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Signal ─3色の交わらぬキモチ─

CAST橘 侑里橘 侑里

作者:ここな。♯

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.06.16

あたし橘ゆうり。
夢みる少女なはずの中3生。





唐突だけど、あたしには
好きな人がいるの。





八神リョウスケ・・・高1生。





あたしが中学生になりたてのころ、
学校案内をしてくれたのが
リョウスケだった。





普通なら、“先輩”が
名前に必要だろうけど、
リョウスケはそれを拒否した。





『なんだか遠いじゃん、
せっかく偶然という運命の巡り合わせで
出逢うことができたんだから』
と、リョウスケは言った。





頭がよくて、かっこよくて、
気配りできて、笑顔がすてきで。
でも、真面目すぎない。





リョウスケの長所なんて、
いくらでも言える。





逆に、短所どこ?? って感じ(笑





あたしには親友もいる。





中2で初めて同クラになり
気が合った、野澤しおり。





かわいくて、お茶目さんだから
みんなの人気者。





「ゆうり。次、理科室だよ!」





「うそっ!
あと1分じゃん! やば!!」





しおりはあたしについてきてくれて、
なんでも話せる親友なんだ。





唯一、話してないのは
リョウスケのこと。





話そうとすると
ドキドキしちゃって(汗





でも、今日こそちゃんと
話そうと思ってるんだ。













*–* 放課後 *–*





下校途中の別れ際、
話を持ちかける。





「しおり! 聞いて、
あたし好きな人がいるの」





「ホント!? 誰誰??」





「八神リョウスケっていう
高1の先輩」





一瞬、濁った顔で考えて、
すぐにぱっと目が輝いた。





「あぁ! あの人ね!?
塾一緒だよ。かっこいいよね」





しおりも知ってるんだぁ。
がんばれそうな気がする(笑





「今度告るの??」





「頃合いを見て・・・ね」





「そっか・・・じゃああたし、
こっちだから帰るね? ばいばい!!」





「うん、ばいばい」





あたしは立ち止まって
しおりの歩いてゆく姿を見つめた。





しおりが一瞬振り返った。





その瞳は、心なしか
潤んでいるようにも
怒るようにも見えた。





あたし、なにか変なことを
言ってしまったんだ。





家に帰ったらLINEしなきゃ。











・LINE・

*———————-*
 しおり、なんかごめんね?
 だいじょうぶ???
*———————-*





めずらしく、返事がなかった。
なんかつっかかる。





悲しいのか、辛いのか、苦しいのか、
不安なのか・・・わからない・・・





その夜中、あたしは
分かって“しまった”。





しおりは、リョウスケが
好きなんだ・・・─────。





あたし、しおりには勝てないよ・・・!!













