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うそつきな2日間

CAST十文字 陽菜十文字 陽菜

作者:りぃ

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.05.17

ひとりぼっちの帰り道。





いつも一緒に帰っているそのまは、
提出物をやっていなくて、居残り。





「あのねー。
俺って、かなりめずらしい
超肉食男子なんだって」





はい?





「十文字ひなの先輩。
俺、先輩をオトしにきました」





はぁぁあ??





へへっって、ちょっと
イタズラっ子みたいに笑う彼は、
制服を見る限り同じ学校だけど、





・・・全然知らない子。





彼の口調からして、
この子はおそらく後輩。





比較的端正な顔立ちで、
笑った時に細くなる二重の目に
無意識に胸が高鳴った。





無邪気さが目からにじみ出てる。





て、ゆうか。ちょっと。





「待って待って。意味わかんないっ」





「え、なにがぁー?」





「オトすって何?
なんであたしの名前知ってんの、
ストーカーなのっ?
てゆーか、まず誰!?
あたし、君みたいなイケメン君
知り合いじゃないしっ!」





息つぎなしで一気に言ったもんだから、
酸欠酸欠。





言い終わってすぐに深呼吸。





「わ。イケメンなの? 俺。
オトすって、言葉のとおりだよー。
先輩を俺のにすんの」





イケメンと言われて
顔の筋肉が緩みまくっている彼は、
さらっと爆弾発言をした。





彼の言ったことを理解するのに、
時間はかからなかったけれど。





頭の中でポンポン踊ってるのは
疑問詞や疑問符で。





・・・、なんで、あたし?





「あ。名前名前。
俺の名前は、リュウトです」





「ちょ、名字、は?」





「下の名前で呼んでほしいから
教えてあげません」





それからあたしは、
なぜだか知らないけど、
リュウトくんと一緒に
帰ることになっちゃって。





なんか、家まで送ってくれた。





今思えば、これが始まり。





後輩に振り回されて、
でも別に嫌じゃなかったりして。





別れ際の一言は、
・・・心臓に悪かったけど。





「ばいばい、ひなの先輩。
明日、ちゃんと靴箱んとこにいてね?」





意地悪さは消えて、
スッゴクかわいく笑って、
あたしの名前なんて呼んじゃうから。





あー、なんかやばいかも。





///





雷に打たれたように、急に空から
ズドーーンって降ってきたの。





大袈裟だと思った?





“雷に打たれたように”って
恋した時によく使われる表現、





あたし、そんな場面に
自分が出くわすなんて、
1ミリも思ってなかったし。





てゆーか、初対面なのに
恋しちゃったんだ。













*...・・・*...・・・*





「・・・ってことでして」





「ふーん。
好きになっちゃったんですね、
その後輩くんを」





「うん・・・」





大好きなメロンパンが右手にあるのに、
全然クチをつけないのは、
あたしがそれほど重症だから。





そんなあたしを
さっきからそのまは
ニヤニヤしながら見ている。





「もー、ほんと。
やばい、やばすぎる」





「いいじゃん。
一緒に帰れるんだし」





「そんなテキトーに
返事されても・・・」





もぉー、どうすんの。
多分、『好き』って自覚しちゃった今、
あたしはリュウトくんと
上手く話すことすら出来ないと思う。





さっきから時計ばかりを
気にしてしまう自分が、
うじうじしてて嫌だと思った。





・・・、早く放課後にならないかなぁ。













*...・・・*...・・・*





2日連続そのまと帰らないなんて、
今までで1度もないかもしれない。





「ねー、ほんとに好きなの?」





靴箱でリュウトくんを待っていると、
そのまっぽい声が聞こえたから、
なんとなく後ろを見た。





「ん、めっちゃ好きだよ」





見間違えるわけがない。





聞き間違えるわけがない。





だって、それは好きな人の姿で、
好きな人の声だから。





・・・、うそつき。
そう思った、





『うそつき』って、
ほんの数秒間の間に
何万回も思ったような気がした。





どうして。





どうしてあたしと一緒に
帰る約束しといて、
そのまと一緒にいるの。





あたしのこと、
好きなんじゃなかったの。





疑問ではなく、
怒りやさびしさに近い感情の渦の中で
あたしはぐるぐる回ってる。





「ね、そのま」





―――――――?





