nicola

キーワード検索

前世

CAST橘 侑里橘 侑里

作者:みいお委員長

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2025.10.19

「・・・な、・・・な」





名前を呼ばれたような気がして、
体を起こした。





でも、そこには誰もいない。





だって、私は今・・・
ゆうりだから。





私の名前は、ゆうり。





そうだね・・・
前世の記憶が目覚めたのは、
10歳のとき。





あんまり覚えてないけど、
お母さんは今でも
よく笑いながら言う。





「ゆうりねえ、
10歳くらいのときに、
『私はゆうりじゃない!』って、
叫んだんだよ」





私の前世の名前は、
よく思い出せない。





『・・・な』





これが、私の名前。





すべてがもやもやしてて、
よくわからない。





でも、私は確かに
地球に生きた女の子だった。





「ゆうり~、おはよ!」





友達と談笑していた彼女・・・
リコが振り向く。





「おはよう」





リコは超おしゃべり。





今も話したいことがあるみたいに
うずうずしてるのが、私にはわかる。





「ねえねえ、2組に転校してきた
超イケメン男子、もう見た?
見てないなら見に行こうよ!
お願いゆうり~」





彼女はミーハーな子だ。





でも、やさしいし明るいから
私は彼女が大好き。





「えー、やだ」





でも、私はそういうことはしない。
あっさり断ると、
リコはがっかりした顔をした。





「他の友達と行ってきなよ」





「ゆーりがいーい」





駄々をこねるリコを見て、
私はため息をついた。





「しょーがないなあ」





私たちは廊下に出た。





誰がとすれ違う。





「・・・え」





あの人、誰?





私、あの人知ってる。





私たちは、
出会ったことがある。





「・・・え!?」





横でリコが叫んだ。





「ああ、あの人、ウワサの
超イケメン男子じゃんっ!」





確かに、一瞬だけ見えた彼の顔は
美しかった。





あの人。
絶対どこかで見たことがある。





少し思い当たることがあって、
叫んだ。





「リコ。私、行ってくる!」





「え? どこにい~?」





私は、走り出した。





そこで誰かの背中と
どん、とぶつかる。





「いった・・・」





背中をさすっていると、
私が失礼にもぶつかった人が
手をのばしている。





「だいじょうぶ?」





それは、例の彼。
超イケメン男子だ。





私が手をのばすと、
彼は力強くその手を引っ張り、
自分の方に引き寄せる。





なんだ、このさわやかさ。





一瞬そう思ったものの、
すぐに本題に入る。





「あなた!
・・・会ったこと、
ありますよね・・・?」





彼の目が、
大きく見開かれた。





その目を見つめ、
私の心がぐるぐる回る。





「・・・な! ・・・な!」





彼の手が、差しのばされた。





「・・・はゆな・・・?」





深い沈黙の後、
彼が震えながら言った。





はゆな。





はゆな。





はゆな。







はゆ・・・







「大地」





今度は彼が目を見開く番。





全部、思い出した。





はゆなと大地は、恋人だった。





「君、名前は?」





「ゆうり」





彼も自己紹介をする。





「俺、イブキ。あのさ・・・」





彼は、にかっと笑った。





「前世で好きだった人、
もう一度好きになるなんて
あるんだね」





私もそう思う。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

Like

この物語に投票する

橘 侑里が主人公の物語が主人公の物語

NEWS!NEWS!

nicola TVnicola TV

物語募集

「ニコラ学園恋物語」では、ニコ読の
みんなが書いたニコモを主人公にした
オリジナルラブストーリーを大募集中!

応募する

主人公別 BACK NUMBER主人公別 BACK NUMBER

  • nicola TV
  • 新二コラ恋物語 恋愛小説を大募集!