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CAST橘 侑里橘 侑里

作者:ごん

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.10.14

私、橘ユウリ。
ニコラ学園に通ってるんだ。





「ユウリ、今日も髪ボサボサじゃん」





そんなことを言いながら
私の髪をくしでとき、結っているのは
幼なじみの西ユアン。





「相変わらずラブラブだね、
ゆーコンビは~」





にやにやしながら私を見るのは、
親友の山本イチカ。





ミーハーで陽キャ、
おしゃれ大好きさん。





一見ツンケンしてるように見えるけど、
実はとってもやさしい私の自慢の親友。





『ゆーコンビ』ってのは、
私とユアンの名前が同じ
『ゆ』で始まることから、
イチカが勝手につけたユニット(?)名だ。





「ユウリは、ずぼらだからね。
幼なじみとして
面倒を見なきゃいけないから。
ユウリは元がいいから余計に残念だよ」





それを聞いて、イチカが今にも
きゃーって叫びだしそうな顔をする。





私はちょっと、もやってした。





ユアンのことは大好き。





だけど、私の見た目について
彼が何か言うとき、いつも
もやってするんだ。





なんでだろ?











・。・:・°・。・:・°・。・:・°・。・:





次の週の土曜日。





彼が2人で映画を見ようと言うから、
ちょっとおしゃれしてみた。





ピンク色のスウェットのセットアップ。





髪の毛はちょっとくしでとけば、
まあきれいかな。





靴は運動靴でいっか。





彼は私を見た途端、
がっかりした顔をした。





「せっかく2人きりだから、
おしゃれしてくれるかと思ったのに、
がっかりだよ」





ちょっと冗談ぽく言う彼だけど、
私は、もやっとした。





私のおしゃれな姿を見ることを
楽しみに来たってこと?





いや、逆にうれしいかも。





私はちょっとウキウキしながら
映画館の中に入った。













* ‐‐‐ * ‐‐‐ *





「ユウリ。
放課後、残ってて」





ユアンに言われ、
私は彼の日直の仕事が終わるまで、
教室で待っていた。





何だろ?





まさか・・・ね。





「ユウリ。話がある」





そう言う彼の顔は柔らかい。





「俺さ・・・ユウリが好きだ」





やっぱり!





私は浮つく気もちを隠して、
落ち着いてたずねる。





「私のどこか好きなの?」





彼はふんわり笑った。
そして言う。





「顔」





・・・・え。





「超タイプなんだよね、
ユウリの顔。
俺が彼氏になったら、
毎日かわいくしてあげる。
俺の自慢の彼女になってよ」





何それ。何それ。





「何それ!」





「何言ってんだ、お前!」





何者かの声と私の声が重なった。





え? 誰の声?
ユアンも戸惑っている。





声の主は・・・久野ナツだった。





「お前、何言ってんだよ、
顔だけが彼女の長所じゃない。
彼女の笑顔は・・・
彼女の美しい心が表されたような
笑顔なんだ。
彼女を見ているだけで俺は・・・」





私への愛を語りつくす彼。





私はしばらくぼうっとしていたけれど、
我に返る。





「顔だけのために私といるなら、
私はあなたを絶対に選ばない!
さようなら、西さん!」





私は叫んで、走り出した。





なぜか横で久野ナツがうなずきながら、
私についてくる。





「ずっと好きでした。
君の笑顔は何よりも美しかったから。
きっと心がキレイな人なんだなって
思ったよ」





「つきあってください」





この人は、私を見てくれてる。





私の心を。





顔じゃなくて。





私はうなずいた。





「うん」







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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