親友の先に

CAST林 芽亜里林 芽亜里

作者:りっちー

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2020.11.02






『ねえ!
聞いてる?!』





「わ、ほんと
うるさいから!
目の前にいるんだから
わざわざ叫ばないでよ!」





『だってさっきから
ぼーっとしてる
からじゃんか』





そんなの
当たり前じゃん。





喉まで出かけた
その言葉は
ぐっと堪えて、
その代わりに
はいはいって笑うと





釣られて笑顔になる
親友、





そして
私の好きな人。





その笑顔は
憎たらしいくらい純粋で、





そんな彼に癒されつつも
死にたくなる休み時間。





休み時間に入った瞬間
教室を出て
ほんの数分で戻ってきた
コウショウは





それはもうすんごい笑顔で
一直線に私の席まで来て
こう言うのだ。





“あの子が!
レンのとこ行って
すれ違った時に
挨拶してくれたんだけど!”





あの子、とは
隣クラスの同級生の子、





そしてコウショウの
片想い相手。





顔のパーツは整ってるし、
スタイルも良くて
綺麗な髪の毛は肩あたりで
切り揃えられた
ショートカットのあの子。





挙げるとキリはないけど
とにかく私とは
全てが正反対な
コウショウの好きな人。





『あーどうしよう・・・
好きが溢れて・・・ふふ』





「よかったじゃん」





『うん、
今日も今日とて
幸せなり』





「はぁ、
そんなに好きなら
ライン交換してもらいなよ」





『え! 無理だって!
話たら声絶対震えるもん、
恥ずかしいし・・・・・・あ』





何かを思いついたように
私を更に見つめると
とんでもないことを
言い放った。





『めありが交換してさ、
それで俺のこと
紹介すんのとかどう?』





うわ、俺って天才・・・
とでも言いたげな顔で
少し満足げに
私の返事を待つ
コウショウ。





もちろん
そんなこと
したくない。





でも、側から見て
私が断る理由なんて
見つからない。





「えー、」





『お願いっ!
親友だろっ!』





これほど
残酷な言葉なんて
ないと思う。





友達以上、
恋人未満。





ただの”友達”を超えても
それ以上はもう
超えることの出来ない
残酷なポジション。





「・・・分かったよ、
親友、だからね」





『まじでめあり好き!
最高!』





「っ、」





なんにも
知らないくせに。





親友としての
好きだなんて
分かりきってるのに、





それでも心臓が
少し高まってしまう
阿呆な自分。





私と話して、私の言葉で
笑顔になってるはずなのに
この笑顔の向けられた先は
あの子。





私はコウショウに
とことん弱い。





こんな笑顔
向けられたら
地獄めぐりだって
行けるかもしれない。





今思い返してみれば
最初から
そうだったのかもしれない。





明るくて
どんな時も優しくて
笑顔で包み込んでくれる
コウショウと、





お調子者で
気まぐれで
半分男子キャラな私





合うところと
違うところが
うまく噛み合って





すぐに仲良くなると
気づいたら
ここまで来ていた。





一緒に馬鹿騒ぎしたりして
みんなを笑わせたり、
私が不機嫌な時は
ただそっと隣にいてくれたり





もしかしたら私が
一方的になのかも
しれないけど、





こんなに落ち着く人は
コウショウくらいで
唯一無二の存在。





これが”好き”って
気づいた時には
もう戻るには
もったいなさ過ぎて、





その先に
進もうとするのは
リスキー過ぎて。







「ってことなんだけど・・・」





ユイト「馬鹿か。
断ればいいだろ
そんなもん」





「だってコウショウに
嫌われたく
ないんだもん・・・」





ユイト「はぁ、」





居るに絶えなくて
すぐに笑顔を作って
しょうがないなぁ! って、
教室からマッハで逃走して
逃げた先は隣のクラス。





つまり
あの子のクラス。





少し嫌だけど
窓際のあの子とは
正反対のドア付近にいる
師匠ことユイトに
泣きついていた。





私がコウショウのことが
好きってのを
唯一知ってる
