない。





知っているのは、このニコラ学園の
生徒ってことだけ。





〈幼なじみ。
僕が引越しして、
会えなくなってしまいました〉





〈それから、会った?〉





〈いいや。
幼かった僕は、彼女のあだ名しか
覚えていなかったんです〉





〈聞いてもいいですか?
その子のあだ名は・・・〉





〈ゆーちゃん。
僕はそう呼んでいて〉





〈ニコラ学園にいるのかな?〉





〈たぶんそうだと思う〉





机越しの会話でも、
名前を知らなくても、
私たちは繋がっている。





ペンで、机で、文字で。





「ゆーちゃん・・・」





私にはもう、彼が誰だか
わかっていた。





〈ねえ、みっくん〉





〈? みっくん、とは〉





〈毎日遊んでた幼なじみ。
6年前に引越ししちゃった。
でもね、まだ覚えてる〉





〈はあ・・・〉





もう、彼だってわかっているはず。





〈君、みっくんでしょ?〉





〈そうだよ、ゆーちゃん。橘ユウリ〉





なーんだ。
もう知ってたんだ。





私はいつも通り
机に彼への返事を書いていた。





足音が聞こえ、私はあわてて
目の前のドリルを
やっていたふりをする。





でも、そこにいるのは
先生じゃなくて、みっくん・・・







北島ミサキだった。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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