暗闇の中の灯。
作者:こころん♪
──神様
私はなぜ、この世に
生まれてきたのでしょうか?
私なんか生きる必要が
あるのでしょうか?
* * * * * * *
看護婦さん「ゆうりちゃん、調子はどぉ?」
ゆうり「うーん・・・まぁまぁかな」
私の名前は、橘ゆうり。
ごくごく普通の15才ー!、
と言いたいところだけど・・・
────あと1ヶ月の女の子。
これは、どーゆーことかと言うと・・・
私は重い病気を持って
この世に生まれた。
今の世界中の医学でも治せない
不治の病。
そして生まれたときに
[余命半年]と言われたけど
なぜか今まで生きている。
でも、さすがに私の身体も
限界みたいで・・・、
この間お医者さんに
「ゆうりちゃんの命は
残り1ヶ月です」
─────って言われた。
その時、私は
ショックを受けなかった。
それよりも私はうれしかった。
だって、私が生きてたって
意味がない。
1年中ベットの上。
模様替えなんかしない
白い天井の下。
けっしておいしくもない食事。
入院費だってかかるし
治らない病気を持つ子を
病院にいれてたって意味がない。
いくら同じ病室になって
仲がよくなった子・・・
いぶき、みく、しおりがいても、
しょせん先に退院される。
──────とても孤独でひとりぼっち。
こんなんだったら
いなくなる方がまし。
生まれてから私は
ずーッとそう思ってた。
─────あの時が来るまでは──────
看護婦さん「ゆうりちゃん
今月号のnicola読む?」
「・・・読む」
「んじゃーちょっと待っててね」
タッッッ
あーぁ。
疲れたなー・・・
早く1ヶ月経ってほしい。
早く死にた───・・・
ドンッッッ!!!
・・・え? 何? 今の音・・・
てか、な、なんか人がいる・・・
・・・まさか幽霊?
ちょっとー
私、オカルトだけは駄目なのにー!
??「橘・・・ゆうりだな」
「・・・え? そぅ・・・だけど?」
な、なんでこいつ
私の名前知ってるの?
??「お前の余命が
残り1ヶ月ってことで来た」
「・・・え?
そんなこと知ってるけど・・・
てか、まずあなたは誰??」
??「あぁ言い忘れたな。はい、名刺」
ピラッ
「・・・どーも?
“悪魔屋の久野ナツ・・・”?
“あなたの魂やさしく狩らせて頂きます”?
あなた・・・もしかして悪魔?」
ナツ「正解!」
「へーぇ・・・」
オカルトじゃなくてよかったー・・・
「へーぇ・・・って!
お前、俺のこと怖くねぇーのかよ」
「全然怖くないし。
・・・あの悪魔さん・・・?」
「なんだ?」
「さっさと私の魂狩ってくれない?
もぉ・・・生きたくないの」
「それは無理」
「・・・なんで?」
「お前の魂を狩るのは、1ヶ月後だ。
その日より前と後の日に狩ると
俺はクビになる」
「・・・ずいぶん都合のいい
悪魔さんね」
「まぁな・・・
それはそーと、お前死ぬ前に
やりたいことってあるか?」
「やりたいこと・・・か、
・・・・・・ない」
「ない・・・ってw
そんなこと言うやつ・・・
めずらしいな」
「だって・・・私、今まで
一歩も外に出たことないし、
自分が今何をしたいのかも
分かんないから・・・」
「・・・じゃぁ死ぬまでの間
お前を外の世界に
出してやろーか?」
「・・・そんなこと出来るの?」
「ンなの朝飯前w
・・・そのかわりに1ヶ月後
ちゃんとお前の命狩らせろよ?」
「・・・分かった」
「・・・・・・・・・!」
「・・・今何かした?」
「お前に呪文をかけて
一時的に外出許可が下りるような
身体にした。
・・・もうそろそろお医者さん来るぞ」
本当かなー・・・?
生まれてから今まで
一時的にでも外出許可
下りたことないのに───
看護婦さん「───ゆうりちゃん、よく聞いて!
一時的に外出許可が出たわよ!」
本当に外出許可が出た─────
「あ、はい。分かりました」
「明日からいつでも
外出していいわよ~」
タッッッ
「・・・悪魔さんありがとう」
「あのさ“悪魔さん”じゃなくて
ナツって呼んで?
