キミのとなりで読書中。

CAST十文字陽菜

作者：ひよこ

2024.02.07

「おはよー、ルナ！」

どーも、十文字ヒナノです。

「げ。その顔は・・・
またあの話？」

「もちろん！」

こちらは心友のルナ。
ちょっとクールだけど、
いいヤツです。

「はぁ。で、今日は誰？
レンくんだっけ？」

「ちっがーう!!
それは前の話でしょ。
今はコウくんひとすじなのー」

ウチだって中学生。
ちゃんと恋してます。
でもね・・・

「べつにマンガの中の男の子に
恋することに文句は言わないけど、
そろそろフツーの恋してみたら？」

そうなんです。
ウチはマンガが大好き！

毎月発売されるコミックスは
発売日に必ず買い、
学校にこっそり持ってきて
読むのが日課。

そして今みたいに、
学校につくと
毎朝きまってルナに
マンガ話をする。

「う゛。いいじゃん！
現実の男の子より、
マンガの中の男の子のほうが
かっこいいんだもん！」

とかいいつつウチは
あまり男子としゃべらない。
いいわけでもある。

「はいはい。
まー、ほどほどにね」

わかってるけど
好きなんだから、
しょーがない。

「ヒナノ、ルナ、はよー」

「あ、リョウスケおはよう」

となりの席の八神リョウスケ。
ちなみに学年１のモテ男。
なんとなくコウくんに
似てる気がする。

「ヒナノ、またマンガ話？」

「そうですー。
あ、リョウスケも聞く？」

「えんりょしときますー」

「言い方マネするな！」

「はは。じゃーな」

リョウスケとは
中学の頃から一緒だから、
男子の中では結構しゃべる。

そんなリョウスケも、
ウチがマンガバカなのは知ってる。
だからウチの扱いも慣れてる。
ムカつくけどね。

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帰り道。

「明日からテストだー」

「席近くなるね。ラッキー」

テストのときは、
席を名簿順に移動する。
白尾と十文字だから、
前後になるんだ。

「ヒナノ！　あれみて！」

「ん？」

え。

「あれ、リョウスケじゃない？
となりの人誰？」

りゅうせいのとなりには女の子。
仲がよさそうな２人。

「なにアレ。
ってちょっと！　ヒナノ!!」

ウチはいつのまにか、
今来た道を走っていた。

はぁ。はぁ。ズキ
なんだろうこの気持ち。

□□□　□□□　□□□　□□□　□□□　□□□

次の日。

「ヒナノー!!
何で昨日走ってっちゃったのー!?」

「わかんない。
でも、なんかズキってなった」

「ははーん。それは恋だね」

「え。ウチがリョウスケに？
いや。ないでしょ。
だってマンガバカなウチだよ？」

「うん。でもよかったじゃん！」

恋か・・・
マンガバカなウチが・・・

「あ、先生来た。じゃあね」

リョウスケと
ちゃんと話せるかな。

「テストなので
机を移動しましょう」

わーーー!!
テストの事すっかり忘れてた!!

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そしてやっと
３日間のテストが終わった。

「ヒナノ久しぶりー」

リョウスケ！
やば。緊張してきた。

「あのさ」

聞かなきゃ。

「前、リョウスケと一緒に
歩いてる人見たんだけど、
あれって彼女？」

「あー。姉ちゃんだよ。
ちょうど帰り一緒になってさ」

よかったー。

「あ。そういえば、
いいマンガ見つけたんだ。
ヒナノ知ってるかな？」

リョウスケが
スクバからマンガを出した。

「ここ読んで」

見てみると、
男の子が女の子に
告白しているシーンだった。

そこには、
《ヒナノ、好きだよ》

「やー。
ヒナノって名前なかなかなくてさ。
めちゃくちゃ探したんだ。
ヒナノ、好きです」

「うん、ウチもリョウスケが好き」

最高の告白ありがとう。

マンガの中の男の子、
ちょっとは卒業できそうです。

☆ＥＮＤ☆