アイスクリーム。

CAST白尾 留菜白尾 留菜

作者:♪恋々♪

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2024.07.31

「あー、今日からニコラ学園に
転入してきた白尾ルナさんだ」





「は、はじめまして。
アメリカから引っ越してきました、
白尾ルナです。
日本のことはあんまり分からないけど、
よろしくお願いします!」





緊張する・・・!





アメリカに住んでたときは
家でも日本語だったから
日本語はしゃべれるけど、
生まれてからずっとアメリカで
育ったからなぁ・・・





「よっ! 俺、
ルナの隣の席の黒澤リョウ!!
俺も小学校に入るまで
アメリカに住んでたんだぜっ。
よろしくな!」





リョウ・・・





──私はこの時、
君の名前を聞いたときから、
どこかなつかしい思いがあったんだ。





──・・・そして、
どこか君に惹かれていた。

















** *** *** *** *** **





放課後―――――





「ルナ!
今日、帰りに直接行くからな!」





私に、太陽のような
笑顔を向けるリョウ。





「うん!!」





1日で、すっかり仲良くなった私たちは、
リョウの友達のリリカと
その彼氏のミサキくんの4人で
アイスクリームを食べに行くことになった。





こんなにも、些細なことで・・・
胸が高鳴って、
ドキドキしてしまう――・・・





・・・どうしよう。
今日1日で、
こんなにもリョウのことが
好きになっちゃった・・・





皆で歩いた、アイスクリーム屋さん
までの道のりですら
一瞬に感じてしまうくらい、
幸せな気分に包まれていた。





──・・・私には、
婚約者がいるというのに。





・・・・・・そうだよ、
私にはいるじゃないか。
幼い頃、約束した運命の相手が。





今はもう、これしか覚えてないけど、
“リョーくん”“ルーたん”と呼びあった。
私とお揃いの指輪をもった、
婚約者が──・・・





「・・・ルナ、どうした?
なんか元気ないよ?」





今日仲良くなったばかりだというのに、
私が元気が無いことに
気づいてくれたリリカ。





・・・ダメだな、私。
自分の都合で、
皆との時間を台無しにしちゃうような
態度をとるなんて。





「・・・ううん。
なんでもないよ。大丈夫」





無理矢理、笑顔を貼りつけ、
ネックレスになっている指輪を握りしめる。





「・・・ひょっとして、リョウのこと?
・・・リョウのこと、
好きになっちゃったんでしょ?」





幸いにも、リョウたちは
少し先を歩いていて、
こちらの会話は聞こえないみたい。





「・・・うん。でも・・・」





「でも、どうしたの?」





「でも、私には・・・」





“運命の相手を
捨てる覚悟なんてない”





それに、私は──・・・
白尾ルナじゃない。
ルナ・ルイーズだ。





「・・・アタシには、
ルナの気持ちは分からないけど、
諦めちゃダメだよ?
ダメもとでも、告白してみなよ!」





「・・・うん」





・・・そうだ。
何も今すぐ結婚するわけでも、
恋人同士な訳でもないんだから。





・・・明日、
告白してみようかな・・・?





「・・・明日、頑張ってみる」





「うん。頑張って!」





この日食べたアイスクリームは、
今までで、1番美味しく感じた。

















** *** *** *** *** **





次の日─────





「リョウ、好きなの───。
私と、付き合って下さい・・・!」





勇気を振りしぼって、私は告白した。
ドキドキと高鳴る胸。
緊張する・・・!





「───・・・ごめん。
俺、好きな人が、
婚約者がいるんだ───。それでな」





・・・え・・・?
・・・うそ、でしょ・・・・・・?





「・・・そっか。
わかった、ごめんね。
変なこと言っちゃって。
これからは今まで通り
友達として接して・・・?
本当にごめんなさい・・・!」





「え!? ルナ・・・!?」





私は、とにかく、
この場から離れたくて。
昨日行ったアイスクリーム屋さんに
かけこんだ。





1人で食べるアイスクリームは、
冷たい現実を
思い知らされてるようだった───。





・・・やっぱり、現実は甘くない。
私も、婚約者がいるのに、
好きになっちゃったのは
間違ってたのかな──・・・?





私は、リョーくんを
裏切っちゃったのかな──?





「・・・ルナっ・・・!!」





突然、息を切らせて
入ってきたリョウ。





「リョ・・・ウ・・・?」





「まだ、ルナに
話してないことがあるんだ」





何・・・?
話してないことって・・・





「婚約者のことなんだけどさ。
俺が、アメリカにいたとき
ルナ・ルイーズって名前の女の子で。
俺は“ルーたん”って呼んでた。
これ、お互いに約束の印としてもってるんだ」





そういって取り出したのは、
ビロードの袋に入れられた、
私と同じ指輪──。





・・・うそ・・・!
リョーくんって、リョウ・・・?





「──・・・ルナ、
持ってるんだろ・・・? これ。
ルナ・ルイーズって、ルナだろ・・・?」





「・・・うん・・・!!」





リョウは、リョーくんは、
覚えててくれたんだ。





うれしくて、つい、
涙がぽろぽろとあふれ出す。





「「2人とも、おめでとー!!」」





とつじょ店に入ってきた、
リリカとミサキくん。
・・・もしかして。





「リリカ、私の本当の名前、
知ってたの・・・?」





「うん。チアでアメリカに
1回留学したことがあって。
ルナ、現地でも結構有名な家だったから」





・・・マジか・・・





「ルナ。
・・・いや、ルーたん」





「・・・何、リョーくん?」





「・・・俺と、付き合って下さい!」





「・・・っ! もちろん・・・!!」





私の手のなかで溶けてしまった
アイスクリームは
ハートの形に溶けていたとか、
いなかったとか。







☆END☆

─ ニコ学名作リバイバル ─
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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