リュウトくんの声で呼ばれた『そのま』が
やけに自然に聞こえてしまって、
ヤキモチの力に押し潰されそうになる。





うそつき。うそつき。





そのまも、リュウトくんも、
・・・うそつき。





もういい。知らない。





リュウトくんの好きな人が
そのまって分かった今、
あたしの失恋は決定したんだから。





言いたいこと、言ってから
終わらせてやるもん。





「リュウトくんのこと大好きなのに・・・っ、
ばかっ!!」





ふたりの目の前に立って、
思いっきり言ってやった。





知らない知らない、知らない。





いいの、もうリュウトくんと会わないから。





そのまは・・・、どうしよう、
明日きまずいかも。





「前の成績、美術以外5の人に向かって
ばかってなんですか?」





「ぅわっ」





「はい、ひなの先輩確保~」





ぐぃって引っ張られたと思ったら、
体が斜めになって
そのままリュウトくんに支えられて。





これ、抱きしめられてるって
やつだよね・・・?





「あんなにうれしいこと言ってくれといて
逃げるとか、そんな権利あたえてませんけど」





「・・・」





どんな顔して、リュウトくんは
こんなこと・・・





「ひなの!
ごめん、ほんっとごめん。
多分カレカノだって
勘違いしてるかもだけど、
あたしとリュウトは姉弟だからっ」





「え、ひなの先輩
そんな勘違いしてたの?」





走ってきたそのまから
衝撃的な事実を聞いたあと、
リュウトくんの質問に答えるように
頭を上下させる。





あたしの勘違いって・・・、





勢いで「大好き」とか
言っちゃったのに。





「はぁ!?
もともとリュウトが悪いんでしょ!
ひなのに下の名前しか
教えなかったらしーじゃん!」





「あー、うっさい。
そのまの弟だって知られたら
イメージダウンするじゃん」





「ちょ、リュウトく・・・、
けんかするなら離れて・・・」





耳元ででかい声だされちゃ、
鼓膜がおかしくなる。





「あ、ごめん。でも離れません」





「うわー、きもい。
自分の弟だと思いたくない」





「はい、そのま退場ー。
今から俺らの時間なんでー、
帰ってもらえますかー」





「わかってますー!
ばいばい、ひなの~」





ふたりの会話を聞いてたら、
やっぱり姉弟なんだなぁって思って
ほっとした。





「ごめん、先輩、
俺のせいで変な勘違いさせて」





「ううん」





ん? って思った瞬間、
見えていた景色が変わって、
視界の半分がリュウトくんになった。





簡単に向きを変えられてしまえば、
あたしとリュウトくんは
向き合うかたちになる。





「さっきのって、ほんと?」





「え?」





「大好きってほんとですか」





リュウトくんから目をそらして、
こくんとゆっくりうなずいた。





そしたら、急に苦しくなって。





リュウトくんの顔が
見えなくなったと思ったら、





ぎゅーーって
きつく抱きしめられてた。





「もっかい、言って」





「む、無理無理っ」





「言って、ひなの」





「・・・・・・、はい」





あたしって、ほんと。
単純すぎて自分が嫌んなる。





「・・・だいすき」





あーあ、言っちゃった。





「はい、よく出来ました、俺の彼女様」





初めて会った時に言われたように、
あたしはほんとに
リュウトくんにオチてしまった。





多分、これからもあたしは
オチ続けて。





どんどん、どんどん、
抜け出せなくなると思う。





それでもいいかな、って思えるのは。





リュウトくんのことが大好き以外に、
理由なんてないよ。





「大好き」







*end*

この作品は過去に投稿された作品をアレンジしたものです。また、掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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