うそはもうつかない

CAST松田美優

作者：デイジースター

2025.07.16

小３のある日の夜、
思い出したくもない悲劇に
私は、見舞われた。

目を覚ましたとき、
両親は、冷たかった。

私は、妹のそのまと
親戚の家に引き取られた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

初めまして！
私は、松田ミユウ！

今日から、ニコラ高校に
通うことになったの。

「すみません、
職員室って、どこですか？」

同い年か、ひとつ上に見える子に
声をかけた。

「転校生？
私、１年の伊藤シャノン！
名前は？」

「１年の、松田ミユウです・・・」

「同い年だ！」

のちにシャノンは、
私の親友となる。

「とりあえず、
主任のとこでしょ？」

「なんで知ってるの？」

「私も転校生だったから！
あ、いたいた！」

シャノンの明るさに
少し、緊張がほぐれた。

「今日からＡ組の
クラスメイトになった
松田ミユウさんです。
席は、シャノンの横ね」

シャノンは、
同じクラスだった。

休み時間のことだ。

「ミユウ！
学校案内するよ！」

「うん」

音楽室、体育館、屋上・・・

「あ、図書室、忘れてた！」

図書室には、１人の男の子。

「「あ」」

その男の子と、
私の声が重なった。

「ミユウ、帰ってきたのか」

「ダイジ、この高校よく入れたねｗ」

ダイジは、私の幼なじみ。

あの日以来、会っていなかった。

「知り合いなんだ！」

そういわれたとき、
なぜかあの日を思い出した。

「う、うん」

無理して笑っておいた。

気をつかわれたくない、
普通に生活したい。

その一心だった。

＊・・・＊・・・＊・・・＊

学校に慣れた秋のことだ。

「ミユウのことが、好きなんだ。
つきあってほしい」

陸上部のエース、
ハルトからの告白だった。

「気もちはすごく、うれしいの。
でもまだ、よくわかんなくて・・・
少し、考えさせて」

どうすれば、いいのかな。

うれしいって思う自分と、
この人じゃないって思う
自分がいる。

「ミユウ。もう、
無理して笑うなよ」

ダイジから、突然の一言。

「無理なんか、してないよ」

「バカ、俺にわかんないとでも
思ったか。バレバレだ」

「ダイジには、
隠しごとできないね」

「俺の前では、無理しなくて
いいからな」

なんだろう、この気もち。

＊・・・＊・・・＊・・・＊

それから、ダイジとシャノンと
帰る日々。

「ハルト、私、やっぱりつきあえない！
ホントにゴメン！」

「まあ、わかってた。
当たって砕けろだったし。
友達では、いてくれるよね？」

「もちろん！」

「ハルト急げ！」

と、陸上部の誰かが呼んだ。

「じゃあな」

「ミユウ、ホントに断っちゃって
よかったの？」

「うん。
もう、気もちの整理ついたし」

「そっか」

「もう、シャノンにも言って
いいんじゃないか」

「そうだね」

あの夜のこと、全部話した。

転校初日のことも、全部。

「そんなことが・・・」

「シャノンになら、
話していいかなって、思った。
初めてなんだよ、心から笑ったの」

＊・・・＊・・・＊・・・＊

シャノンと、別れた後。

「私、ダイジのこと好き」

「え？」

「もう、無理したくないから。
ダイジが横にいれば、
だいじょうぶな気がする」

この後の返事は、わかるよね？

＊ＥＮＤ＊