*–* 翌朝 *–*





しおりからLINEが来ていた。





ごめん、寝ちゃってた。
だいじょうぶだよ。





帰ってからすぐLINEしたのに、
寝ちゃってたはずがない。





やっぱり、リョウスケのこと・・・





朝食がのどを通らない。





母に顔色が悪いと言われた。





熱を測る。





ピピピピ・・・────。





数字を読む。“38.8“





当然、休みなさいと言われた。





ちょうどいいや。
これで今日、しおりと会わなくていい。





ひとつ気がかりなのは、
リョウスケとしおりの進展。





何事もないといいんだけど。













*–* 夕方 *–*





そろそろ部活も
終わったんだろう。





部屋の窓の向こうから
生徒の声が聞こえる。





からだを起こして、赤く染まった
レースのカーテンをつかむ。





道路の方に目をやる。





そこにあったのは、あたしにとって
一番恐れていた出来事が
まさに行われているという情景・・・───。





「今日も部活楽しかった」





「リョウスケ、かっこよかったよ」





でも、あたしは他に
ただならぬ雰囲気を感じた。





リョウスケとしおりは、
普通の友達ではないのかもしれない。





だって、中学生と高校生なのに。





たしかに校舎は近いけど・・・





どんどんどんどん複雑に
辛くなっていくあたしの心模様は
止められなかった。





「リョウスケ・・・
今度こそ遊びに行けない???」





「あ・・・ごめん。
行きたいけど、用事が多いから・・・」





「そっ・・・か・・・分かった」





あたしの確信。





しおりは、リョウスケが好きなんだ。





しおりが無理して笑う。





親友のそんな顔、普通なら
見たくないはずだけど、
心のどこかでそう思ってない自分がいる。





そのとき、立ち止まっていたしおりが
こっちに気づいた。





「────・・・!! ・・・ゆうり・・・!」





本当に驚いていた。





焦っていた。





「今日・・・が・・・学校
休んだよね??
だ・・・だだいじょうぶ???」





「うん、ありがとう」





「ゆうり!! 学校休んだんだって?
だいじょうぶなのか? ちゃんと休めよ」





リョウスケも、あたしに気づいた。





しおりのちょっと潤む目が
リョウスケの目を見つめる。





そのしおりの横顔は、他ないくらい
かわいい・・・
いや、美しかった・・・────。





「リョウスケ・・・帰ろ??
ゆうりに迷惑かけちゃう」





「分かった・・・じゃあな、ゆうり!」





じゃあな、だって・・・





重くのしかかる。





しおり・・・なんで正直に
言ってくれなかったの・・・





リョウスケ・・・
リョウスケは誰が好きなの・・・?





心に渦巻く、言い表せない濁り。





はやく解放されたいよ。





はやく元に戻りたいよ。





あたしとリョウスケとしおり。





どうなっちゃうの・・・





しおりは、リョウスケが好き。
あたしも、リョウスケが好き。





リョウスケは、誰が好き?





もしかしたら、あたしでも
しおりでもない。





でも・・・─────。













*–* 翌朝 *–*





今日は早く家をでた。





いつもならしおりと登校するけど、
お互いそんな気分じゃない。





教室の窓から渡り廊下を
ちら、とのぞいた。





「しおりだ・・・」





そこにいたのは、あたしと同じく
いつもより早く家を出たしおり。





しおりと・・・誰だろう。
あの男の子は。





「しおり、つきあってほしいっ」





この声ときたら・・・
しおりの幼なじみの堀口イブキだろう。





「ちょ・・・ちょっと待ってよ?
あたしに好きな人いること
知ってるよね??」





「知ってるよ!
でも、しおりが好きなんだよ!」





「そんなこと言われてもっ・・・」





しおりもイブキも必死・・・
しおりはなんて答えるのかな。





「─────・・・分かったよ・・・
時間ちょうだい・・・」





・・・え? しおり・・・??





いいのかな。
しおりはリョウスケが好きなんでしょ?
なのに。なのに。





ガラガラと、教室の戸が開く音。





「────・・・!!」





「しおり・・・」





「え・・・ゆうり・・・」





しおりは、一瞬でうつむいた。





「しおり、あたし見ちゃったよ。
聞いちゃったよ。
しおりは、リョウスケが
好きなんじゃないの?
なのに、ほかの人とつきあうことを
考えられるの?
あたしには理解できないよ・・・」





「だって・・・昨日のリョウスケ、
あのあとずっとあたしの話になんか
耳傾けてくれなくて、
ずっとゆうりゆうり言ってたんだよ?
そんな叶わない恋、いつまでもして
いつまでも苦しんでろって言うの!?
・・・あきらめて、新しい恋を探そうと思ってるのっ」





「しおり・・・」





そんなことがあったんだ。





リョウスケがあたしを・・・





「・・・しおり・・・ごめんね・・・
あたし・・・親友なのに
なにも知らないで辛い思いさせちゃって・・・」





「ゆうり・・・っこちらこそごめん!
あんな態度とったりして、ホントごめんね」





しおりとあたしは、もう一度
ちゃんと分かり合えた。





あたしたちなら、元に戻れる。





「ゆうり、言ってきたら?
あたし、これで吹っ切れたよ。
イブキにOKしてくる」





「え・・・」





「ホラっ早く」





しおりに背中を押されて、
予鈴がなる校門を飛び出した。





全力で走った。







会いたい。伝えたい。











*...・・・*...・・・*





高校は、まだ始業時間まで
時間があった。





「リョウスケ・・・
八神リョウスケはいますかっ」





校舎では騒がれたけど
気にならなかった。





「なに? どうしたの
そんなに息切らして」





「リョウスケ・・・!!」





「どうした?? なんかあった??」





言おう。
しおりが応援してくれた。





あたしなら、だいじょうぶ。





「あたし、リョウスケが好き。
それだけ」





簡単に言い過ぎたかな。





伝えたいことを言ったよ、あたし。





「・・・知ってるよ(笑」





「はっ??」





「俺だって好きだよ??」





「つきあってくれるの・・・?」





「拒否る理由がないよ・・・ゆうり」





跳びはねるくらい、うれしかった。





「誰だお前はー!!!! ニコ中の生徒かー!??」





そのとき、先生が飛んできた。





「げっ、教頭!!! 逃げるぞ、ゆうり!!」





「うんっ」





こうして見事に結ばれたあたし。





赤、青、黄色。





シグナルは交わらなくても、
あたしたちの3人3色の気もちは
しっかりみんな交わった・・・────。







・+*fin*+・

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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