天使と悪魔。
作者:だっふぃー
私は二重人格。
本当の私は多分、
橘ゆうり。
2つめの私は、橘ユリ。
どっちが本物で
どっちが偽物かは
わからない、
でもユリのときの私は
情緒が不安定。
だから多分、
私は橘ゆうり。
私は生まれて
物心ついたころにはもう
新潮精神科病院の精神科に
入院していた。
だから最近
外が恋しくなる。
私はサクラというものを
見たことがない。
外の空気も知らない。
外に行きたい・・・
コンコン。
「失礼しまーす、
ゆうりさん、ご気分どうですか?」
「平気です」
「良かった、まだゆうりさんで。
今日、お散歩行きません?」
「え・・・
行けるんですか?」
「えぇ。車椅子だけど」
「行きます」
「じゃあ、コート着て、
支度済んだらナースコール
押してくださいね」
「はい」
やった、ようやく外に
行けるんだ。
あ、でも今顔が
ニキビだらけだ。
マスクつけていこう。
「ふふ・・・病人みたい」
ピピっ。
「どうされましたかー?」
「支度できました」
「はい、担当がいま行きますね」
「はい」
外へ出て
サクラが見たい。
ガラガラ。
「行きましょうか」
「はい」
ガラガラガラガラ・・・
「外、久しぶりでしょう」
「はい」
「最近は風がすごく
気もちいいわよ」
「あの・・・サクラって」
「あぁ、桜ねぇ。
今咲いてるかしら。
今年は咲くのが遅いらしくてね」
「そうですか」
まぁ、いいか。
外へ出れるだけでも
幸運だ、
ぶわぁー!
「わ・・・風だ」
何十年ぶりだろう、
風を浴びるなんて。
「ね?
気もちいいでしょう?」
「はい・・・
すごい久しぶりです」
「かわいそうね、
外へ出れないなんて」
ズキンっ!
「っ・・・」
いつも言われる。
『あんたの妹って
ホンットかわいそっ』
『恋もしたことないの!?
かわいそー笑』
病室の外からいっつも
聞こえてくる。
女子高生の声、
お姉ちゃんの友達。
お見舞いにきたりするけど
私が会いたくないって言うと
病室の前で大声で話している。
「・・・ねぇ。病院に戻って」
「えぇ?」
「早く病室に帰ってって言ってんの!
外なんか出たくない!
大っ嫌い! 早く戻って!」
「す、すいません・・・」
「早く戻れ、戻れ、戻れ・・・」
嫌い、大嫌い。
かわいそうとか
思ってもないくせに
口にするやつ。
「大っ嫌いっ!
・・・はぁはぁ、はぁはぁ」
「だいじょうぶですか!?
ゆうりさん?」
「ゆうりって・・・
はぁはぁ、私はユリよ!!」
「す、すいません!
せ、先生! ユリさんが!」
「だいじょうぶか、ユリちゃん?」
「うるさい。
とっとと部屋へ戻して!」
「わかった、落ち着いて」
「落ち着いてる!
外なんか出たくないの!」
「よし、君、
急いでユリちゃんを部屋へ」
「は、はい!」
ガラガラガラガラ・・・
ふっ、
「わ、」
部屋か。
ん、なんか声が聞こえる、
「はい、ゆうりさんの状態
なんですけど、」
「ゆうりが・・・
どうかしました?」
ママの声だ、
「今日、散歩へ看護師と行ったんですけど、
青い顔してユリちゃんとして
帰ってきたんです。
最近、出てこないと思ってたんですけど」
「はぁ・・・またゆうり。
私の望みはお姉ちゃんしか」
「それは、ゆうりちゃんの前では
避けてください、
ユリちゃんになる原因は
不安とかストレスなど、
マイナスなことでなるんですね」
「そうですか」
「最近、症状も落ち着いてきたので、
薬も少し減らしてみますが
なにかあったら」
「はい」
やっぱ、ママは
お姉ちゃんの方がいいよね、
私よりかわいいし
頭も運動神経もいいし、
成績優秀で、良い子だし。
小さい頃から
いろいろ見比べられて、
『ゆうりだから』ってもう
何万回聞いたことか。
ママだけでなくパパも
お姉ちゃんの友達だって
私はいらない存在って思ってる、
本当はママにかまってほしいとか
お姉ちゃんより頭よくなりたいとか、
そう思ってる。
でもそれを隠す、
隠せば私は私のまま
生きていける、
その思いがユリ・・・
私を作ってる。
私には誰もいない、
コンコン。
「ゆうり、入るわよ」
「入ってこないで」
「え?」
「私はユリだから、」
と、うそをつく。
泣き顔を見せたくないから
ゆうりはユリと名乗る、
コンコン、
うるさい、
今日は何回もノックされた、
今度は誰?
