冷めた恋と温かい恋

CAST橘侑里

作者：ぐりいん

2025.09.28

こんにちは！
私、橘ユウリ。

私、実は・・・
好きな人がいますっ！

１つ学年が上の、
西ユアン先輩。

彼はすごく人気が高くて、
めちゃくちゃかっこいい。

私なんか、認知すら
されてないだろうけどね。

「で、ユウリ。
西先輩に話しかけに
行かないの!?
まず認知されないと―――」

私の先輩への気もちを知る
唯一の友達、葉山ワカナは
ユアン先輩に話しかけに行けと
うるさい。

「あ、私ちょっと・・・
返却期限の過ぎた本、
返してくる！」

さすがに彼の教室まで
話に行くのは
ハードルが高すぎる。

図書室へ向かって
走っていくと、
誰かとぶつかった。

「う、うわっ！」

「ご、ごめん。
だいじょうぶ？」

手を差し出してくるのは、
なんと・・・西ユアン本人だ。

え、えええええっ！

私はそこで
何かの紙切れが
落ちていることに
気がついた。

名前がぎっしり
書いてある。

１、白尾ルナ、
２、中瀬リリ、
３、大月ミク、
４、山本イチカ

・・・ランキングみたいに
書かれている。

紙の１番上を見ると。

「かわいい女子ランキング
（西ユアン的）」

こんなの作ってるのか・・・

一気に彼を好きな気もちが失せた。

彼を冷たい目で見上げると、

彼は「違うんだ、
それは・・・返して！」

と、逃げて行った。

やれやれである。

私は座りこんだまましばらく
なぜ自分は彼が好きだったのか
考えていた。

「だいじょうぶですか？」

明るい男の人の声がして、
誰かが私の手を
やさしくつかんだ。

そして、落ちた本を
拾い上げてくれる。

「あ、ありがとうございます・・・」

それはクラスメイトの
松瀬ダイジだった。

静かだけどやさしい人だ。

こっちの方が
かっこいいなあ、
なんて、私は思った。

＊ｅｎｄ＊