レアキャラである。





ユイト「お前のチキン伝説
いつまで聞けばいいんだよ」





「いやトゲありすぎだろ」





ユイト「何ヶ月もほぼ毎日
この話聞かされる
身にもなれよ」





レン「あ、めありじゃん!
なんの話してんの!」





そこにユイトと私の間に
にょきっと割り込んできた
大型犬はキムレン。





コウショウ経由で
仲良くなったけど
今ではなんでも話すくらいに
仲がいい。





レンも私が
コウショウのことが
好きなのを知ってる人だ。







レン「またコウショウ?」





「まあ半分そうなんだけど
半分はまた違う用事的な」





レン「え、なになに!
気になるんですけどー」





ユイト「あいつのカトクが
欲しいんだって」





レン「あいつ?
・・・え? ま?」





ユイトが顎で指したのは
丁度目の合った
窓際のあの子。





目が合った瞬間
パッと逸らされたけど
やっぱり綺麗なあの子が
少し羨ましい。





普段レンとユイトと
つるんでるみたいで
あの子のことを話した瞬間
めっちゃ鼻息の荒くなるレン。





レン「まじか!
あいつはほんと
いいやつだから!
仲良くしてやってよ!」





ユイト「荒れすぎ」





「・・・もしかしてレン
あの子のこと好きなの?」





レン「うん。
え、今更?」





「え、知らなかったんですけど」





初耳すぎて
思わず自分の耳を
引っ叩いた。





レン「言ってないもーん!」





そう言うと、あの子の名前を
大声で叫びながら子犬の如く
(でかいから気持ちだけ)
あの子のもとへ
走っていったレンを
呆然と見送る。





「・・・え?
なんか恋の三角関係を
見てしまったような
気がするんですけど、私」





ユイト「まあレンもコウショウも
知らないけどな、
お互いあいつのこと
好きだって」





「ユイト
よく黙ってられるね」





ユイト「まあ修羅場には
巻き込まれたくないからな」





「あ、そっちね」





友達を思いやる
男同士の熱い友情かと
思いきや
ただの自己中だった。





忘れてた、ユイトは
こんなヤツだった。
(やめとけって)





ユイト「ていうかお前
授業は?」





「え?
だってまだ・・・え、」





ユイト「俺ら次自習だからないけど
お前のとこ・・・
もう始まってんじゃん」





「まじか終わった」





慌てて時計を見ると
もう5分過ぎてて、
顔面蒼白な私。





慌ててユイトの席の横に
しゃがんでたのを立とうとすると
足が痺れて尻餅をついたついでに
おでこをぶつけて泣きそう。





ユイト「ブッ・・・
お前まじやべぇwwww」





「・・・なんか私まで
可笑しくなってくるから
やめてwwww」





レン「めあり~!
連れてきたよ!」





可笑しくて
2人で笑ってると
レンがあの子の腕を
引っ張ってくる。





でも彼女と言葉を
交わすことはなかった。





なぜなら





『めあり』





授業を受けてるはずの
コウショウが
私の前に現れたから。





「あ、コウショウ・・・」





『ほら帰るよ』





「え、あ、まだ
あの子のライン」





『いいから。
もう授業だろ』





珍しく有無を言わせない
雰囲気を漂わせるコウショウに
腕を引かれて
ユイト達にぽけっと
見送られながら教室を出た。





まあ授業サボりかけて
しまいにはあの子のカトク
聞き忘れたら
仏のコウショウも怒るよね。





案外授業に関しては
真面目なところが
あるからなぁ、





「そ、コウショウ・・・
えっと、ごめん」





『・・・なにが?』





「その・・・
カトク聞き忘れたり、
授業中来させちゃって」





『・・・もうやめて、
他クラス行くの』





「え?」





やっぱり怒ってる。





こんなコウショウを
見るのは2回目だ。





1回怒ったコウショウを
見た時があったけど
絶対怒らせないようにしようと
誓ったくらい
怖かった思い出がある。





・・・でもよく考えたら
怒りたいの私なんだよな。





私の腕を掴んだまま
少し口がへの字になってる
コウショウを見てると
ふつふつと怒りが湧いてくる。





なんで私は好きな人の恋話を
聞かなきゃいけないの?