「君・・・さ、名前は?」
やさしい声、
「橘・・・ゆうり」
「ゆうりちゃん。
俺、隣の病室の今井ハルト」
「ハルト・・・」
声と名前聞いただけなのに
安心する。。。
「俺さー、いっつもひとりなんだ」
「私も・・・
ハルト・・・くんは
なんでここに?」
「俺・・・二重人格なんだ」
「え・・・わ、私も」
「そうなんだ。
もうひとりの俺は
ハルって言うんだって」
「私はユリって・・・」
「家族にはハルが嫌いって言われるけど、
たまに本当の俺はハルなんじゃないかって
思うんだ」
「ハルトくんは
ハルくんが好き?」
「うん。好きだよ」
「私は、ユリが嫌い」
「いつか好きになれる、」
「ねぇ、入ってきて」
「ダメ」
「どうして?」
「きっとゆうりちゃん見たら
好きになると思う」
「私もそう思う。
だから、入ってきてほしい、
恋をしてみたいの」
「恋ってツライじゃん」
「よく聞く。
ツライからしないほうがいいって。
でもそのツラさを味わってみたいの」
「・・・いいの?」
「うん。
きっと、仲よくなれる」
「俺もそう思う」
ガラガラーーーーー。
私はよく思う、
ゆうりっていうのは私の考える悪魔で、
ユリが私そのままの天使なんじゃないかと。
でも、多分、今の私は天使だ。
「はぁはぁ・・・
本当にいいのかな?」
「はぁはぁ、だいじょうぶ、
やばい時は逃げよう、ふたりで」
「うん。ハル。ありがと」
「なにが?
はぁーつかれた!
ここまで来ればいいよね」
「ずっと自分の足で
外を歩きたいって思ってた」
「ユリでいいの?」
「ユリがいいの。
ユリは私そのものだと思うから」
「橘ユリか・・・
似合ってる」
「ありがとう」
さらっ。
「わっ、お花が降ってきた」
「これは桜だよ」
「桜? これが」
「きれいだよ」
「うん。きれい」
「桜じゃなくてユリが」
「え? ・・・」
「ちょっと止まって」
「うん・・・」
「はい、似合ってる」
「え? 何つけたの?」
「桜。すごいかわいい」
「ハルも止まって」
「ん?」
「はい! おそろいだね」
「俺がつけてたら変でしょ」
「ううん、似合ってるよ・・・
帰りたくない」
「ふたりで逃げる?」
「でも帰らなくちゃ」
「そうだね、」
「はぁはぁ、ゆうりー!
ゆう、りーーー」
「! ママ」
「はぁはぁ、
ここにいたのね。
探したのよ、」
「ごめんママ。
私、今日からユリになる」
「え・・・?」
「私気づいたの、
本当の私はユリだって」
「でも」
「ママが好きとかパパが好きとか
お姉ちゃんが好きって感情は
ゆうりにはない」
「そんな」
「ユリは私なの。ママ」
「・・・そっか。
ユリが好きなように
生きなさい」
「うん。
ありがとうママ」
「ママ・・・先帰ってる。
ちゃんと帰ってくるのよ」
「うん。絶対、じゃあね」
「うん」
「ユリ・・・よかったね」
「うん。あのね。
私ハルに伝えたいことがある」
私、出会ってからずっと、
ハルが好きだった。
やさしいハルも困ってるハルも、
嫌いな食べ物を一生懸命に
食べてるハルも。
だから・・・
今、伝える。
「ハル・・・
ずっと前から好きでした」
私を私と気づかせてくれたのは
ハル。
どんな時も助けてくれた。
「俺も、好き。
いろんなユリが。
ユリがゆうりでも」
「うん!///」
「帰ろっか」
「うん//」
ギュッ。(手をつなぐ)
私は、橘ユリ。
素直に生きていく。
キラキラ輝く桜のもとで。
*END*
この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
橘 侑里

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