12本の黄色のバラ
作者:のい
こんにちは。
早速ですが私、橘ユウリには
好きな人がいるのです。
川上莉人。
彼はとてもさわやかで、
頭がいいところも
とても格好良いのです。
彼は男女関係なく
とても人気な人です。
超お金持ちだそうで、
お金目当てで彼に近づく人もいますが、
彼にはもっと素敵なところが
たくさんあるのです。
「橘、おはようっ!」
彼は、とても気さくに
私に話しかけてくれます。
そんなところもまた、
格好良いと思ってしまいます。
「お、おはようございます・・・!」
礼儀正しくあいさつします。
彼はカラッと笑いました。
「橘は礼儀正しいなー、
俺がやりにくくなっちゃうじゃん?」
「そ、そうですか・・・
ため口の方が
よろしいでしょうか」
もしそれで彼に嫌われていたら
どうしましょう・・・と、
心配になっている自分がいます。
彼は首を横に振りました。
「いーや。
橘がため口なんは
違和感ありすぎだろ」
「ふふふ・・・」
私は、思わず笑いました。
彼と一緒にいると安心するし、
楽しいのです。
川上くんが去っていったあと、
親友の髙野ココリがやってきました。
ぽん、と私の肩を叩きます。
「まーた、顔赤くなってるよ?
ユウリはすぐ照れちゃうんだね」
からかうような彼女の声。
私は顔をますます赤らめました。
「や、やめてください・・・!」
そこへ幼なじみの
安藤イルマもやってきます。
「ユウリ、どうした?
顔真っ赤だぞ?」
「だ、だいじょうぶです~っ!」
私は逃げるように
その場を去りました。
まったく、イルマは
鈍感なのですからっ!
「ねえねえ、ユウリ!
ウワサ、聞いた?」
ミーハーなココリは
情報通です。
今度は何かと
私は首をかしげました。
「? なんでしょうか?」
「あ、しーらないんだー。
なら、ユウリの耳に入るまで
待とうっと!」
彼女は楽しそうに
スキップしていきました。
なんでしょうか?
そのウワサのことを私が知ったのは、
ランチタイムのとき。
クラスメイトの女子が
ひそひそと話をしています。
「ねえ、聞いた?
川上くんさー、
・・・ちゃんのこと・・・」
「まじっ!?
確かにあの子、
めちゃくちゃきれいだよね!
いいなー」
「何? ユノ、
川上くん好きなの?」
「違うよ。
勘違いしないでよ、ルナ!
そんなんじゃないもんっ!」
ココリが私の顔を
覗きこみました。
「ね? 聞いた?」
私は、固まりました。
「そ、それってえええ、
わ、たしのこと・・・
川上くん・・・?」
ココリは、いたずらっぽく
うなずきました。
きゃああああっと
叫びそうになるのをこらえます。
「告白するなら今でしょ?
私、応援するよ、絶対成功する」
思わず私は、うなずきました。
ココリは「きゃああっ!」と
叫びました。
「お前、どうしたの?
朝から浮ついてるでしょ」
イルマに指摘されました。
当たり前です。
だって、私は今日
彼に告白するのですから。
* ‐‐‐ * ‐‐‐ *
放課後。
「か、川上くん。
ずっと、好きでした・・・!」
川上くんは
驚いた顔をしてから、
にこりと笑いました。
「ちょっと、考えさせてね」
その日の夜、私はココリに
メールを送りました。
ユウリ『ココリ!
告白できましたよ!』
ココリ『まじぃー』
ココリ『なんて?』
ユウリ『少し返事が遅れるようです』
ココリ『何それ笑!
遅れるってか
考えるってことでしょ?』
* ‐‐‐ * ‐‐‐ *
待たされること数日。
「橘。俺なりに、
いろいろ考えてきた」
彼はそう言って、
私に花束を差し出しました。
咲き乱れる黄色のバラ。
13本のバラ。
私は、叫びそうになりました。
こんな、愛のこもった
プレゼント・・・!
浮かれた私は、彼の
「花言葉を調べて」という忠告を
聞き逃してしまいました。
大きな花束を持つ私は、
多少目立つようです。
けれど、その目線さえも
気になりませんでした。
途中で、イルマと
すれ違いました。
彼は私の持っている花束を
見るなり、目を瞬きました。
「お前、それ・・・」
「好きな人にもらったのですっ」
浮かれている私を見て、
イルマは眉間に
しわを寄せました。
・・・なんでしょう?
イルマからメールが届きました。
何かのURLです。
『hanataba/nicola-bara』
私はそのURLを開きます。
そこには、黄色のバラと、
バラが13本であることの
意味合いについて書いてありました。
それに目を通します。
「っ!」
涙が濁流のように流れます。
黄色のバラと、13本の意味。
それは、「永遠の友情」。
彼はわかってそれを
私によこしたのです。
もう1つ、イルマから
メールが届きました。
イルマ『今から会える?
花束持ってきて』
私は、返信しました。
ユウリ『はい』
私は、彼の家の前で
待っていました。
彼がやってきます。
「・・・見た?」
彼の声が、心なしか
かすれています。
返事をする私の声も。
「・・・はい。
彼は、私のこと・・・
なんとも思っていなかったのですね。
ウワサは、ただのウワサでしか
なかったのですね」
イルマは、ばっと花束を奪い
1つのバラを抜き取りました。
そして、そのバラを
地面に捨てます。
「え?」
目を瞬く私を見て、
イルマが説明します。
少し顔を赤らめながら。
「ユウリ。バラ、
12本の意味、調べて」
私はケータイを開き、
調べます。
『私とつきあってください』
私は思わず
イルマを見ました。
彼は頬をかき、
恥ずかしそうに言います。
「俺、ユウリのことが好きだ。
つきあってほしい」
*end*
※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
橘 侑里

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