なんで私が好きな人の
好きな人にカトク
聞かなきゃいけないの?





なんで私が
怒られてんの?





『ほんとうにムカつく』





「・・・は?」





コウショウの
口から出た言葉に
衝撃を受ける。





何もかもコウショウを
思ってしたことが原因なのに
ここまでいう必要ある?





私自身を否定されたようで
ショックどころじゃない。





「まじでさっきからなんなの?
私がどんな思いでここまで
“親友”やってきたか
分かってんの?
私の気も知らないで毎日毎日
あの子の話ばっかり、
しまいにはカトク聞いてって
全部コウショウの為じゃん!」





『・・・俺たちって親友だよね』





突然のことにコウショウは
動揺したように
目をうろうろさせながら
涙目の私を見る。





釘を刺そうとしてるのか、
確かめるように
聞いてくるコウショウ。





もうそんなことですら
全てに腹が立って
コウショウをキッと睨むと
掴まれてた腕を振り払った。





「コウショウの親友だから、
あの子よりもたくさん
コウショウの嫌いな食べ物も
知ってるし、
優しいのも知ってるし、
泣き虫なのも知ってるし、
ちょっとだけ意地悪なのも
知ってるし、
歌がうまいのも知ってるし、
コウショウの好きな子だって
知ってるのに!!
でも、もう無理!」





『めあり、』





「あんたが好きなの!
何が親友だ!!
親友なんてやめてやる!
コウショウのバカ! アホ!
信号にでも全部引っかかれば
いいんだ!!!」





全クラスが繋がった
廊下の端で
大声で告白した私は
一瞬で状況を把握する。





これは色々終わった。





ジ・エンド。





目を見開いて固まった
コウショウの横を通り抜けて
バン! とドアを開いて
教室に入ると
それはもうすごい視線。





そんなのも気にせず
バックをひったくる。





「先生!!
とてつもなくムカつくので
帰ります!!!
一生来ません!!!
さようなら!!!!」





“お、おう・・・・・・え、”





そのまま教室を出ると
早速何人か廊下に出て
こちらを見ている。





このクラスが
端で良かった。





非常階段のドアを豪快に開いて
未だに固まってるコウショウを
振り返って睨みつけると
階段を駆け下りた。





涙も鼻水も垂らしながら
家に帰ると
後悔が襲ってくる。





するならもっと
マシな告白すれば良かった。





これでコウショウとは
バッドバイフォーエバーに
なるのかな、
これだからダメなんだよ。





まじで学校
一生行けないじゃん、
今から転校とか出来ないかな。





自分のアホさ加減には
もはやあっぱれだ。





コウショウをアホとか
罵れる立場じゃないな。





散々悩んだ挙句
もうどうにでもなれって
開き直ることにした。





“めあり~? いるの?
お友達が来てるわよ”





お母さんのその言葉で
カーテンの隙間から
こそっと外を覗くと
“お友達”が居た。





つい数時間前まで
親友だったあの人。





「居ないって
言っておいてっ!」





できるだけ小さな声で
訴えると
えぇ、なんでよ・・・
とか言いながら
玄関の方へ行ったお母さん。





でもやっぱりアホって
遺伝なのかな。





“『居ないって言って』
とのことですけど・・・”





「お母さん!!!」





つい叫んで
部屋を飛び出すと
お母さん越しに
目の合ったのはコウショウで





私と目が合うと
少し苦笑いをして
お母さんの方に向き直った。





『あの、少し
めありさんのこと
お借りしてもよろしいですか』





“あら、いつでも連れて行って
くださいよ~。
あのオテンバ娘を
よろしくお願いしますね”





『はは、ありがとうございます』





“ほら! 早く行きなさい!
帰り遅くなっていいからね?”





