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私に愛されるべきなんだ

CAST工藤 唯愛工藤 唯愛

作者:ライラック

新二コラ学園恋物語新二コラ学園恋物語2026.03.14

どうしたらいいか
分からない。





どうして私の恋は
実らないのだろう。





私は、ユア。
片思い中の高校1年生。





相手は、同じクラスのミサキくん。





すごく地味な男子で
彼に注目してる人なんて
他に誰もいない。





私だけが彼の魅力を
分かってる。





それでいい、それがいい。





たとえば彼は
何にでも「さん」を付けた。





本屋さん、電車さん、太陽さん。





それを笑う人も多かったけど、
言葉を大切にあつかう彼に
私はとても魅力を感じた。





彼が数少ない友達と
教室で話す時、
私は、耳をすませた。





どれだけ他愛ない会話でも、彼の声で
彼がつむぐ言葉のひとつひとつが
美しく思えた。





でも、こんなに私が想っているのに。





彼は、私にまったく興味を示さない。





自分で言うのもなんだが、
私は、モテる。





顔は、かわいいし、
いわゆる陽キャでもある。





勉強も運動もまあまあできる。





告白してきた男子も
たくさんいる。





でも、私の心をふるわせるのは、
ミサキ君だけ。





彼にふりむいてもらえなければ、
私なんか価値がない。





彼のハートをつかもうと
いろいろ小細工は、こころみた。





髪型を変えたり、
メイクの研究をしたり、
香水をつけたり。





学級委員に立候補して
デキる女アピールまでした。





それなのに彼は
見向きもしない。





分からない、どうしたら彼を
ふりむかせることができるのか。





私が言い寄って落ちない男なんて
いなかった。





それなのに、彼ときたら。





実は、彼に彼女がいることを
知ったのは、偶然のことだった。





別のクラスのヒヨリという女子と
美術館でデートをしているところを
見てしまったのだ。





私は絵画が好きで、
たまに美術館に行くのだが
それが良くなかった。





彼が彼女を見つめる時の
愛しそうな眼差し、
やさしい手のつなぎ方、





それらを見るだけで
胸がきしんだ。





それらは、すべて私が
手に入れるはずだったのに。





展示されているシャガールの使う青が
悔し涙でにじんだ。





ヒヨリは、ものすごく
地味な女子だった。





パッとしない。





私の方がいい女に違いない。





ミサキ君に私の良さを
教えなければ。





はやる気もちをおさえて、
翌日に学校で
ヒヨリに話しかけた。





ミサキ君とどういう関係か
聞き出さないと。





「ヒヨリちゃん」





私は、獲物を見つけた
ノラネコのように
ニンマリした笑顔で話かけた。





ヒヨリは、初めて
私に話しかけられたことに
驚いていたが、





口元にかすかな
笑みを浮かべた。





「実は、昨日美術館で見かけたんだ。
男の子と一緒だったけど、
もしかして、彼氏?」





私は、できるだけ
笑顔を崩さないで言った。





「そうだよ。ミサキ君。
彼から告白されたんだ」





ヒヨリは、屈託のない
笑顔で答えた。





それを聞いた私は
もうどうして家に帰ったのかも
覚えていない。





私は、自分の部屋のベッドに
仰向けに寝転がりながら
ため息をついた。





彼の魅力を知るのは
私だけでいいのに。





どうしても
私じゃダメなのか。





意を決した私は
そのまた翌日、
ミサキ君を校舎の屋上に
呼び出した。





必ずふりむかせてやる。





「ミサキ君、
彼女いたんだね」





私は、なんでもないような
口調で言った。





「うん、いるよ。
よく知ってるね。
ところで、何の用?」





ミサキ君は
私に呼び出された理由が
本当に分からないようだった。





「私、ミサキ君のこと
好きなんだ」





私は、かわいく
ニッコリ微笑んだ。





「へえ・・・」





ミサキ君は
目が点になっていた。





思考のスイッチが
切れてしまったように見えた。





「ヒヨリと別れて
私とつきあわない?」





私は、たたみかけた。





「ごめん」





消え入りそうな声で、
でもハッキリと
拒絶の意思がこめられた声で
ミサキ君は、言った。





壊れる、
私は、壊れる。





心にひびが入って割れ、
砕け散り、
天高きプライドは
地に叩き落とされ、
尊厳は、踏みにじられる。





私の存在は、
存在してる価値は、
どこにあるというのか。





「じゃ、じゃあ僕は
もう行くから」





ミサキ君は、足早に
立ち去ろうとした。





行ってほしくない、





しがみつき、よりすがり、
こびへつらってでも、
彼をつかみたい。





でも、私の足は
ふるえて一歩も動かなかった。





「わ、私は、!」





私は、遠ざかる彼の背に
向かって叫んだ。





「私は、かわいい!」





私は、必死で叫んだ。





「お前なんか、私しか
魅力を知らない!」





私は、もう泣いていた。





「だから、だから・・・」





ふりかえりもしない
彼の背がさらに遠のく。





「お前は、私に
愛されるべきなんだ!!!」





誰にも届かない私の声が
屋上に響き渡った。







*end*

※掲載されている物語はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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