俺はお前以外の人間には見えないし、
端から見たら、悪魔さんて言ってんの
怖いから」
「・・・分かった」
・*。・ next day ・。*・
「・・・ふぁーぁ・・・もぉ朝かぁ」
・・・今日から外に出てもいいなんて────
夢みたい。
まるで夢のよう。
ナツ「おーい、
朝ごはん食べたら行くぞー!」
「分かった」
* * * * * * *
トコトコ。
「・・・ここが渋谷?」
今、nicolaを片手に
色んなところを歩き中。
「そうだ。
そして、あれが渋谷の新ビル!」
「で、でか~!
外にはこんな物があるんだー」
「もっとでかい物ならもっとあるぞ。
スカイツリーとか富士山とか」
「・・・ねぇ、
ビルの中に入っていい?」
「もちろん」
「な、何これ・・・すごい!
人が沢山いるし、
ニコラに出てるブランドも
この世にちゃんとあるんだぁ・・・」
「いやいや、あるからw・・・
何か買うか?」
「買いたいけど、お金がない・・・」
「あるじゃんお金。バッグの中に」
「???
入れた覚えないけど・・・・・・
え? なんで入ってんの・・・?
まさかナツが入れた?」
「・・・まーさか!
ンなこと悪魔がするわけねーし!」
・・・とか言っちゃって。
目、ものすごく泳いでるし。
明らかにうそついたって
バレバレ。
・・・私に未練を残して
死なれたくないんだね。
「ふぁー!
ナツのお金のおかげで
いい買い物できたッ」
「だなー、次どこ行く?」
「次はー・・・」
* * * * * * *
「ナツー、今日はありがとー!」
「どーも!
・・・つかお前、買いすぎじゃね?w」
「そぉ? 気のせい気のせいw」
「だよなw」
「・・・・・・・・・」
「・・・どーした?」
「・・・あの服」
「あの服って?
・・・あーあれは、学校の制服。
知ってるだろ?」
「うん、知ってる・・・
てか私さ、生まれてから一歩も
外に出たことないって言ったじゃん?
だから1回も着たことなくて、
制服ってどんな着心地なのかなーて
思ってさー・・・」
「そーか・・・」
ぐすッ
「本当にうらやましいなー・・・
・・・どうして私はこんな身体で
生まれてきたんだろ?
普通だったら私も学生なのに・・・
私も普通の元気な女の子として
生まれたかった・・・
──本当になんで私なんだろう・・・」
「ゆうり・・・」
「・・・ナツごめん、
しんみりさせて・・・
病院に帰ろうか?」
「・・・あぁ」
・*。・ 1ヶ月後 ・。*・
────とうとうこの日が来てしまった。
いよいよこの世界ともお別れなんだ・・・
なんかものすごく
怖くなってきたし・・・
「ゆうり、覚悟はいいか」
「ぅ、うん・・・」
「じゃぁ・・・やるぞ」
・・・・・・・・・・・・
──え?
何にも起きない?
死んでない?
どーして・・・?
ナツ「・・・やっぱり無理だ、
俺はお前の魂を狩ることが
出来ない・・・!」
───え?
「ゆうり・・・知ってるか?
悪魔が相手の魂を狩らずに
自分の魂を狩ると、
相手の命が助かるんだ・・・」
「え? ちょっと待って・・・
てゆーことは・・・!」
「ゆうり・・・
がんばって生きろよ・・・」
ガッッッッッ
ボワワン
「いや・・・いかないで!
ナツ、ナツ────ッ!!!」
* * * * * * *
──あの日から1週間が経った。
ナツのお陰か分からないけど
生まれながらにもっていた
不治の重い病気が完治した。
もちろん余命宣告もなくなり、
みごと一昨日に退院した。
生まれて初めて
自分の家に住んで、
病院食以外を初めて口にして、
とてもうれしかった。
今までに病院では
出来なかったこともでき、
毎日が充実している。
────でも時折、私は思う。
この元気な身体は
ナツがくれた物だって。
あの時の悪魔が
ナツじゃなかったら
今頃ここに私はいないと思った。
だから、あの時ナツが言った言葉は
無駄にしないで生きようと感じた。
─────ナツ。
ナツの思いは
無駄にしないからね。──────
fin.
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
橘 侑里

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