最後の一言が余計だったけど
渋々靴を履いて
玄関の外に出ると
コウショウは
少しぎこちなく笑う。





近くの公園でいい?
って聞かれたから頷くと
行くことになったけど
気まずい以外の何者でもない。





一体何を言われるのだろうか。





ご丁寧に振るとか?





うん、あり得る。





コウショウのことだから
これからも仲良くしようって
言うんだ。





『えーっと・・・
まずはありがとう、
俺全然知らなかったから
驚いた』





ベンチに座り
コウショウの好きな
ココア缶を私に渡すと





ギュッと缶を握りながら
そういうコウショウに
少しそわそわする。





これから
どんな振られ方が
待っているのだろうか。





『それにごめん、
無神経すぎたよね、
めありの気持ちとか
知らなかったから
散々嫌な思いとかさせちゃって。
ライン聞いてくれとか
あり得ないよね、本当に』





少し眉を下げて
困ったように笑う
コウショウに
胸が苦しくなる。





カトクって聞くだけで
脳裏にあの子が
浮かび上がるもんだから
相当重症だ、





嫉妬の塊みたいで
ほんとうに醜い。





嫌われたかな、





私だったら
こんな奴無理だもん。





覚悟を決めろ、
めあり。





『それと、めありの言葉
すごく嬉しかった。
俺のこと本当によく
知ってるんだなって。
でも最後のだけは違うよ』





『俺の好きな子、
きっとめありは
知らないよ』





「え?」





『知りたい?』





何が言いたいのか
さっぱり分からない。





好きな人
私に教えてどうすんの?





もしかして
新手の嫌がらせ?





さっき大声で廊下で
叫んだから?





でも欲に忠実な私は
結局こくんと頷いた。
とことんアホだ。





『じゃあ、知ったら
俺も親友やめていい?』





もう聞く気満々だったから
内容すら聞かず
思わず頷いてしまったら
もう終わり。





『散々あの子のこと
惚れ散らかして
散々相談してたくせに
なんだけど、
俺あの子より
好きな子が居たみたい。
他の男子に笑顔を向けてると
モヤモヤするし、
あの子に並んでも
ずっと輝いて見えて、』





「ちょ、ちょっとまって」





振る前の嫌がらせが
流石に酷くて
ストップをかける。





この人、私が好きって
知ってるよね?





なのにお前なんて
興味ないんだよってか?





それで俺とお前は
永遠におさらばだって
言いたいの?





「それいってどうすんの、
それで親友やめるとかなら
聞きたくないから・・・
私、帰る」





『まって、』





まだ聞いてないんだから
セーフだと決めつけて
立ち上がると
さっき来た道を引き返す、





・・・・・・つもりだったのに。





「こ、コウショウ」





『俺、めありが好き』





後ろから腕を引かれると
次の瞬間には
コウショウの
胸の中にいた。





耳元で聞こえる
綺麗な声と
少し早い心臓の音。





『遅くなってごめん、
まだ間に合う?』





脳内に何度も繰り返される
“好き”を理解するのに
それほど時間はかからなかった。





緩みかけた涙腺のせいで
少し視界がぼやけるけど
手はしっかりと背中に回した。





『めありが笑ってくれるだけで
すごく嬉しくなったり
心がキュッと苦しくなったり、
ユイトと笑ってるところ見た時とか、
よく考えれば他の男子と
話してるだけでも
嫉妬してた自分に気づいたんだ、
なんか恥ずかしいけど・・・
めあり、これからもずっと
隣で笑ってほしいです』





「・・・遅いんだってば、」





『ははっ・・・ごめんね、
ありがとう、大好きだよ』





私から離れると
少し屈んで
少し涙目の私の顔を
覗き込まれるから
誤魔化すように笑うと
嬉しそうに思いっきり
目もとをくしゃっとさせて笑った。





今度こそ私に向けられた
その笑顔の彼と
ずっと一緒にいれますように。





親友の壁を超えた先に、





左側の手はぽかぽかと
コウショウの
大きな手に包まれて





帰り道を歩きながら
そう願った。







___________fin.

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