迎えに来たのは・・・

CAST十文字陽菜

作者：デイジースター

2025.11.15

私は、十文字ひなの。

別名「イケメン女子」。

「ひなの先輩！
これ作ったんです！」

と、１年生の女の子が
クッキーをくれた。

「ありがとう。
おいしそうだなぁ、
授業中に食べちゃおうかなｗｗ」

お辞儀をして
去っていった女の子は
笑顔だった。

その日はプレゼントを
１０個ほどもらった。

「ただいまー」

私の両親は離婚し、
ママは男をつくって
出ていった。

パパは私を引き取った半年後、
蒸発した。

親戚の家を
たらい回しにされて、

祖母がこのシェアハウスに
私を入れた。

「ひなの、おかえりー」

このシェアハウスには
私を含め、６人の中学生が
暮らしている。

相沢いぶき（中２）、
松尾そのま（中３）、
私（中３）、
今井ハルト（中２）、
松瀬ダイジ（中３）、
西ユアン（中３）。

だいたいは共同で、
部屋は女子と男子に分かれてる。

女子部屋にも男子部屋にも
３段ベッドがあって、
そこだけが個人のスペース。

あとはリビングにある
収納ボックス２つだけ。

まあ、不自由は特にない。

ダイジ「なあ、今日なんだよ？」

いぶき「今日はカレー。
昨日言ったじゃん！」

いぶきとダイジは
兄妹らしい。

色々あって
名字が違うけど。

ユアン「そういえば、ひなの宛に
手紙届いてる」

ひなの「誰から？」

と、料理をしながら
聞いてみる。

ユアン「なんか英語で書いてある。
・・・多分ひなののママだよ。これ」

ママから？

そのまに料理をまかせて
手紙を読む。

――――――――――――――――――――――
ひなのへ

長い間、寂しい思いをさせてゴメンね。
シュンくん（ママの彼氏の名前）とは別れた。
もう一度一緒に暮らさない？
来週の日曜日、家に伺います。

　　　　　　　　　　　　　　　ママより
――――――――――――――――――――――

来週の日曜日。

この手紙を出した時の
来週だから、
今週の日曜日?!

ひなの「日曜日、ママが来る。
きっと迎えに来るんだ」

ハルト「それ、ヤバいやつじゃね？
ひなの、出てっちゃうのかよ？」

そのま「出ていかせないから、
安心してよ」

＝日曜日＝

ピンポーン。

ユアン「はーい」

と、ドアを開けると・・・

「あの、十文字ひなのの母です。
娘がいつもお世話になっております」

ママが来た。

ユアン「どうぞ、
あがってください。
ひなのは、中にいます」

ママは昔よりもずっと
女っぽくなってた。

ひなの「一緒になんか暮らさない」

ママ「いきなり何よ。
まあ用件はそれだけど。
どうしてよ？
反省して、母親として
やり直したいのよ」

ひなの「今さら何よ。
彼氏と別れたって、どうせまた
同じこと繰り返すんでしょ？」

ママ「そんなことしない。
だいたいこんなところに
誰がいれたの？　おばあちゃん？
中学生しかいないんだから、危ないわよ。
ママ、心配で心配で・・・」

うそつき。

あんたなんかいらないって
言ったくせに。

ユアン「あの、１つ質問です。
前にひなのから聞いたんです。
いらないと言われたって。
それにここに来たのは、
お母様の浮気が原因じゃないんですか？」

ママ「何よ！　他人のクセに！」

ユアン「僕は迎えに来たのは
自分勝手だと思います。
ひなのがどれだけ辛い思いをして
ここに来たと思っているんですか？」

ママ「そんなこと知らないわよ！
ひなの、行くわよ！」

腕をつかまれ、
連れて行かれそうになる。

玄関まで引っ張られた。

そのま「本当にそれでいいの？」

そのまの一言で気づいた。

よくない。
こんなのおかしい。

ママの手を振りはらって
逃げる。

そして１番近くにいた
ユアンに抱きついた。

いぶき、そのま、
ダイジ、ハルトが
私を守るように前に立った。

私は怖くて怖くて
泣いてしまった。

ユアン「だいじょうぶだから、泣くなよ」

ママ「何よ！
せっかく迎えに来たのに！」

いぶき「そもそも、なんでここ
知ってるんですか？」

ママ「それは・・・親戚から・・・」

ひなの「親戚とは
縁を切ったんじゃないの？」

ハルト「ストーカーだろ。
この間から家の前にいましたよね？」

ユアン「もう、ここには
来ないでください。
ひなのは俺たちが守れます」

ママ「西くんよね？　ひなののこと、
一生守ってやってくれないかしら？
自分勝手だとはわかってる。
でも、自分の意見を言える人になら
ひなののこと任せられる」

一生？

一生ってどういう事？

ユアン「わかりました。
必ず守ります」

＝数年後＝

私とそのまと
ユアン、ダイジは２２歳に、

いぶきとハルトは
２１歳になった。

そのまとダイジは会社員、
ユアンは小学校の先生、
いぶきはネイリスト、私は美容師、
ハルトは医大生になった。

あのシェアハウスに
私たちは住んでいる。

そうそう、１人
住人が増えたの。

私とユアンの子どもが１人―――――

＊ＥＮＤ＊